人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査 (独立行政法人労働政策研究・研修機構)

概要

研究の目的

近年、人手不足が顕在化している。働き方改革関連法の施行が迫る中、人手の過不足が従業員の方々の働き方に与える影響や、企業の人材マネジメントとの関係で生じている諸課題を明らかにすることを目的として、企業・労働者アンケート調査を行った。

本調査は、厚生労働省労働政策担当参事官室(現・政策統括室)の要請に基づき、実施したものである。

調査の概要

アンケート調査。調査方法は、郵送配付、郵送回収。企業調査では、信用調査機関の企業データベースにより、産業・従業員規模別に抽出。 企業調査 全国の従業員20人以上の企業 2万社 労働者調査 調査対象企業を通じて、そこで雇用されている正社員を対象に、10万1,846人分(20~299人以下:5枚、300~999人:6枚、1,000人以上:8枚)の調査票配付。 調査期間 2019年3月1日~3月20日 有効回収数 企業調査 4,599件(有効回収率:23.0%)
労働者調査 1万6,752件(有効回収率:16.4%)
(以下、「正社員調査」と略す)

主な事実発見

(企業調査)

  • 企業調査で、雇用人員の過不足状況(各項目について「該当者なし」及び無回答を除き集計)では、従業員全体では、「不足・計」(「大いに不足」「やや不足」の合計)が66.5%、「適当」が29.1%、「過剰・計」(「大いに過剰」「やや過剰」の合計)が4.4%となっている。正社員と非正社員の過不足状況をみると、「不足・計」の割合は、正社員が64.6%、非正社員が30.1%となっており、非正社員に比べ正社員のほうが、「不足・計」の割合は高い。正社員について、人材の種類ごとに、「不足・計」の割合をみると(「該当なし」無回答を除いた各種人材がいる企業において)、「現場の技能労働者」が67.5%でもっとも高く、次いで、「研究開発等を支える高度人材」(64.6%)、「システム・アプリケーション等を開発する専門人材」(56.6%)などとなっている。
  • 「従業員不足企業」(従業員全体に関して、「大いに不足」「やや不足」と回答した企業)の雇用人員(人手)が不足している理由(複数回答)は、「新規の人材獲得が困難になっている」が64.4%ともっとも多く、次いで、「従業員の自発的な離職の増加」(35.2%)、「景気の回復に伴う事業の拡大(事業所の新設や受注・販売量の増加等)」(28.2%)などとなっている。
  • 「従業員不足企業」における「会社経営への影響がある・ありうる」とする企業において、会社経営への具体的な影響(見込み含む)では、「既存事業の運営への支障(対応遅れやミスの発生、財・サービスの品質の低下、クレームの増加など)」が42.2%ともっとも多く、次いで、「技術・ノウハウの伝承の困難化(後継者の確保・育成がおぼつかない)」(39.4%)、「既存事業における新規需要増加への対応不可(受注や営業時間の延長の見送り・先送りなど)」(33.5%)、「余力以上の人件費の高騰(求人募集賃金の上昇、既存従業員の処遇改善の影響など)」(26.7%)などとなっている。
  • 3年前から現在まで(過去3年間)の人手不足を緩和するための対策の取組については、「人手不足緩和策に積極的」な企業割合(「取り組んできた」62.8%と「未だ取り組んでいないが、近く取り組む予定」5.5%の合計)は約7割となっている。「人手不足緩和策に積極的」な企業に対して、人材不足緩和策の取組内容(予定を含む)を尋ねたところ(複数回答)、「求人募集時の賃金を引き上げる」(68.1%)、「中途採用を強化する(採用チャンネルの多様化等含む)」(66.6%)、「定年の延長や再雇用等による雇用継続を行う」(59.2%)が6割前後で上位となっており、以下、「求人募集時の賃金以外の労働条件を改善する」(49.5%)、「新卒採用を強化する(通年採用化、新卒定義の拡大、インターンシップの受入強化等含む)」(46.8%)、「非正社員から正社員への登用を進める」(37.5%)などとなっている(図表1)。

図表1 人手不足を緩和するための対策(MA、単位=%)【企業調査】

図表1画像

(正社員調査)

  • 正社員調査では、職場全体に関して「大いに不足」「やや不足」と回答した者における雇用人員(人手)が不足している理由(複数回答)は、「新規の人材獲得が困難になっている」が68.4%ともっとも多く、次いで、「従業員の自発的な離職の増加」(45.3%)、「必要なスキル・知識をもった人材が社内にいない」(33.7%)、「業務プロセスの見直しができていない」(33.4%)、「雇用管理(能力開発を含む)の見直しができていない」(29.0%)などとなっている。
  • 「職場で雇用人員が不足しているとする者」(職場全体、(a)正社員、(b)非正社員のいずれかに、「大いに不足」「やや不足」と回答した者) で、「人手不足が職場環境への影響がある・ありうる」とする者を対象に、職場環境の影響を尋ねたところ、マイナスの影響であるA計(「Aである」「どちらかというとA」の合計)についてみると、「残業時間の増加、休暇取得数の減少」があるとする割合が85.8%ともっとも高く、次いで、「従業員の働きがいや意欲の低下」(78.4%)、「離職者の増加」(75.9%)、「能力開発機会の減少」(75.0%)、「将来不安の高まりやキャリア展望の不透明化」(72.9%)、「職場の雰囲気の悪化」(66.6%)、「メンタルヘルスの悪化等による休職者の増加」(65.0%)、「従業員間の人間関係の悪化」(64.3%)、「労働災害・事故発生の頻度の増加」(51.1%)となっている。

政策的インプリケーション

人手不足は会社経営・職場いずれにも影響を与えている。人手不足緩和策の企業の取組では、採用の強化だけでなく、賃金・その他の労働条件の向上に取り組む企業があり、高齢者の再雇用や非正社員の登用に取り組む企業もみられる。労働者側は、不足理由として、採用困難・離職の増加だけでなく、業務プロセスや雇用管理の見直しの不十分さをあげている。採用困難な状況が継続しているほど、業務プロセスや雇用管理などの見直しを促進する必要がある。

政策への貢献

令和元年版 労働経済白書での基礎的データの提供。

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

情報収集

研究期間

平成30年度

調査担当者

郡司 正人 労働政策研究・研修機構 調査部長 奥田 栄二 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員

入手方法等

入手方法

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