「 新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」(労働政策研究・研修機構)

労働政策研究・研修機構は、「 新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」について発表しました。
Ⅰ 「民間企業の雇用者」に対する調査結果より
<「影響があった」割合は、就業形態や居住地域、勤め先の業種、世帯年収等で異なる>(p4~5【図表1】)
「民間企業の雇用者」(n=4,307)を対象に、新型コロナウイルス感染症に関連して自身の雇用や収入にかか わる影響があったか尋ねると、「大いに影響があった」との回答が16.3%、「ある程度、影響があった」が28.7% となり、「影響があった」割合が4 割を超えた。具体的な内容をみると(複数回答)、「会社からの解雇」は0.8%、 「期間満了に伴う雇止め」は 0.6%、「勤め先の休廃業・倒産に伴う失業」は 1.0%で、休業を含めた「勤務日 数や労働時間の減少」(26.6%)や「収入の減少」(24.4%)の割合が高く、これに「業務内容の変更」(8.1%)等が続いた。「勤務日数や労働時間の減少」や「収入の減少」を挙げた割合は、「非正社員」の中でも「パート タイマー・アルバイト」(同順に37.4%、33.9%)や「派遣労働者」(同順に36.4%、28.6%)で高い。また、 昨年 1 年間の世帯年収が低いほど、「収入の減少」等の割合が高くなっている。居住地域が「首都圏」や「中部・関西圏」では「その他」の地域に比べ、「勤務日数や労働時間の減少」や「収入の減少」の割合が高まるほ か、(割合自体は限られるが)「期間満了に伴う雇止め」や「勤め先の休廃業・倒産に伴う失業」等を挙げた割 合もやや高いといった特徴が見られる。
<休業を含めた「勤務日数や労働時間の減少」や「収入の減少」は「5 月調査」で拡大、収入不安や雇用不安 も拡大>(p6【図表2】, p13【図表9】) 「民間企業の雇用者」のうち「4 月調査」と「5 月調査」の共通回答者(n=3,600)で比較すると、新型コ ロナウイルス感染症に関連して、自身の雇用や収入にかかわる「影響があった」とする割合は、「4月調査」の 36.8%から、「5 月調査」では44.4%に増加している。具体的な内容をみると(複数回答)、「業務内容の変更」 については「4 月調査」(22.8%)が「5 月調査」(17.4%)を上回っている。一方、 「勤務日数や労働時間の減 少」は「4 月調査」の42.6%から「5 月調査」で60.8%、「収入の減少」は同順に 40.4%、53.9%と 4~5 月 に掛けて影響が拡大したことが分かる。こうした動きを反映し、収入不安(同順に36.4%→40.3%)や雇用不 安(同順に8.6%→13.1%)を持つ人も増加している。
<在宅勤務・テレワーク経験は4~5 月に急増するも、「在宅勤務・テレワークの実施」割合は企業規模や職種等で異なる>(p10【図表6】, p11【図表7】)
「民間企業の雇用者」(n=4,307)に、政府や自治体の要請に基づきあるいは自主的に、勤めている会社(事業所・工場・店舗)で行われた就労面での取組状況を尋ねると(複数回答)、3 割近く(29.9%)が「在宅勤務・ テレワークの実施」を挙げ、これに「出張の中止・制限」(24.4%)、「WEB 会議、TV 会議の活用」(21.6%)
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 (理事長 樋口 美雄) 新型コロナウイルスによる雇用・就業への影響等に関する調査、分析PT (雇用構造と政策部門付 渡邊 木綿子) (電話) 03-5903-6240 (URL) https://www.jil.go.jp/
令和2年6月10日(水)等が続いた。勤め先の従業員規模が小さいほど、「対応は行っていない」とする割合が高いのに対し、 従業員規模が大きくなるほど、大半の取り組みの実施割合が高まる傾向が見て取れる。中でも、「在 宅勤務・テレワークの実施」については、 「1,000 人以上」の企業では半数超(51.2%)が挙げてい るが、「 29 人以下」では 1 割程度(12.8%)にとどまっている。また、職種別にみると、「管理職(課 長クラス以上)」(60.3%)や「専門・技術職」(38.6%)、「事務職」(37.3%)等で高く、「運搬・清 掃・包装作業」(1.8%)や「保安・警備職」(8.3%)、「輸送・機械運転職」(8.7%)、「サービス職」 (10.1%)等では低くなっている。
<7割超が仕事面で、特に不安に感じることがあったと回答。非正社員や世帯年収が低いほど「収入の減少」 や「解雇や雇止め(雇用不安)」等の割合が高まる>(p12【図表 8】)
「民間企業の雇用者」(n=4,307)を対象に、新型コロナウイルス感染症の発生から現在に至るまでの間に、 「ご自身の感染」以外に仕事面で、特に不安に感じたことを尋ねると(3 つまで複数回答)、「収入の減少」 (40.7%)を挙げた割合が 4 割を超え、これに「感染予防や感染者発生時の対応などの会社の衛生管理」 (26.2%)、「勤め先の経営状況の悪化あるいは企業倒産・事業所閉鎖」(24.0%)、「ご自身の仕事の調整」 (19.4%)、「解雇や雇止め(雇用不安)」及び「在宅勤務・テレワークなどの環境整備」(ともに 12.9%)等が 続いた。「収入の減少」については、「非正社員」の中でも「パートタイマー・アルバイト」 (45.9%)や「派遣 労働者」 (47.9%)で高く、「解雇や雇止め(雇用不安)」は特に「派遣労働者」 (38.6%)で高い。また、昨年 1年間の世帯年収が低いほど、「収入の減少」や「解雇や雇止め(雇用不安)」を挙げる割合が高くなっている。
Ⅱ 「フリーランスで働く者」に対する調査結果より
<6割超が、仕事や収入に「影響があった」と回答>(p14【図表 10】)
「フリーランスで働く者」(n=580)を対象に、新型コロナウイルス感染症に関連して、自身の仕事(事業活 動)や収入にかかわる影響があったか尋ねると、「大いに影響があった」 (33.6%)との回答が約1/3で、「あ る程度、影響があった」(31.0%)と合わせて「影響があった」が 6割を超えた。具体的な内容としては(複数 回答)、「フリーランスで働く者」の半数超が「業績への影響(売上高・収入の減少や増加)」(52.8%)を挙げ、 これに「新規受注や顧客の減少、消失」(25.3%)、「既に受注していた仕事(イベントやツアー等含む)の中止 や延期」(21.9%)等が続いた。
Ⅲ 「全有効回答者」に対する調査結果より
<8割超が、生活面で特に不安に感じることがあったと回答。フリーランスや非正社員、世帯年収が低いほど 「収入の減少に伴う生活への支障」を挙げる割合が高い>(p20【図表 17】)
全有効回答者(民間企業の雇用者+フリーランス計n=4,887)を対象に、新型コロナウイルス感染症の発生 から現在に至るまでの間に、「ご自身やご家族の感染」以外に生活面で、特に不安に感じたことを尋ねると(3 つまで複数回答)、「感染の収束が見えない」(58.7%)ことを挙げた割合が半数を超え、「不況の長期化・深刻化(37.1%)も 1/3を超えた。これらに「感染予防物資(マスクやアルコール消毒品)の不足」(30.6%)や 「収入の減少に伴う生活への支障」(22.3%)等が続いた。昨年 1 年間の世帯年収が低いほど「収入の減少に 伴う生活への支障」を挙げる割合が高まるのに対し、世帯年収が高いほど「不況の長期化・深刻化」や「休学 による子どもの学習への影響」等を挙げる割合が高くなっている。「収入の減少に伴う生活への支障」を挙げ た割合は、「正社員」 (17.3%)より「非正社員」 (26.1%)、更に「フリーランス」 (37.4%)になるほど高まる 傾向が見て取れる。
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