本日は、3月22日に国土交通省より発表されました令和4年の公示地価について、ご案内致します。
1.概要
令和4年地価公示では、全国全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じました。新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られます。
昭和45年の調査開始以来、今回で53回目を迎えた令和4年地価公示は、全国26,000地点を対象に実施し、令和4年1月1日時点の地価動向として、次のような結果が得られました。(国土交通省調べ)
【全 国 平 均】 全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じました。
【三大都市圏】 全用途平均・住宅地は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年ぶりに上昇に転じ、商業地は東京圏、名古屋圏は上昇に、大阪圏は横ばいに転じました。
【地 方 圏】 全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じました。地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇を継続し上昇率が拡大しました。
(出典:国土交通省の資料を加工)
2.所見
(1)コロナの影響により、訪日外国人や国内観光客が激減したことにより、2020年比で商業地は、原則回復の途上です。
(2)一方住宅地は、コロナ禍でテレワークの増加などライフスタイルが変化し、首都圏でも郊外の住宅需要が高まりました。
地方(長野県軽井沢町等)に移住するケースも増加し、地方中核都市の地価の上昇はコロナ禍に関わらず、上昇継続。
総務省によると2021年は、東京23区で初めて転出超となったほか、東京都でも転出者が転入者を1万3千人上回り、転出先として埼玉県、千葉県、神奈川県の3県で半数超を占め、公示地価の上昇要因となっています。(東京圏の地域別の地価変動率は、ご参考をご覧ください。)
(3)都内商業地で上昇率が大きかった地点は、中野区や足立区千住といった山手線の外側で住宅地から日常的に買い物により、訪れる地域で、訪日外国人や週末の買い物客が訪れる商業集積地である銀座、有楽町等は下落が続きました。
(4)ご案内の通り、公示地価と路線価は、その年の1月1日基準であることから、今年は、路線価も上がることが予想されます。特に、東京圏の郊外の地主の方は、路線価が上昇し、相続税が増加する見込みです。(公示地価、路線価、基準地価については、ご参考をご覧ください。)
(5)蛇足ですが、今から30年前、地価の変動要因について、ある地主の方から「その土地の前の道路を歩く人の数で決まる」と言われて、なるほどと思った経験があります。コロナ禍でなぜ地価が上がるのかという問いに対する回答かもしれません。
3.ご参考
(1)東京圏の地域別対前年平均変動率(出典:国土交通省調べ)
(2)公示地価とは
国土交通省が毎年3月に公表する1月1日時点の1平方メートルあたりの土地の価格。1969年に施行された地価公示法に基づく調査で「住宅地」「商業地」「工業地」など土地の用途別に分類して示す。一般の土地取引や公共事業用地を取得する際の価格の目安となっている。
公的機関が公表する主な地価の指標は公示地価のほか、国税庁が夏に公表する路線価(1月1日時点)、都道府県が調べて国交省が9月に公表する基準地価(7月1日時点)がある。路線価は主要な道路に面する土地30万カ所超が対象で、相続税や贈与税の算定に使う。基準地価は公示地価と重なる地点が多く、年半ばの地価動向が把握できる。