政府広報オンラインは、「障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など内部疾患の方も対象です」を掲載しました。
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公的年金には、病気やけがなどで障害が生じたときに支給される「障害年金」があります
障害年金は、がんや糖尿病など、病気で生活や仕事が制限されるようになった場合にも支給対象となります
障害年金が支給されるのは、保険料の納付要件などの支給要件を満たしている方です
加入していた年金制度や障害の程度、配偶者・子どもの有無などによって、支給される障害年金の種類や支給額が異なります
厚生年金保険や共済年金に加入していた方で障害の程度が1級・2級の場合は、障害厚生年金または障害共済年金と併せて障害基礎年金も受けられます
障害年金を受け取るためには、年金の請求手続きが必要です
病気やけがなどで障害が生じたときに支給される「障害年金」
20歳以上のすべての国民が加入を義務づけられている「公的年金」。公的年金には、自営業や主婦、学生などが加入する「国民年金」、サラリーマンが加入する「厚生年金」、公務員等が加入する「共済年金」があり、だれもが、いずれかの公的年金に加入することになっています。
年金というと、老後の生活を支える「老齢年金」がすぐに思い浮かびますが、現役世代にとっても、不慮のけがや病気などで障害の状態になったとき、家計の支え手が亡くなったときなどに、「障害年金」「遺族年金」が支給されるなど、”人生のもしも”を支える重要な社会保障制度です。ここでは、「障害年金」について詳しく紹介しましょう。
「障害年金」は、私たちが病気やけがなどによって障害の状態になったとき、生活を支えるものとして支給されます。「障害の状態」とは、視覚障害や聴覚障害、肢体不自由などの障害だけでなく、がんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの内部疾患により、長期療養が必要で仕事や生活が著しく制限を受ける状態になったときなども含まれます。また、障害手帳をもっていない場合でも、障害年金を受けることができます。
加入していた公的年金によって、障害年金の種類が異なります
障害年金を受けられるのは、公的年金に加入し、一定の保険料納付要件を満たし、かつ、障害の状態などの障害年金の支給要件を満たしている方です。
障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」「障害共済年金」があり、障害の原因となった病気で初めて病院を受診した日(初診日)に、どの年金制度の被保険者であったかによって、受給する障害年金の種類が違ってきます。国民年金の被保険者には「障害基礎年金」が、厚生年金の被保険者には、「障害厚生年金」、共済年金の被保険者には「障害共済年金」が支給されます。厚生年金・共済年金の被保険者は、自動的に国民年金の被保険者にもなるため、障害等級が1・2級であれば障害基礎年金も併せて支給されます。
ここでは、国民年金・厚生年金の被保険者に支給される障害年金について、それぞれの支給要件を説明します。
(1)障害基礎年金(国民年金)
- 障害の原因となった病気やけがの初診日が、国民年金の被保険者期間中であるときはもちろん、国民年金の被保険者となる前(20歳未満)や、被保険者資格を失った後(60歳以上65歳未満)である場合でも、支給の対象となります。
- 初診日が20歳前の方は、20歳に達したとき、また、初診日が20歳以降の方は初診日から1年6か月経過したとき(障害認定日)(*)または、それ以後で65歳になるまでの間で申請したときは、その時点で、障害の程度が、国民年金法施行令別表の障害等級表1級・2級のいずれかの状態である場合に支給されます。
(2)障害厚生年金(厚生年金)
- 厚生年金の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある場合に支給されます。
- 病気やけがによる障害の程度が、障害認定日または、それ以後65歳になるまでの間に申請した時点で、国民年金法施行令別表の障害等級表1級・2級、または厚生年金保険法施行令別表第1の3級のいずれかの状態である場合に支給されます。
(3)障害手当金(厚生年金)
- 厚生年金の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある場合に一時金として支給されます
- 障害の原因となった病気やけがの初診日から5年以内に治り(症状が固定し)、その治った日において、障害厚生年金(障害共済年金)を受けるよりも軽い障害の状態であって、障害の程度が厚生年金保険法施行令別表第2の障害等級表に定める程度である場合に支給されます
*障害認定日:障害の程度を定める日のことで、原則、障害の原因となった傷病の初診日から1年6か月を経過した日をいいますが、1年6か月以内にその傷病が治った場合(症状が固定した場合)は、その日をいいます。
障害年金が支給される「障害の状態」とは
障害年金が支給される「障害の程度」については、「国民年金法施行令」および「厚生年金保険法施行令」によって障害等級(1~3級)が定められています。
※身体障害者手帳の等級とは異なります。
障害等級 | 法律による定義 | 具体的には |
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1級 | 身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの | 他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。 |
2級 | 身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできてもそれ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。 |
3級 | 傷病が治らないで、労働が著しい制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度のもの | 労働が著しい制限を受ける、または、労働に制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活には、ほとんど支障はないが労働については制限がある方が3級に相当します。 |
障害手当金 | 傷病が治ったもので、労働が制限を受けるか、労働に制限を加えることを必要とする程度のもの |
障害の程度や配偶者・子どもの有無によって、支給される年金額が決まります
支給される障害年金の額は、加入していた年金や障害の程度、また、配偶者の有無や子どもの数などによって異なります。
障害基礎年金の年間支給額(令和4年度)は、1級障害が972,250円、2級障害が777,800円。18歳到達年度の末日までの間にある子(または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子)がいる場合は、その数に応じて、子ども1人につき一定額(子ども2人までは1人につき223,800円、3人目以降は1人につき74,600円)が加算されて支給されます。
障害厚生年金の年金額は、厚生年金加入期間中の標準報酬額と加入期間で算出され、「報酬比例の年金額」とも言われます。1級障害は報酬比例の年金額の1.25倍、2級障害は報酬比例の年金額が、障害厚生年金として支給されます。また、65歳未満の配偶者がいる場合は、223,800円(令和4年度)が加算されて支給されます。
1級障害、2級障害の障害厚生年金を受けられる方には、配偶者加算がされるほか、併せて障害基礎年金も受けられます。また、3級障害の障害厚生年金および障害手当金は、厚生年金に加入していた場合のみ、支給が受けられます。
障害基礎年金、障害厚生年金、障害手当金の額は、物価や賃金などの変動に応じて、毎年見直しが行われ、その年度の支給額に反映されます。
支給される障害年金の額(年額)※令和4年4月1日現在
障害年金を受けるには、本人からの支給申請が必要です
障害年金の支給を受けるには、本人またはご家族による年金の支給申請の手続きが必要です。なお、障害年金の手続きは複雑ですので、手続きを行う前に、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」(ナビダイヤル0570-05-1165)に電話するか、年金事務所や街角の年金相談センターなどに赴いて、事前に相談することをお勧めします。相談の際は、障害年金を申請する方の基本的な要件のほか、病歴や障害の状態なども確認しますので、基礎年金番号が分かるものや障害の状態に関する資料をお持ちください。
相談後、障害基礎年金はお住まいの市区町村役場または年金事務所、障害厚生年金はお近くの年金事務所に、「年金請求書」と添付書類を提出して、請求の手続きを行いましょう。初診日からの病歴や年数、障害の原因となった部位、配偶者の有無などによって、添付書類は異なりますので、年金事務所などに相談したときに確認してください。年金請求書の提出後、日本年金機構で障害の状態の認定や障害年金の決定が行われます。支給が決定した方には、日本年金機構から、年金決定通知書と年金証書が送付され、その後1~2か月で障害年金の支払いが開始されます。
障害年金の支給が開始されて以降、障害の状態が変わったときには、その障害の程度に合わせて年金額が変更されます。年金額の変更は、障害の状態の確認が必要な方には提出指定年に障害状態確認届(診断書)を送付し、診査により年金額の改定が自動的に行われるほか、障害が重くなったときは、本人の請求により、請求された月の翌月分から年金額が変更されます。
障害年金の受給について分からないことがある場合は、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターまたは「ねんきんダイヤル」にお問い合わせください。
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