補助金の申請事例・IT導入補助金① 補助金虎の巻

経済産業省・中小企業庁は、補助金の申請事例・IT導入補助金① 補助金虎の巻を発表しました。
IT導入補助金の申請は、他の補助金と異なり、事業者とITベンダー等が共同作業で行うことが多い補助金です。
そのため、事業者はどうしても専門知識のあるITベンダーの意見に左右されやすい傾向があります。専門家の意見を尊重するのは重要ですが、「自社が何をしたいか」を明確しないと、導入ツールと業務との間にミスマッチが起こりかねません。
今回は、IT導入補助金を利用した事業者の方に、実際の申請種類を見せていただきながら、支援者(ITベンダー)と、どのように協力し、申請書類を作成したのかをご紹介します。

申請補助金 平成30年度 IT導入補助金
補助事業 就業管理クラウドサービスの導入
申請者 荏原印刷株式会社 代表取締役 仁科 定
支援者 株式会社モトヤ 西山 英男
補助金交付額 235,000円
荏原印刷外観

荏原印刷株式会社

所在地:
〒146-0093 東京都大田区矢口2−33−9
電話:
03-5732-0775(代)

補助金導入のきっかけ

荏原印刷株式会社は、東京都大田区にある約40名の印刷会社である。UV印刷、UVニス、厚物印刷などを強みに、パッケージ印刷等の分野で豊富な実績を有している。
今回、同社がIT導入補助金を活用したのは、「就業管理クラウドサービス」。20年以上前から、同社は給与計算ソフトを導入していたが、手作業入力だったため時間がかかり、事務業務の負担となっていた。そんな折、事務の担当社員が定年を迎えることになり、このタイミングで新しいシステムの導入を検討した。
荏原印刷IT導入イメージ

仁科社長

「月末の給与計算にかかる負担が過大で、他の業務にも支障が起きていました。担当社員の定年退職は、新しいシステム導入のベストタイミングでした(仁科社長)」

西山氏

「荏原印刷様の方から経営課題をうかがいました。それを踏まえて、既存の給与計算システムとの連携ができる就業管理クラウドサービスで提案させていただきました。(西山氏)」

導入にあたっては、同社は複数のITベンダーから提案を受けることにした。そのなかから、現在のシステム導入を決定した。

仁科社長

「当社のやりたいことに合致したご提案をいただき、システムの導入を決定しました。その時に、IT補助金が使えるのではというアドバイスもいただいたのです。(仁科社長)」

申請書作成のポイント

補助対象経費と対象外経費を明確にする

IT導入補助金は、パソコンなどのハードウェアは補助の対象にならない(※「特別枠」等を除く)。また、ソフトウェアの大幅なカスタマイズも対象外であり、補助対象となるITツールは登録されているものに限られる。

西山氏

「IT導入補助金では、はじめに補助対象と対象外を明確にしておかないとトラブルの原因になります。また毎年、補助要件や登録しているITツールが変更されるので、最新情報を確認しなくてはなりません(西山氏)」

仁科社長

「ITツールとは何なのか。というのが一般の人には分かりにくいですね。この辺りは、ITベンダーさんなどの専門家によく聞くことが大切です。(仁科社長)」

経営計画書画像01

▲ 実際の経営計画書の抜粋

申請書作成は、メールフォームの要領で

IT導入補助金の申請は、電子申請に限られる。申請には「gBizIDプライムアカウント」を取得したうえで、ネット上から入力していく。「gBizIDプライムアカウント」は「gBizID」ホームページから取得可能だ。

仁科社長

「申請は、IT導入補助金サイトの『交付申請の手引き』を見ながら、パソコンで入力していきます。選択制の設問も多く、申請作業自体の負担は、他の補助金よりも少ないのではないでしょうか。(仁科社長)」

西山氏

「作業としては、メールフォームを入力するイメージに近いですね。パソコンに詳しくない方でも、十分申請できると思います。申請者は事業者様なので、事業者様自身で経営課題や事業の強み・弱みを入力していただきます。(西山氏)」

経営計画書画像02

▲ 実際の経営計画書の抜粋

申請はIT導入事業者と共同作業

IT導入補助金の申請は、事業者とIT導入事業者(ITベンダー)の共同作業で行われることが多い。

西山氏

「ITベンダーで、ITツールの情報とそのITツールを導入するとどのくらい作業効率が向上するのかという計画数値を入力していきます。ITの専門知識が必要な部分は私たちが担当します(西山氏)」

仁科社長

「入力していただいた情報を私たちで確認して申請となります。他の補助金とは違い、ネットで申請が完結するので、申請はしやすい補助金だと思います。(仁科社長)」

▲ 実際の経営計画書の抜粋

補助事業の効果

平成30年12月、IT導入補助金の交付が決定。ここから、「就業管理クラウドサービス」の導入と、定年退職する事務担当からの引継ぎを行った。
システムの導入により、従来はタイムカードに打刻していた入室・退室時間を給与計算ソフトに手入力していた作業が、ICカードをタッチすることで自動的に記録できるようになった。

仁科社長

「毎月の給与計算の時間が5分の1以下になりました。事務作業が効率したおかげで、その他の経理業務に時間が割けるようになったことも大きな成果です。(仁科社長)」

西山氏

「就業管理は、経営の基幹業務です。就業管理のデータを、採算管理(原価計算)、商談管理などにも転用・統合することで、事業の効率化・経営の合理化につなげることができます。今後も、様々な業務システムについてサポートしていきたいと思います。(西山氏)」

仁科社長は、IT導入補助金を活用するうえで、一番大切なのは「自社がやりたいこと」を明確にし、ITベンダーに正確に伝えることだと言う。さもないと、結局使えないシステムになってしまうからだ。

仁科社長

「当社は、ITベンダーさんとのコミュニケーションを密にすることで満足のいくシステムを導入することができました。今後も、自社の課題を踏まえて、効果のあるIT導入をすすめたいと思います。(仁科社長)」

 

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