「消えた年金」

 年金特別便が国民全員に配布された当時は誰のものか判らない年金が5万件ありました。
 その後、年金の統合作業が行われ、現在は年金を貰っている世代のご相談は減りました。
 久しぶりにご高齢の男性(以下、Aさん)から年金の記録に間違えがあるので調べて欲しいとのご相談を受け記録の確認をしました。Aさんは入社から退職するまで1つの会社で勤務をしていたサラリーマンが長い典型的な日本人です。大学を卒業してから70歳直前まで働きました。Aさんの年金記録は大学卒業して65歳まで厚生年金に加入していましたが、65歳から68歳までは年金の記録がありませんでした。
 つまり70歳で退職するまでの途中の期間が年金未加入期間になっているのです。年金の記録は68歳から再度同じ会社に入り退職する70歳直前まで厚生年金に加入していた記録となっています。
 Aさんは「退職はしていない。65歳から68歳までの記録が漏れている」と仰いました。
実は、Aさんの年金記録を良く見るとこれは年金の記録間違えではなく「法律の改正」によるものでした。
 厚生年金は65歳まで加入する制度でしたが平成14年より加入年齢が70歳まで延びました。
Aさんは法律が改正される前に65歳を迎え途中で改正された年に68歳だったので再度、厚生年金に加入したのでした。
 ご本人は「年金は難しくて良く分からん・・」と仰いましたが納得して、最後に「良く判ったよ、ありがとう」と一言お礼を言って帰られました。
現在の日本を支えてきた「真面目で一生懸命働いた世代」の男性ですから多くの年金額ではないかも知れませんが暮らしは安定していて幸せな老後をお過ごしのようでした。元気に長生きをして頂きたいと思いました。
 日本の年金制度は、世界一複雑な制度とも言われています。年金のことでご不明なことがあれば、何なりとご相談下さい。

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