経済産業省は、「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」を策定し発表しました。
1.背景・趣旨
経済産業省は、2007年9月4日、経営者による企業買収(MBO:マネジメント・バイアウト)に関する公正なルールの在り方を提示するため、「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(以下「MBO指針」といいます。)を策定しました。
MBO指針については、策定後約10年間の実務、裁判例や議論の蓄積、コーポレートガバナンス改革の進展等の上場企業を取り巻く環境の変化等を踏まえて、見直しについて検討する時期に来ているとの指摘や、支配株主による従属会社の買収等、MBO以外の利益相反構造のあるM&Aについても論点整理を行うべきとの指摘がありました。
こうした問題意識を受け、経済産業省は、MBO指針策定後の実務の蓄積や環境変化等を踏まえて、MBO指針の見直しの要否とその方向性について検討を行うため、2018年11月に、「公正なM&Aの在り方に関する研究会」(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)を立ち上げ、我が国におけるM&Aを健全な形で更に発展させていく観点から検討を行ってきました。
経済産業省は、同研究会における議論等を踏まえて、MBOに加えて新たに支配株主による従属会社の買収も対象に追加した上で、企業価値の向上と株主利益の確保の観点から我が国企業社会において共有されるべき公正なM&Aの在り方として、原則論を含めた考え方の整理と、その考え方に基づいた実務上の対応について改めて提示することとし、今般、MBO指針を全面改訂し、「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」を策定しました。
2.公正なM&Aの在り方に関する指針について
本指針は、類型的に構造的な利益相反の問題と情報の非対称性の問題が存在するMBO及び支配株主による従属会社の買収を中心に、主として手続面から、我が国企業社会における公正なM&Aの在り方を提示するものであり、これにより、我が国資本市場に対する信頼を高めるとともに、企業価値の向上に資するM&Aを促進することを目的としています。
本指針は、第1章「はじめに」においてその位置付けや対象等を明らかにした上で、第2章「原則と基本的視点」において、両取引を行う上での尊重されるべき原則と、原則の実現に向けて実務上の対応を検討する際の基本的な視点を明らかにしています。
その上で、第3章「実務上の具体的対応(公正性担保措置)」において、公正な手続を通じてM&Aを行うための実務上の具体的対応である公正性担保措置のうち、独立した特別委員会の設置をはじめとする一般的に有効性が高いと考えられる典型的な措置を取り上げ、その機能や望ましいプラクティスの在り方を提示しています。
3.パブリックコメントの結果について
経済産業省では、「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-(案)」について、令和元年5月14日(火曜日)から同年6月12日(水曜日)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。
その結果、18の個人及び団体からご意見をいただきました。本件についてご検討いただいた皆様には、ご協力いただきありがとうございました。
本件に関してお寄せいただいた主なご意見の概要及びご意見に対する経済産業省の考え方については関連資料2「パブリックコメントの結果」をご覧ください。
4.今後の取組について
我が国資本市場の信頼性を高めるとともに、企業価値向上に資するM&Aを促進するため、本指針の周知を進め、本指針に沿った実務の普及・浸透を図ってまいります。
関連資料
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