経済産業省・中小企業庁は、事業再構築補助金で、介護施設向けの「真空調理」設備を導入【支援機関とともに「中小企業診断士編」 】について、下記内容を発表しました。
「認定支援機関(経営革新等支援機関)」とは、国が経営の専門知識のある個人や団体を認定する制度であり、商工会・商工会議所、金融機関、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家が認定支援機関として登録されています。
今回の「支援機関とともに」では、新型コロナの影響を受けて、仕出・弁当販売の売上が激減した企業が、認定支援機関である中小企業診断士の支援を受けながら、事業再構築補助金を活用し、新しい調理法のための「真空調理」設備を導入し、新たな事業分野である介護施設向けの食事提供サービスを開発した事例をご紹介します。
認定支援機関 | 滝田コンサルティングオフィス(福島県郡山市菜根5丁目7-13 エルコ郡山2F) |
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支援企業 | 株式会社商工給食 |
企業概要 | 委託食堂事業・委給食事業・各種弁当製造販売 |
所在地 | 福島県郡山市喜久田町卸1丁目83-1 |
ホームページ | https://www.shoukou-kyushoku.co.jp/ |
新型コロナにより、仕出・弁当販売の売上が激減
株式会社商工給食は、福島県郡山市で、給食や弁当の製造販売を行っている。学校や病院などを対象に給食・食堂の運営を行う「委託事業」と、冠婚葬祭の仕出料理やイベントの弁当を販売する「仕出事業」の二つを事業の柱に業績を伸ばしてきた。
しかし、2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大により、冠婚葬祭やイベントの自粛が相次いだため、柱の一つである仕出事業の売上が激減。「このままでは企業の存続にも関わる」と考えた宮川卓也社長は、事業再構築補助金の活用について、郡山商工会議所に相談した。
「以前から介護分野に進出したいと考えていましたが、新型コロナの影響で深刻な影響をうけたことで計画を前倒して挑戦しようと思いました。事業再構築補助金は、まさに『渡りに船』でした(宮川社長)」
その時に紹介されたのが、商工会議所の専門相談員でもある、中小企業診断士の滝田薫氏である。
滝田氏が同社から相談を受けたのは事業再構築補助金の第一次公募の要綱が発表される前だったが、「事業再構築補助金への関心は非常に高く、同社だけでなく、たくさんの事業者から相談を受けていた」と言う。
「相談を受けた事業者のなかには、『補助金ありき』で考えられた計画も目立ちました。私は補助金の相談を受けた時には『それは補助金がなくても取り組むべき事業ですか』と聞くようにしています。補助金があるから設備を導入するケースの場合は、失敗することが多いからです。補助金の相談を受けて、補助金よりも経営改善に取り組むべきだとアドバイスすることもよくあります(滝田診断士)」
そんななかで、宮川社長の計画は具体的であり、明確なビジョンが描かれていた。社長の新事業への熱量も高く、「補助金を活用すべき事業である」と感じたと言う。
新調理法「真空調理法」による、新分野の介護施設への食事提供事業に挑戦
同社は、事業再構築補助金を活用し、特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護施設に、新しい調理法である「真空調理法」でつくった食事(完全調理品)を提供する新事業を展開することを考えていた。
真空調理法とは、ファミリーレストランや病院などで導入が進んでいる新しい調理法である。下処理が済んだ食材と調味料を真空パックに入れて、スチームコンベクションオーブンで加熱調理した後に、ブラストチラー(急速冷却器)で急速冷却し、チルドの状態で保存する。介護施設で、チルドの真空パックをお湯に入れて再加熱すると、食事ができあがるというものだ。
「真空調理法は、安全性の高い調理法です。真空パックを加熱調理して殺菌し、さらに提供前に再加熱して、二度殺菌するからです(宮川社長)」
高齢になると菌への抵抗力が弱まり、食中毒のリスクが高まるが、真空調理法なら高齢者にも安心して提供できるのだと言う。また、再加熱するだけで食事を提供できるため、人手不足に悩む介護現場の負担も軽減できる。1週間程度保存ができるため、食材の無駄をなくすことにもつながるというメリットもある。
「宮川社長の計画は、ターゲットも明確で、事業内容も具体的でした。高齢者が年々増加するなかで、市場性・将来性もあります。ただし補助金の事業計画は、第三者である審査員が評価できるように分かりやすく説明する必要があります。そのことを念頭に置きながら、計画書の作成を支援しました(滝田診断士)」
補助金の事業計画では、投資効果について、数字の根拠を示しながら、収益計画に落とし込まなくてはならない。滝田氏は社長と何度も話し合いながら、シミュレーションを繰り返し、説得力のある収支計画を作成することを心がけたと言う。
「第一次公募の締切まで時間がありませんでしたが、滝田先生と対話することで、頭の中が整理されました。相談する度に計画がクリアになり、具体的になってきました(宮川社長)」
滝田氏の支援を受けながら、宮川社長は事業計画書をブラッシュアップ。事業計画名を「新分野である新調理法を用いた食品の製造と売上の拡大」とし、2021年6月の第一次公募で無事採択されることとなった。
補助金のゴールは、採択ではなく、企業の収益力向上
同社は事業再構築補助金を活用して、HACCP(ハサップ)基準に準拠した、クリーンな工場を建設。真空調理のためのスチームコンベクションオーブンと、急速冷却を行うブラストチラーを導入した。あわせて献立ソフトをカスタマイズして、献立作成から受注、食材の発注、人員配置までの業務フロー全体を管理するシステムを構築し、生産性の向上を図った。
「大きな額の設備投資であり、私たちのような中小企業にとって、補助金はとても心強いものです。一方で、補助金を活用する以上、この事業を絶対に成功させなくてはならないという責任も感じています(宮川社長)」
「補助金は、採択がゴールではなくスタートです。補助金を活用した事業を通じて、企業が収益力を高め、成長することが本当のゴールです(滝田診断士)」
宮川社長は、採択後も定期的に滝田氏のサポートを受け、事業を進めている。新規事業はいままで経験したことがないことに直面も多いが、「滝田先生と相談することで、経営者の孤独や不安が和らぎ、新事業に安心して取り組むことができる」と言う。
そして、新型コロナの影響による売上減というピンチをチャンスに変えるためにも、伴走支援を受けながら、「新事業を成長の軌道に乗せていきたい」と語る。
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