全国社会保険労務士会連合会は、2025年度政策提言・宣言について、下記内容を発表しました。
連合会は、2026年3月12日、労働・社会保障制度及び人事労務の専門家である社労士の視点に基づく提言として、2025年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」を公表しました。
連合会は、『「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現』をコーポレートメッセージに、2022年度から労働法・社会保障制度及び人事・労務管理の専門家である社労士として、日頃から実務に携わる現場の視点に基づく政策提言を行っています。さらに、2025年の第9次社会保険労務士法改正により、「社会保険労務士の使命」として「適切な労務管理の確立及び個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成に寄与すること」が法に明記されたことを受け、連合会はこれらの使命の実現に資する政策提言として取りまとめ、真に人を大切にする社会の実現を目指しています。
提言の取りまとめにあたっては、全国の社労士から広く意見募集を行っており、本年度においては、過去の提言に新たな視点を加え改訂した提言2項目と新たに寄せられた意見に基づく提言18項目を追加し、柔軟な働き方の促進を阻害している法制度や、現場で不公平・非効率な運用を生んでいる法規制の改善提案を中心に、62項目の提言を取りまとめました。
また、「働く」ことの価値観や働き方などが多様化するなか、社労士は人的資本経営の専門家であることを宣言しています。
連合会は、労働法・社会保障制度及び人事労務の専門家であり、労使双方の視点を併せ持つ社労士の知見に基づく政策提言を、今後も継続的かつ積極的に発信してまいります。
2025年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」(2026年3月12日公表)

| タイトル | 説明 | サイズ(Kb) | |
|---|---|---|---|
| 2025年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 本文 | 2025年度政策提言・宣言 本文 | 531.94 | |
| 2025年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 概要 | 2025年度政策提言・宣言 概要版 | 1,596.91 | |
| 2025年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」 単年度版 | 2025年度政策提言・宣言 単年度版(新規追加・改定した提言を抜粋) | 327.37 |
2025年度政策提言・宣言 8つの特徴的提言
| 1.治療と仕事の両立支援についての法制化 現状、長期治療が必要な労働者の「治療と仕事の両立」に関する支援は、事業主の「努力義務」にとどまっており、法的強制力がないため、企業側の理解不足や対応のばらつきが課題となっている。この現状を改善するため、治療と仕事の両立支援に関する合理的配慮の提供を事業主の義務とすることを提言する。 2.外国人育成就労制度における労働社会保障および労務管理の専門家による労務監査制度の創設等 3.最低賃金引き上げ額の適切さを評価するための客観的目安の設定
我が国において賃上げが成長戦略の要とされるなか、国民および企業のコンセンサスを得ながら最低賃金の引き上げを行うため、以下の2点を提言する。
1. 最低賃金引き上げ額の適切さを評価するための客観的目安の設定 2. 目安に基づく最低賃金決定プロセスの透明化と中期的な最低賃金引き上げのロードマップの提示 4.労働契約法における「出向」「転籍」「配置転換」の定義化 5.特退共・中退共から他の企業年金制度への資産移換の拡大 6.ねんきん定期便への使用者(事業主)負担の保険料納付額の記載 7.性別変更に伴う社会保障を享受する権利の速やかな移行や配慮について
戸籍上の性別変更を行った場合、社会保険における性別訂正の手続きに時間を要し、健康保険証(健康保険資格確認書)の発行まで1か月以上必要とするケースも散見されるため、現在本人確認書類として求められるマイナンバーカード、運転免許証、健康保険資格確認書等の発行について、より速やかな対応を可能とし、受益者の不便が講じることのないよう提言する。また、現在、健康保険、厚生年金保険の被保険者の性別の訂正がなされた際、マスキング処理をすることができず、意に反した「アウティング(性的指向や性自認について本人の同意を得ず第三者に暴露する行為)」が起こってしまうことが懸念されるため、電子データの形式の変更を提言する。 8.高額療養費制度における多数該当の保険者通算制度の導入※2024年度公表分 |
政策提言項目一覧
※
は2025年度新規追加(改定)した提言です
提言1.多様なキャリア形成の支援
1-1. 治療と仕事の両立支援についての法制化
1-2. 基本手当の給付年齢の70歳まで拡大
1-3. オンラインでのハローワーク求職登録の解禁
1-4. 副業・兼業における労働時間通算による割増賃金支払いの撤廃
1-5. 在宅勤務者の雇用保険適用手続における基準の見直し
1-6. 高齢者にかかる無期転換ルールの一律適用除外
1-7. 中小企業・小規模事業者における障害者雇用調整金の拡充
提言2.働く人の健康確保に向けた改善
2-1. 調理場の「暑熱職場」への追加
2-2. 労働基準法に労働時間の定義の規定化
2-3. 特例措置対象事業場における法定労働時間週44時間制の廃止
2-5. 短時間労働者への休憩時間の付与
2-6. ストレスチェック実施の人数要件の撤廃
2-7. 小規模事業場への健康管理支援体制の見直し
2-8. 産業医の紹介支援体制の構築
提言3.きめ細やかな子育て、介護との両立支援
3-1. 育児休業・介護休業の労使協定適用除外の見直し及び休業給付に係る被保険者期間の短縮
3-3. 育児休業給付と健康保険各種給付との併給調整の導入
3-4. 出生時育児休業及び子の看護休暇の対象を祖父母に拡大
3-5. 育児休業取得による社会保険料免除要件の見直し
3-6. 育児休業給付金における支給期間の終了日の変更
3-7. 第3子以降における育児休業給付金の支給要件の見直し
3-8. 育児休業給付金の支給申請方法の簡素化
3-9.産前産後休業期間の見直し
3-10.家族介護の実態を踏まえた介護休暇の取得事由の拡大
3-11.介護休業給付に係る就労日制限の廃止
3-12.介護休業給付の手続簡便化
3-13.介護休業期間における社会保険料免除等改正
提言4.休日・休暇制度の見直し
4-1. 就業規則における法定休日の特定の義務化
4-2. 4週4休制の特則の創設
4-3. 時間単位年休の時季指定日数からの控除対象への見直し
4-4. 年次有給休暇取得日における賃金計算時に採用する賃金の統一化
4-5. 紹介予定派遣から直接雇用へ移行時の年次有給休暇の取扱いの見直し
提言5.時代にあわせた社会保障制度への転換
5-1. ねんきん定期便への使用者(事業主)負担の保険料納付額の記載
5-2. 特退共・中退共から他の企業年金制度への資産移換の拡大
5-3. 社会保険の任意適用申請による認可日の見直し
5-4. 労災請求結果の事業主への通知
5-5. 労働者災害補償保険における遺族(補償)給付の見直し
5-6. 社会保険、社会保険料のルールの明示
5-7. 国民年金第3号被保険者制度の見直し
5-8. マルチジョブホルダーへの雇用保険適用
5-9. 標準賞与額の上限の引き上げの仕組みの見直し
提言6.公正なセーフティネットの整備
6-1. 外国人育成就労制度における労働社会保障及び労務管理の専門家による労務監査制度の創設等
6-2. 年金及び各種手当の毎月払い
6-3. 労働保険の暫定任意適用事業の廃止
6-4. 高額療養費制度における多数該当の保険者通算制度の導入
6-5. 高額介護合算療養費の所得基準内容の見直し
6-6. 失業に伴う国民健康保険料の軽減措置証明書類について
6-7. 健康保険及び厚生年金保険における激甚災害時減免措置の導入
6-8. フリーランス等における労災保険特別加入制度の見直し
提言7.公的サービスにおけるジェンダーインクルージョン
7-1. 性別変更に伴う社会保障を享受する権利の速やかな移行や配慮について
提言8.シンプルで実効性のある制度づくり
8-1. 最低賃金引き上げ額の適切さを評価するための客観的目安の設定
8-2. 労働契約法における「出向」「転籍」「配置転換」の定義化
8-3. 出生後休業支援給付金の受給資格否認通知の運用見直し
8-4. 雇用保険の本社一括適用承認基準の緩和
8-5. 離職票様式第5号・第6号の見直し
8-6. 雇用保険法第75条(戸籍事項の無料証明)の見直し
8-7. 厚生年金保険資格喪失時の国民年金への自動切換え
8-8. 75歳到達時の健康保険資格の自動喪失
8-9. 労働保険と社会保険との賃金(報酬)の定義の統一
8-10. 雇用保険被保険者転勤届の廃止
8-11.通勤手当の社会保険算定基礎からの除外
8-12.離職証明書等における被保険者期間の確認方法の見直し
<宣言>人的資本経営の実効性確保に向けて
近年、「ビジネスと人権」や非財務情報に関心が寄せられており、「人」に関する様々な情報やデータに着目すると、法律によって公表が義務化されている項目と、ISO30414など法律の枠組みとは別の視点で、企業戦略の一環として開示を促すような項目とに大別できます。
前者が規制的アプローチであるのに対して、後者は自主的アプローチである。これを企業戦略の一環として捉え、その戦略を遂行するための人材獲得、教育、処遇設計などの人材戦略につなげる取り組みを行うことにより、効果的な事業創出と事業執行に資するものとなる。そのため、人的資本の自主的アプローチ部分は、独自性が発揮しやすく、また自社の存在意義を示すことで企業の付加価値向上にもつながるため、企業規模・業種を問わず、今後の重要な経営視点となると考えます。
「人」を起点とするインプットやアウトプットは、イノベーションや事業執行において持続可能性を内外に示すうえでも重要であり、企業規模問わず経営労務監査等が必要となる。特に労務コンプライアンス及びコンプライアンス・プラスアルファの未整備な中小企業・小規模事業者を中心に整える使命が社労士にはあると考え、社労士業界を挙げて、人的資本経営の実効性確保に向けた支援を積極的に行うことを宣言いたします。
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