国税庁は、令和2年分の路線価等の補正(7月~12 月分)に係る対応について下記の方針を発表しました。
国税庁は、令和2年7月1日に令和2年分の路線価等を発表しましたが、新型コロナウィルスの影響で地価が20%以上下落し、路線価が地価を上回る状況になれば、路線価等の補正を検討すると発表しました。
本件は、その続報(令和2年12月24日発表)です。
1.路線価等の補正対応の予定
(1) 令和2年1月から6月までの期間については、路線価等が時価を上回る(大幅な地価下落)状況は確認できませんでしたので、路線価等の補正は行わない旨を公表しました(令和2年10 月 28 日報道発表)。
(2) 令和2年7月から9月までの期間については、令和3年1月下旬の公表を予定しています。
(3) 令和2年 10 月から 12 月までの期間については、令和3年4月の公表を予定しています。
それに先立って、令和3年1月下旬に路線価等が時価を上回る可能性がある地域を公表します。
2.令和2年分の贈与税の申告納付期限
令和2年分の贈与税の申告・納付期限は令和3年3月 15 日(月)となっていますが、上記を踏まえ、令和2年分の贈与税の申告・納付期限の延長の取扱いについて以下のとおりお知らせします。
(1) 令和2年1月から9月までの間に贈与を受けた場合の申告・納付期限は、令和3年3月 15日(月)で変更ありません。
(2) 令和2年 10 月から 12 月までの間に贈与を受けた場合の申告・納付期限について、路線価等が時価を上回る(大幅な地価下落)可能性がある地域として令和3年1月下旬に公表された地域に所在する土地等の贈与を受けた方については、個別の期限延長により、路線価等の補正に係る公表の日(令和3年4月を予定)から2か月以内の申告・納付を認めることとします。
(注) 国税庁による路線価等の補正の公表前に申告を行い、その後、路線価等の補正の公表を受けて改めて計算した結果、納付すべき税額が過大であったことが判明した場合は、「更正の請求」により税額の減額を請求することができます。
また、令和3年1月下旬に公表した地域以外で、4月に新たに路線価等が時価を上回る地域として公表した場合について、その地域に所在する土地等の贈与を受け申告された方についても「更正の請求」をすることができます。
3.まとめ
(1)令和2年7月~9月の路線価等の補正等がある場合には、令和3年1月下旬に発表するため、相続開始日又は土地の贈与の日が令和2年7月~令和2年9月の3か月間に該当する場合には、当該補正された路線価を使用して相続税の申告(申告期限:相続開始から10か月)及び贈与税の申告(申告期限:令和3年3月15日)までに申告する必要があります。
(2)令和2年7月~9月の路線価等の補正等がある場合には、令和3年4月(1月下旬に「補正の可能性のある地域」を公表)に発表するため、路線価等の補正の対象地域の土地の相続及び贈与を受けてい場合には、当該補正された路線価を使用して申告する必要があります。
従って、贈与税の申告は、通常の令和3年3月15日に間に合わないため、個別の期限延長を税務署に申請することで、補正時の対象地域などの公表日(令和3年4月予定)から2か月後まで延長が可能となります。
(3)路線価が20%以上下落するのは、新型コロナウィルスの影響で外国人観光客が激減した地域が想定されますが、当該地域で令和2年7月~12月に土地の相続又は贈与が発生した場合には、注意が必要です。