首相官邸は、石破内閣総理大臣記者会見(9/7)について発表しました。
【石破総理冒頭発言】
急な御案内で誠に恐縮であります。
この度、私は、自由民主党総裁の職を辞することといたしました。そのため、党則第6条第2項に基づく総裁選、すなわち、任期中に総裁が欠けた場合の臨時総裁選の手続を実施するよう、森山幹事長に伝えたところであります。したがって、党則第6条第4項に基づく臨時総裁選の要求手続を行う必要はございません。新総裁を選ぶ手続を開始していただきたい、このように考えております。
正に国難ともいうべき米国関税措置に関する交渉は、私どもの政権の責任において道筋をつける必要があると、このように強く考えてまいりましたが、先週の金曜日に、投資に関する日米了解覚書の署名が行われ、米国大統領令も発出をされました。昨日、帰国した赤澤大臣から直接報告を受け、私としても、一つの区切りがついたと感じることができました。
かねてより私は、地位に恋々とするものではないと、やるべきことを成した後に、然るべきタイミングで決断すると、このように申し上げてまいりました。あわせまして、選挙結果に対する責任は総裁たる私にあると、このようにも申し上げてきたところであります。米国関税措置に関する交渉に一つの区切りがついた今こそが、その「然るべきタイミング」であると、このように考え、後進に道を譲る決断をいたしました。新しい総裁が選ばれるまでの間、国民の皆様方に対して果たすべき責任を着実に果たし、新しい総裁・総理にその先を託したいと思っております。
少数与党であるにもかかわらず、約1年間、ここまで務めることができましたのは、自民党、そして友党・公明党の皆様、国民の皆様方のお支えがあったからこそであり、心より深く感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。私は、党派を超えた合意形成、「熟議の国会」にふさわしい、真摯で、誠実な国会審議に精いっぱい努めてまいりました。できる限り、自分の言葉で語るようにいたしてまいりました。この間、御尽力、御協力を頂いた各党、各会派の皆様にも、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
その結果、昨年の臨時国会及び今年の通常国会におきまして、少数与党でありながら、能動的サイバー防御に係る法律など、政府が提出をした法案68本中67本、条約は13本全てが成立をいたしました。党において、あるいは現場において、大変な御苦労を皆様方にいただきました。お陰様でこのような結果を残すことができました。
私どもの政権では、本当に困っておられる方々、苦しんでおられる方々に手を差し伸べたい、そのような思いで取り組んでまいりました。その一環として、令和6年度補正予算で低所得者給付金と重点支援交付金を措置するとともに、令和7年度には、所得税減税につながる、いわゆる「103万円の壁」の引上げも行いました。
先週金曜日には、全ての都道府県での最低賃金の取りまとめが出そろい、全国加重平均で過去最高額の1,121円、引上げ額は過去最大の66円、率にして6.3パーセントの増と、このような結果となりました。これは、都道府県間の格差縮小にもつながる内容でもございました。同日に公表されました7月分の実質賃金は7か月ぶりのプラスとなりました。多くの方々の大変な御努力のお陰であります。「賃上げこそが成長戦略の要」と、こういう考え方が着実に浸透し、成果が上がっております。
災害対策につきましても、被災して苦しんでおられる方々の御負担を軽減したいと、そのような思いで避難所の生活環境の改善などに取り組んでまいりました。トイレカーであり、キッチンカーであり、そしてまた段ボールベッドであり、一番苦しい立場におられる方々、一番つらい思いでおられる方々、そういう方々に少しでも手を差し伸べたい、そのように強く今でも考えております。内閣府防災担当の人員・予算を前年度から倍増するとともに、専任の大臣の下で十分なエキスパートと予算を有する防災庁を来年度に設立をいたします。
世界有数の災害大国である我が日本国は、災害対応も世界一でなければならない。これは私の変わらざる思いであります。頻発化・激甚化するこの災害、この被害を、本当に少しでも減らしていかねばならない。それは国家としての責務であると私は信じております。首都直下型地震、南海トラフ地震などの大規模災害は、起きるかどうかではありません。いつ起きるかの問題であります。それに備える体制の整備には一刻の猶予も許されるものではございません。
昨年来の米の価格高騰を踏まえ、令和7年度から米の増産を進めることといたしました。消費者の皆様方が安定的に米を買えるようにするとともに、意欲ある生産者の皆様の所得が確保され、不安なく増産に取り組めるような新たな米政策へと転換をすることにいたしました。これは十数年前、私が麻生内閣の農林水産大臣を務めておりましたときからの強い思いでありました。今後、その政策を具体化していくことになります。
政府としても力を入れて取り組んでおります大阪・関西万博も、御来場のお客様が2,000万人を超え、黒字化のめども立ちました。
万博の機会を捉えて、多くの海外の首脳の皆様方が来日をされ、そのような方々も含めて、私が昨年10月に就任いたしまして以来、89の国や機関と150を超える首脳会談を行いました。
そうした中で、関税交渉も含め、日米同盟関係は更に深化をし、同志国との連携の強化、ASEAN(東南アジア諸国連合)、インドを始めとするアジア、大洋州、アフリカ、中南米など、幅広い国との信頼関係を構築できたものと考えております。トランプ大統領との電話会談、対面の会談も何度も行いました。また、大韓民国・李在明(イ・ジェミョン)大統領、そしてインドのモディ首相。本当に実りある、誠心誠意の会談ができたと、このように思っております。
私どもは、アジアの国々、そういう国々の理解を、連帯を、更に追求をしていかなければなりません。合衆国との同盟関係を強化することは当然のことでありますが、それと同時に、アジアの国々、そしてアフリカの国々、そしてかねてより深い関係がありますヨーロッパの国々。世界にとって日本が必要であると、そういうような思いをこの1年間、強く感じてまいりました。これを次の総裁・総理にも、是非とも引き継いでいただきたい。この外交にお力添えをいただいた多くの皆様に本当に心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
しかしながら、昨年9月に自由民主党総裁に選んでいただいたときの多くの方々の御期待に応えることができたかと、そのように自問するとき、本当に忸怩(じくじ)たる思いがございます。
地方創生こそが日本の経済成長、少子高齢化の克服のために必要だと訴えてまいりました。地方の育ちであり、そして初代の地方創生大臣を務め、本当に地方の疲弊、そういうものを実感しております私にとって、地方創生は最も成し遂げたい事業の一つでございました。そのような思いから、「地方創生2.0」を「令和の日本列島改造」と位置づけ、重点施策として取り組んでまいりました。新地方創生交付金を倍増し、国の職員が自治体に寄り添って支援をする「地方創生伴走支援制度」も創設をいたしました。本当に地方の方々に寄り添って、国が上とかそのようなことではない、本当に共に笑い、共に泣き、共に汗する、そういうような国と地方との関係を築きたいと、そう思ってまいりました。
その上で、今後10年間を見据えた「基本構想」を取りまとめ、「ふるさと住民登録制度」を創設をし、関係人口1,000万人創出などを打ち出しました。しかし、東京一極集中を脱却し、地方創生を実現するためには、もっと大胆で強力な取組が必要であると、その思いを強くしておったところであり、これは残念ながら道半ばであると言わざるを得ません。
賃上げにつきましても、確かに潮目の変化は現れておりますが、物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、実感をしていただくためには、更に取組を加速させることが必要であります。都会であれ地方であれ、男性であれ女性であれ、働きたい方が年齢を問わずに働ける社会にしていかなければならない。労働に見合った対価を得られるようにしなければならない。これは私の確固たる考えであります。特に、介護、福祉、医療など、我々の生活を支えていただいておる皆さん方には、より高い報酬が支払われるべきであります。賃上げが当然であるという考え方の定着、労働分配率を上げる企業行動の変容、それらを促し、きめ細かく支援する政府の更なる取組が必要であります。
賃上げが消費に結び付く、そのような好循環を実現するために、セーフティネットとしての社会保障制度、持続可能な社会保障制度、次の時代にもきちんと機能する社会保障制度。安心の確保は、国家にとって国民にとって不可欠の課題であります。消費税がその貴重な財源であると、この認識に変わりはありませんが、消費税や社会保険料が現役世代の方々、とりわけ所得の低い方々にとって負担感が極めて強いということも肌身で実感をしておるところでございます。医療・介護・年金などの社会保障制度について、責任を持って次の時代に引き継ぐために、給付と負担の在り方も含め、与野党を超えて議論を進めていく必要がございます。
米国との関税交渉については、この度成立した合意により、我が国の経済安全保障の確保と経済成長の大幅な加速を目指す、その礎ができたものと確信をしておりますが、これで決着ではありません。これから合意の実施を確保すること。そして、新たな懸念が生ずれば、それに対応していくことが必要であります。
私どもの政権とトランプ政権との信頼関係の下で成り立った合意でございますので、私どもの政権においてその責任を全うすべきでありましたが、このような形になったことは実に心残りであります。
我が国は輸出の品目が6,000ございます。その中で対米輸出品目は4,000を超えております。一つ一つの輸出品目、それを取り扱っておられる企業・事業者の皆様、そういう方々の持っておられる不安をきちんと払拭をし、そして、更に強い日本の経済をつくっていかねばなりません。是非、新しい政権も、日米両国政府の信頼関係を引き継いでいただき、合意の実施を確実にしていただきたいと、このように強く思っております。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応するため、防衛力の抜本的強化を着実に進めてまいりました。どんなに立派な飛行機や車両や船を持っても、それを動かしていただく人がいなければどうにもならないと就任以来、申し上げてきたことでございます。人的基盤である自衛官の皆さん方の処遇の改善について、関係閣僚会議を設け、政府を挙げて取り組み、一定の成果が現れ始めております。
先日、中国で行われた軍事パレード。中国、ロシア、北朝鮮の首脳が並んで立つ姿を目の当たりにするとき、今後更に厳しい安全保障環境になる、その危惧を禁じ得ません。
カナナスキスのG7サミットでも、私は何度も申し上げたことですが、欧州、中東、東アジアの安全保障環境は互いに密接に関係しております。米国の核抑止力の信頼性の確保、シェルターの整備など、我が国の抑止力を高めていくことは喫緊の課題であります。ウクライナにおける戦闘に見られるように、戦い方は急速に変化をしております。我が国の防衛力の自主的な強化、誰から言われたからではない、自主的に防衛力を強化する、それに更に取り組んでいかねばなりません。それと同時に、各国との対話を通じた信頼構築、これに取り組んでいかねばならないことは言うまでもございません。
拉致問題の本質は国家主権の侵害であり、拉致被害者の方、御家族が御高齢となる中で、時間的制約のあるひとときもゆるがせにできない人道問題であります。日朝平壌(ピョンヤン)宣言の原点に立ち返り、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国、北朝鮮との諸課題の解決に向けて努力をいたしてまいりましたが、その結果を出すことができませんでした。痛恨の極みであります。
政治改革につきましては、昨年、総裁として、政策活動費の廃止、いわゆる「旧文通費」の使途公開と残金の返納、政治資金規正法に基づく第三者機関の早期設置という方針を示し、昨年末には、政治改革法が成立をいたしました。それでもなお、政治とカネの問題を始め、国民の皆様方の政治に対する不信を払拭することはいまだにできておりません。このことは私にとって最大の心残りであります。我が自由民主党は、けじめをつけなければなりません。
我が自民党は、今さえよければいいとか、自分さえよければいいとか、そのような政党であっては決してなりません。寛容と包摂を旨とする保守政党であり、真の国民政党であらねばなりません。我々自民党が信頼を失うことになれば、日本の政治が安易なポピュリズムに堕することになってしまうのではないかと、その危惧を私は強めております。
私としては、まだやり遂げなければならないことがあるという思いもある中、身を引くという苦渋の決断をいたしました。それは、このまま党則第6条第4項に基づく臨時総裁選要求の意思確認に進んでは、党内に決定的な分断を生みかねないと考えたからであり、それは決して私の本意とするところではございません。
自民党の皆様には、その思いを共有していただき、共にこの難局を乗り越えていただきたいと心から強く願っております。古い自民党のままである、何も変わっていないと国民の皆様方から見られるようであっては、党の明日はございません。真の意味での「解党的な出直し」を成し遂げなければなりません。本日この場を、その一歩とすることができますよう、党員・党友の皆様方のお力を賜りますように、心よりお願いを申し上げます。
国民の皆様方には、このような形で職を辞することになったことを大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございません。残された期間、全身全霊で国民の皆様方が求めておられる課題に取り組んでまいりますので、何とぞ御理解を賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。
私からは以上であります。ありがとうございました。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問をいただきます。
まず、幹事社から御質問をいただきます。日経新聞・三木さん。
(記者)
幹事社の日経新聞の三木と申します。
総理、お疲れさまでした。よろしくお願いいたします。
この度、辞任の意向を表明されましたけれども、辞任の意向を固められたのはいつでしょうか。
また、冒頭発言でも言及がありましたけれども、自民党のほうで臨時の総裁選の実施を求める動きが広がっていました。この期限が明日決定することになっていましたが、総理の今回の辞任の決定に、自民党の動きがどのように影響したのかお伺いします。
最後に、総理は先週も経済対策の策定の意向を表明され、この後は外交日程が続きます。総理が次の方、後任に託すタイミングとして意識されている時期のめどがあれば伺います。
(石破総理)
ありがとうございました。
それは先ほどの会見でも申し上げたとおりでありまして、選挙の責任は最終的に総裁たる私が負わねばならないということ、これは参議院選挙に敗北したときからずっと思っておったことでございます。然るべき時期ということを申し上げました。それはこの極めて困難な日米関税交渉、赤澤担当大臣が本当に何度も何度も訪米をし、外務省、財務省、経産省、農水省、本当に多くの皆さん方が全身全霊、不眠不休で取り組んでいただきました。その結果、一定の成果が見られるようになったと。これは、辞めますよと言っている政権と、誰が本気で交渉をするのかということでございます。そのときに辞任というようなことは、間違っても口の端にのせるべきではありません。そのような国益に反することはできません。口が裂けてもそんなことは言えないということでございます。
一定の成果が見られた、前進が見られた、あとはいかに迅速に誠実に着実にそれを実行するか。そして、ほかの、自動車だけではない、多くの関連する企業の皆様方に安心していただくということに万全の態勢を敷くということ、それにめどがついたと、そういう時期が決断のタイミングであったということでございます。そのほかにも賃上げ等々がございますが、一番の決断のタイミングがなぜ今なのかということは、関税交渉の前進、成果ということでございます。
次の方に何を期待するかというようなこと、またその時期についてのお尋ねであったかと思います。それは今後、いわゆる通常の総裁が欠けた場合、総裁選挙ということに入ることになると思われます。それは党で決めることでございますので、そのスケジュール等々について私が言及すべきことだというふうには考えておりません。
今回の(総裁選)前倒しのいろいろな議論、動き、そういうものもございましたが、私自身、この然るべきタイミングということがいつであるのかということが言えないと。だけども、それが、言わないことが国益であり、どのような御批判を浴びてもこれは守らねばならない、そのように思ってきた次第でございます。
(内閣広報官)
続きまして、同じく幹事社、時事通信・丸橋さん、お願いします。
(記者)
9月の幹事社を務めさせていただきます、時事通信社の丸橋です。
総理、よろしくお願いいたします。
ちょっと確認になるのですが、総理、先ほど後進に道を譲りたいという趣旨の発言をされましたが、総理は新総裁を選ぶ総裁選には出馬をされないということでよろしいでしょうか。確認をさせてください。
その上で、総理は、参院選後に比較第一党としての責任ということを強調されまして、辞任に対して否定されるお考えをずっと続けられていました。今日も先ほど、日米の関税合意に関して、責任を全うできないことについて、ちょっと「心残り」というような表現を使われましたが、責任という部分と心残りという部分との間で、もっと詳しくお気持ちを聞かせていただければと思います。
最後に、総裁選前倒しを求める党内からの声に対して、総理の支持をされる方からは、衆院解散・総選挙によって対抗するべきだという声が取材によっては出ていました。総理自身は、衆院解散の可能性についてどのように考えられていたかということをお聞かせください。よろしくお願いいたします。
(石破総理)
時期は、私が言及すべきことではありませんが、来る総裁選挙には、出馬はいたしません。それは申し上げておきます。タイミングについては先ほどお答えをしたとおりでございます。
比較第一党ということを申し上げました。確かに、議席を減らすと、自公で過半数が非改選議席と合わせて確保できなかったということでございます。しかし、私どもは比較第一党を頂いた。その責任を果たしていかねばならないと。国政には一刻の猶予も許されないということでございます。国会質疑等々、あるいは国政の運営において、国政に停滞も寧日も許されないのであって、そこは比較第一党の責任というものを果たしていかねばならないと思ってまいりましたし、他党の皆様方との連携ということも常に考えてまいりました。それは国会論戦だけではございません。しかしながら、同時に、このけじめはどこかでつけねばならないというふうに思っておった。「然るべき」というのは先ほど申し上げたとおりでございます。
解散についてのお尋ねでございます。それは、この難局に対して国民の皆様のために政府の機能というものがいささかなりとも停滞することがあってはならないということを考えたからにほかなりません。それは、国民の皆様方のお考えと党の考え方に乖離(かいり)があるということをどう考えるかということ。私どもは、そのことをまた常に考えねばならないと思ってまいりました。そのこととの間でいろいろな考えがあったことは、それは否定をいたしませんが、何よりも国民の皆様方に対して、政府の機能が停滞するということがあっては決してならないということで、この判断に至ったものでございます。
(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。
日本テレビ・平本さん。
(記者)
総理、日本テレビの平本です。
政権運営、お疲れさまでございました。
この辞任のタイミングが適切かという点でお伺いしたいです。参議院選挙が終わった後に、自民党内から、辞めるべきという声がかなり高まりました。明日で参議院選挙が終わってから50日たつんですよね。もっと早く辞めるべきだったのではないか、もっと早く辞めていたらよかったのではないかというお考え、総理の中にありますでしょうか。特に、国民生活。物価高対策、給付か減税か、ガソリン税の廃止をいつやるのか。国民の多くは、やはり政治を前に進めてほしいという声が多かったです。総理は政治空白を許さないから政権運営を続けると言っていましたが、この50日間にわたる間、政治が止まったことで、むしろ政治空白が生まれてしまったというお考えは総理の中にあるでしょうか。
(石破総理)
いろいろな御批判はあると思います。私はこの間、いかにしてこの関税交渉、これは参議院選挙が終わったときに、この見通しが確たるものが立っておったわけではございません。むしろいろいろな厳しい状況というものにも直面をいたしておりました。この合意、しかしながらそれは大統領令の発出というところまできちんとやっていきませんと、これは確たるものになりません。例えば、自動車の関税が25パーセントということになったときに、一体いかなる影響が日本経済に生ずるか。自動車のみならず、関連産業、日本最大の雇用を有しておりますこの自動車というもの、そのほかにも多くの企業があり、労働者の方々がおられ、家庭があり、生活があります。これに一定の道筋をつけるということに、政権として本当に力を注いでまいりました。私は、ここにおいて政治空白があったとは考えておりません。
そしてまた賃上げというもの、これを確実に実行するということ、これは私どもの政権としてどうしてもやり遂げたかったことでございます。地方において、あるいは中小・零細の職場で働かれる方々にとってこの賃上げこそが、物価上昇を上回る賃上げこそが最重要であるということ、それは先ほど申し上げたような成果を得られたものでございます。
また、防災につきましても、あるいは危機管理の対応にいたしましても、米対策、農業政策についても、私はこの間、全身全霊で、政府として多くの皆様方のお知恵、お力を頂きながら、着実に政策を実行してきたと、このように考えておるものでございます。それはいかなる御批判も、それは為政者として受けねばならないものです。しかし、この間、今おっしゃる政治空白というものは絶対にあってはならないという思いで、ある意味、不眠不休で、土日返上で、当然のことです、全力で、皆さん方と共に努力をしてきたということについての自負はございます。足らざるところ、多々あったでしょう。いかなる御叱声も、それは甘んじて受けるものでございます。
(内閣広報官)
次は、NHK・根本さん。
(記者)
NHKの根本です。よろしくお願いします。
先ほど総理、後進に道を譲る決断をしたと。新しい総裁・総理にその先は託したいという御発言がありました。現在の政治状況を見ますと、衆参両院で過半数を割り込む状況で、内政・外交ともに重要課題が山積しております。先ほど総理、地方創生ですとかアメリカの関税措置で心残りですとか、あるいは道半ばという発言もありました。新しい総理・総裁に、政権運営や、あるいは政策の点から、どのようなことを期待されるか教えてください。
(石破総理)
それも先ほど申し上げたとおりですが、この関税措置に伴う一連の政策というもの、あるいはこの関税措置の迅速かつ着実な実行ということは、一つの区切りとして位置づけたものでございますので、これは何としてもお願いしたい、やらねばならないと思っております。また、賃上げというもの、この流れを確実なものにしていかなければならないと思っております。そして、農政改革、これは焦眉の急であるというふうに考えております。安全保障もそうです。それは数え上げればキリがございません。しかしながら、この関税措置、これに伴う諸施策、そして防災庁、この設立、そして賃上げ、農政改革、そういうことは次の政権に何としても引き継いでいただかねばならない、私は強くそのように考えております。課題はいっぱいございます。しかしながら、あえて問われれば、この三つは何としても強力に実行し、その成果を得ていただきたい、そのように考えておるものでございます。
(内閣広報官)
そうしましたならば、テレビ朝日・千々岩さん。
(記者)
総理、お疲れさまでした。テレビ朝日の千々岩です。
2点あるのですが、昨日の夜、菅元総理、今は副総裁ですが、それと小泉農水大臣が公邸に入られて、内容としては、この8日を前に進退の判断を求める、説得されたというふうに聞いています。これはどれほど影響があったのか、もし影響があったとすれば、どのような言葉が具体的に響いたか教えてください。
もう一つ、このプロセスがもし進んでいたとすれば総裁選ということになったわけですが、総理が辞任されることで結果的になりますけれども、(総裁選に)出馬されるお考えというのは元々なかったのでしょうか。いろいろ政策課題を今日も挙げられました。道半ばというのもありました。そのためには出馬という考えもあったと思うのですが、これはなぜされないのか。それから、されない判断に至ったのはいつなのか、それも教えてください。
(石破総理)
ありがとうございました。
菅副総裁、小泉農林水産大臣との会話の内容は、ここでお話をすべきことだと私は思っておりません。政治家同士の話をぺらぺらしゃべるような、私はそのようなことは断じていたしません。しかし、副総裁から、党の亀裂は避けるべきであると、党の分断なぞということはあってはならないということは、歴代総理・総裁経験者の皆様方とお話をしたときから、非常に強く、副総裁がおっしゃっておったところでございます。多くの方々から御意見を承る中にあって、やはり私どもの政権というのは、菅元総理のいろいろなお知恵、お力によるところが大きかったというふうに考えております。
小泉農林水産大臣は、そこで多くを発言をされたわけではございません。ただ、私も小泉さんが初当選した、私は当時、政調会長でございました。政調会長、幹事長、地方創生大臣と務めていく上において、あるいは内閣総理大臣と農林水産大臣という関係において、いろいろな議論を闘わせてまいりました。そこにおいて、もちろん彼が昨日、積極的に発言をしたわけではありませんが、いろいろな発言は、示唆もあったということに尽きます。
(総裁選出馬について)これは先ほどお答えしたとおりでございます。
(内閣広報官)
お時間との関係もございますので、あと2問にさせていただきます。
新日本海新聞の西山さん。
(記者)
日本海新聞の西山です。よろしくお願いします。
冒頭にも言及があったのですけれども、地方の活性化に関してお伺いします。昨年、地元の鳥取県は石破総理誕生ということで、初の県勢の総理ということでかなり沸きまして、地方の実情をよく知る総理ということで期待を寄せました。ただ、結果的に、今回、約1年での退陣ということで、総理肝煎りの防災庁の設置ですとか、賃上げですとか、地方創生、まさに先ほどおっしゃったように道半ばかと思います。
先日の両院議員総会でも、地元鳥取の有権者への思いと一緒に、石破なら変えてくれるという期待を裏切ったこと、また、少数与党下での政権運営についても自ら言及もされていたと思うのですけれども、今、国民、特に地元・鳥取の方に何を伝えたいですか、何と説明したいですか、お考えをお聞かせください。
(石破総理)
ありがとうございました。
5回目の出馬で総裁になることができたと、それは本当に厳しいとき、どんなときでも支えてくださった地元・鳥取の有権者の方々、あるいは県民の皆様、そういう方のお支えがなければ、私は決して総理・総裁を務めることはできませんでした。
そして、去年の9月にどれほど喜んでくださったことかという光景を今も忘れることはありません。やはり、地方で育った者として、そして1日200軒、300軒ずっと歩いてきた者として、地方の実情というのはよくよく知っております。先ほどの賃上げのお話にしましても、鳥取県は非常に大きな取組をしていただいたと思っています。それは平井知事を始め多くの方々が、一番小さい県だからこそ、頑張らなければいかんと、そういうことで取り組んでいただいたおかげでございます。
私は、この間の両院議員総会でも、石破なら変えてくれると、石破らしくやってくれという強い御期待で総裁になったと思っています。しかし、少数与党ということで、あるいは党内において大きな勢力を持っているわけでもございません。そして、本当に多くの方々に配意をしながら、融和に努めながら、誠心誠意努めてきたことが、結果として「らしさ」を失うことになったという、一種の、何と言ったらいいのでしょう、どうしたらよかったのかなという思いはございます。
しかし、いろいろな制約の中で、縷縷(るる)申し述べてきましたように、やるべきことは、私自身、本当にこれ以上はできなかったというほどにできたというふうに思います。誇るつもりもないし、自画自賛をするつもりもないし、だけれども本当に多くの方々のお力のおかげで1年間やることができたと。結局、地元へ帰ることは1回しかできませんでした。それは、地元の人に本当に喜んでもらえる機会というものを本当は得たかったと思っています。これからまた、地元の皆様方と共に、新しい地方から、新しい日本をつくるということにまい進してまいりたいと考えております。
県民の皆様方に、本当に心からお礼を申し上げ、御期待に応えることができなかったことをおわびを申し上げます。
(内閣広報官)
河北新報・関川さん。
(記者)
河北新報の関川と申します。
参院選後に総理退陣を求める声が高まる一方で、各種世論調査では、内閣支持率が上昇していました。SNSでも石破辞めるなという発信もありました。ある意味で、参院選での結果とねじれる形での一部の民意が可視化されたのだと思います。これは、ある意味、特殊な状況だったかと思いますけれども、これについて、どう受け止めていらっしゃるのかということ、国民のどのような意識の表れだったというふうにお考えでしょうか、お聞かせください。
(石破総理)
これは、皆様方もジャーナリスト歴が長くていらっしゃると思います。今までにないことが起こっているということは、一体何だったのかということを、私自身、随分と考えてまいりました。それは、私に対する御評価をいただいているというよりも、きちんと仕事をしてくれということではなかったかと思っています。それは、党内でいろいろな争いをするよりも、きちんと仕事をしてくれと、国家、国民に対して仕事をしてくれというような強い意思の表れではなかったかと思います。
あるいは、「石破辞めるな」というようないろいろな動きもございました。ありがたいことでございました。それは私自身、どうしたら自分の言葉で語ることができるか、どうしたら人に分かってもらえるか、これは「石破構文」なぞといって、やゆもされましたが、でも、どうか分かってくださいということ、そのことに努めたことが御評価をいただいたのかもしれません。いろいろな政策は異なります、考え方が異なることもございます、でも、賛成はしていただけなくても納得していただけるということ、そして、質問をしておる野党の方々に対してはもちろんですが、その向こうにおられる有権者の方々、国民の方々に向けて話すということが、あるいは一定の御支持につながったのかもしれない、それは、私自身があれこれ言及すべきことではありませんが、そのように考えておるところでございます。
(内閣広報官)
以上をもちまして、会見を終了いたします。
今、挙手いただいていらっしゃる方々には、御質問、また、書面で頂ければと思っております。
すみません、お時間の都合で申し訳ございませんが、後ほど書面をお願いいたします。
(石破総理)
これは、司会にお任せしています。私の判断ではございません。
(内閣広報官)
すみません、先ほど申しましたとおり、最後2問ということで取らせていただきました。大変申し訳ございませんが、後ほど書面で御質問いただければ、本日中に1問頂けましたらば、担当者にメールをいただけましたらば、送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(石破総理)
ありがとうございます。
(内閣広報官)
御協力ありがとうございます。
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