事務作業ミスを減らし効率的に行うにはどうしたら良いでしょうか。(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、事務作業ミスを減らし効率的に行うにはどうしたら良いでしょうか。と題して、下記内容を発表しました。

文房具店を営んでいます。毎日、多数の商品発注業務に追われていますが、事務が非効率でミスが絶えません。何か良い改善方法はないでしょうか。

回答

業務改善を図る上ではまず、業務フロー図を作成して業務を見える化し、作成した業務フロー図をもとに作業内容の改善策を検討します。そして担当者ごとの作業負荷を調整し、最後にすべての改善策を反映した業務フロー図を作成します。

事務のミスが発生する原因には、(1)担当者ごとに作業方法が違う、(2)必要なチェック機能が働いていない、(3)例外的な処理が頻繁に発生する、(4)担当者が作業に慣れていない、などといったことが考えられます。

ただ、作業方法がこのような状態にあったからといって、必ずしもミスが多発するわけではなく、ある程度までの作業量までであれば問題なく作業が終わるものです。処理しなければいけない事務作業量が増えるにつれて、作業者の余裕がなくなることでミスが発生し、非効率な状態が顕在化することとなります。ミスが発生している原因を発見して作業方法を改善するためには、以下の方法が考えられます。

【業務フロー図を作成する】

まず、作業ミスの発生している業務を対象に、業務フロー図を作成します。

1.業務フロー図とは

業務フロー図とは、業務中に発生する1つひとつの作業を特定の記号で記述し、その記号同士を業務の流れに沿って矢印で結んだものです。

2.業務フロー図を作成する目的

業務フロー図を作成することにより、業務の改善を効率的に行うことができます。業務フロー図には、その業務の始まりから終わりまでの一連の流れを記述することで、業務全体を俯瞰することができ、一つひとつの作業をどのように調整すればよいかを業務全体の流れを意識しながら考えることができます。

また、直接に業務を経験したことがなくても業務フロー図を見れば業務の流れがわかることから、業務の改善策の検討に加わってもらうことができます。さらに、作成した業務フロー図は、そのまま業務のマニュアルとして活用できるという利点もあります。

3.業務フロー図を作成する際の注意点

業務フロー図を作成するときは、同じ作業に従事している担当者をできる限り集めて行います。こうすることによって、自然と作業方法の標準化が図れるとともに、作業に慣れていない担当者が作業方法に習熟する手助けとなります。

また、業務フロー図にはさまざまな記述方法がありますので、いろいろな記述方法を比較検討して、自分たちで作ることのできる方法を採用しましょう。

【業務の無駄を洗い出し改善策を検討する】

作成した業務フロー図をもとに作業方法の改善を行います。改善策を考える上では、改善の4原則に則って、業務フローをはじめから見直してみましょう。改善の4原則とは、

  • 排除…作業自体をなくせないか?
  • 結合…他の作業と一緒にできないか?
  • 交換…他の作業と順序を交換できないか?
  • 簡素化…作業を簡素化できないか?

の4つを指します。

【チェックが必要な箇所を検討する】

人間が作業を行う以上、ミスはつきものです。ミスの種類によっては、工程が進むほどそのミスを取り返すのに時間がかかってしまうようなものもあります。このように、作業の流れに大きな影響を与えるミスについては、そのミスが発生するもととなる作業の直後にチェックを行うようにします。

また、商品発注作業などはミスが許されない作業ですから、ダブルチェックを行うなどのチェック体制を入念に整える必要があります。

なお、どのような作業において特にミスが発生しているかというデータを収集しておくことも、チェックが必要な箇所を検討する上で、大変有効です。

【作業量分担の見直しと作業内容の標準化を図る】

作業内容自体の改善策が決まったら、次に担当者ごとに作業内容と作業量の見直しを行います。特定の作業者に作業量やチェック機能が集中していて負担が掛かっていないか、確認しましょう。

【作業内容改善後の業務フロー図をあらためて作成する】

業務フロー全体の改善策が決定したら、あらためて改善後の業務フロー図を作成することで、改善後の作業方法を担当者同士で共有することができます。また、業務フロー図を変更するたびに、業務フローも更新を行うようにしましょう。あとでまとめて更新しようとすると大変ですので、日ごろからこまめに更新することが大切です。

回答者
中小企業診断士・一級FP技能士・第三種電気主任技術者 谷口 英人

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