マンガでわかる「ローカルベンチマーク」(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、マンガでわかる「ローカルベンチマーク」について下記内容を発表しました。

「経営の調子がいま一つなのだが、どうしたら良いのだろう」と、悩みを抱えている経営者はいませんか。そんな時に役立つのが、ローカルベンチマーク、通称ロカベンです。
今回は、そんなロカベンの概要についてご紹介します。

ローカルベンチマーク漫画 前半

ローカルベンチマーク漫画 後半

ローカルベンチマークは、企業の健康診断ツール。

病気の治療に早期発見が欠かせないように、企業も経営課題を早めに見つけて、しっかり向き合っていくことが大切です。課題をそのまま放置しておくと、経営のリスクはどんどん高まってしまいます。

その課題発見に役立つのが、企業の健康診断ツール、ロカベンです。

しばしば「経営者は孤独だ」と言われますが、それはたった一人の頭で悩んでいるからではないでしょうか。ロカベンに取り組むことで、企業の「健康状態」が分かれば、従業員みんなで解決法を考えることができます。また専門家に相談することもできます。

ロカベンは、「財務」「非財務」の両面から経営診断

経営診断ツールというと、財務情報を分析するものが一般的です。しかしロカベンは、「財務分析」と「非財務」の両面から、企業の健康診断を行うのが特色です。

財務分析のパートでは、経営の「数字」を分析します。
確定申告書類の損益計算書や貸借対照表などから該当する数値を入力していくと、売上持続性(売上増加率)、収益性(営業利益率)、生産性(労働生産性)、健全性(EBIDA有利子負債)、効率性(営業運転資本回転期間)、安全性(自己資本比率)を計算します。
自社の経営状態が、同業種の企業と比べてどのような位置にあるのかを点数化し、チャートで表示します。この辺りは、財務情報を基にした一般的な経営診断ツールの機能です。

ロカベンの最大の特色は、「非財務」からの経営診断にあります。
ロカベンの非財務パートでは、①業務フロー、②商流、③4つの視点から、企業の経営状況を把握し、強みや課題の発見、課題を解決するための対応策の策定につなげていきます。

ここではロカベンの「非財務」パートについて簡単に説明します。

業務フロー:自社の強みや魅力を発見しよう

業務フローでは、自社の業務の流れについて整理しながら、「差別化ポイント(自社のこだわりや工夫)」を発見することが、主な目的となります。

①業務の流れを、5つのプロセスに分ける
業務の流れ(ビジネスの仕組み)を整理するために、自社の製品・商品・サービスがお客様に提供されるまでの過程・プロセスを5つの段階に分けます。
業務プロセスの分け方は、企業の業種・業態によって異なります。以下の主な業種別業務フローを参考にしながら、プロセスを分解していくと分かりやすいと思います。

業種別業務フローの例

▲ 業種別業務フローの例(ローカルベンチマークガイドブック企業編 P8)

②プロセスごとに差別化ポイントを見つける
次に、一つ一つの業務プロセスの「差別化ポイント」を考えていきます。差別化ポイントは難しく考える必要はありません。それぞれの業務プロセスで、自社のこだわりや工夫などを記載していきます。

業務フローの最大の目的は、自社の強みを発見し、魅力を発掘することです。言い換えれば「自社は何のために存在しているのか?」を業務の流れから明らかにすることでもあります。

商流:なぜ、その仕入先?なぜ、顧客から選ばれている?

商流とは「取引の流れ」のことです。ここでは、自社のビジネスがどのような取引関係から成立しているかを把握します。

①なぜ、その仕入先・協力先なのか?
まずは、自社が仕入先や協力先をどんな理由から選んでいる考えてみましょう。価格が安いのか、短納期なのか、品質が良いのか、独自の技術(サービス)があるかなど様々な理由があるはずです。
その際、業務フローの差別化ポイントに仕入先(協力先)がどのように貢献しているかについても考えてみましょう。それは、仕入先(協力先)の重要性や変更の可能性について検討するきっかけにもなります。
②なぜ、顧客から選ばれているのか?
仕入先(協力先)とは逆の視点から、なぜ得意先(消費者)から選ばれているのかについても記載していきます。
顧客のニーズに合致しているからのか、販売方法に強みがあるからなのか、顧客の囲い込みができているからか。様々な利用が考えられます。
またここでは、業務フローの差別化ポイントが、得意先・消費者に伝わっているのかについても考えてみましょう。

4つの視点:様々な観点から企業の現状を整理する

経営者、事業、企業を取り巻く環境・関係者、内部管理体制という4つの視点で、企業の現状を整理します。

①経営者
中小企業・小規模企業の場合はとくに、経営者が企業に与える影響は大きくなりがちです。
経営者の視点では、どのような経営理念やビジョンを持っているのか、どのような事業展開をしていきたいのか、後継者の育成についてはどう考えているのかについて考えていきます。
②事業
事業の視点では、自社がどのような仕組みで、どのように利益を挙げているのかを記載していきます。ここでは、自社の強みと弱みがどこにあるかを明確にしていきます。
また、今後の事業を考えるうえで、IT化は重要な課題です。IT化の取り組みについても、ここで記載します。
③企業を取り巻く環境・関係者
市場環境、販売先や取引先企業、取引金融機関、従業員など、自社の外部環境やステークホルダーについて整理します。市場規模・シェア・競合の動向、取引先・顧客との関係、従業員の満足度などについて考えていきます。
④内部管理体制
内部管理体制の視点では、組織がどの程度整っているかについて考えていきます。
品質管理、情報管理体制は整っているか、事業計画・経営計画が従業員と共有されているか、商品・サービスの開発体制、人材育成の取り組みはどうなっているかなどを記載します。

まとめ:将来目標を明らかにし、課題と対応策をまとめる

そして、ロカベンの非財務(業務フロー・商流・4つの視点)と財務分析の結果から、企業の「現状認識」について一つのストーリーとなるように整理します。
つぎに「将来目標」を設定し、現状と目標のギャップを埋めるための「課題」と課題解決のための「対応策」を記載します。

ロカベンの取り組み方

これまでロカベンについて簡単に紹介してきましたが、最後にロカベンの様々な取り組み方についてご説明します。

取り組み方1

①経営者が一人で取り組む
経営者自身がロカベンに取り組んでみます。ロカベンの取り組みを通じて、経営者の頭の中を整理することができます。すべての項目を埋める必要はありません。書けるところだけでも良いので書いてみましょう。

取り組み方2

②社内の複数人で取り組む
部署や年齢が異なる、複数の従業員でプロジェクトチームをつくり、ロカベンに取り組むのも良い方法です。様々な視点から経営を見つめることで、自社の本当の姿が見えてくるかもしれません。また、自社の強みや課題などが社内で共有されることで、経営改善にもつながります。

取り組み方3

③社外のメンバーと取り組む
社外のメンバー(支援機関や専門家、金融機関など)と取り組むことで、より客観的な視点から企業の現状を把握することができます。また、今後の自社の取り組みに対して円滑な支援を受けることが可能になります。

取り組み方4

④何度も取り組む
ロカベンは、経営の「健康診断ツール」と言われています。健康を守るために定期的な健康診断が必要なように、ロカベンも一度だけでは終わるものではありません。
1度目よりも2度目、2度目よりも3度目と、取り組む度に経営に対する考え方が深まってきます。
はじめから完璧なものをめざさなくても大丈夫です。気軽にできるところから、埋められるところから、ロカベンをスタートしましょう

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