経済産業省・中小企業庁は、支援機関とともに「民間支援機関編」 ~ものづくり補助金の申請支援から、その後の経営サポートまで~と題して下記内容を発表しました。
株式会社さがみはら産業創造センター(SIC)は、起業家・ベンチャー企業、新分野進出をめざす中小企業を支援するインキュベーション施設を有する認定支援機関です。インキュベーションとは新しいビジネスの成長支援や創業支援の呼称で、成長段階に応じ、ハード面である事業スペースの提供と、ソフト面である経営課題の解決など2つの面を支援しています。
このSICのインキュベーション機能の一翼を担っている「さがみはら表面技術研究所」では、ものづくり補助金・事業再構築補助金の申請支援を行っています。今回は、ものづくり補助金の申請サポート事例を紹介します。
認定支援機関 | 株式会社さがみはら産業創造センター[さがみはら表面技術研究所]
(神奈川県相模原市緑区西橋本5-4-21) |
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支援企業 | 株式会社スリーハイ |
企業概要 | シリコンラバーヒーター等、産業用ヒーターの製造・販売 |
所在地 | 神奈川県横浜市都筑区東山田 4-42-16 |
WEBサイト | https://www.threehigh.co.jp |
ものづくり補助金の申請をサポート
株式会社さがみはら産業創造センター(SIC)は、1999年に地域振興整備公団(現・独立行政法人中小企業基盤整備機構)・相模原市・相模原商工会議所などが出資し、第三セクター方式で設立された支援機関である。「総合的なインキュベーション活動を通じて地域経済の発展に貢献する」との理念のもとで、経営サポート事業、人材育成事業、ラボ・オフィス等の賃貸事業、連携・研究開発に関わるプロジェクト事業などを展開している。
このSICのインキュベーション機能の一翼を担っているのが、さがみはら表面技術研究所(表面研)だ。表面研は、研究機関とのネットワークを活かして、技術サポート、分析・評価サポートサービス、大学・研究機関等の紹介、公的助成サポート等を行っている。その業務の一つに、ものづくり補助金・事業再構築補助金等の活用に向けた支援がある。表面研のスタッフは、研究者の視点から一歩踏み込んだ相談・アドバイスを行っている。
株式会社スリーハイは、神奈川県でシリコンラバーヒーター等の産業用ヒーターを製造・販売する企業である。シリコンラバーヒーターは、発熱線をシリコンのシートで挟み込んだ面状のヒーターであり、柔らかな素材で自由な形状に加工できるという特徴がある。同社は、表面研で「ものづくり補助金(平成29年度補正)」の申請サポートを受けた。
「ものづくり補助金を自社で申請していたのですが不採択になり、客観的な視点から申請のアドバイスを受けたいと考えました(男澤社長)」
と同社の男澤(おざわ)誠社長。表面研にものづくり補助金の申請支援を依頼しようと思ったのは、経営者仲間である高校の後輩からすすめられたからだ。
男澤社長の相談を受けて、最初のヒアリングを担当したのが、リサーチコーディネータの金澤知恵所員である。
「私たち表面研では、補助金採択のためのテクニックに走ることはしません。ヒアリングで、補助金の趣旨にあっているかを確認し、経営者の補助事業への思い、めざす会社の将来像などをうかがったうえで、補助金を有効に活用していくために、どのような事業計画を立てていけば良いかを経営者と一緒に考えていきます(金澤所員)」
正直なところ、最初のヒアリングでは補助金申請に向けた準備時間が不足しており、採択の可能性や事業の実現性の高い綿密な事業計画を立案するには厳しいのではと指摘を受けたと男澤社長は振り返る。
事業計画に自社の強みを落とし込む
表面研の補助金支援の基本姿勢について、須藤理枝子所長はこう語る。
「ものづくり補助金の相談では、『設備が古くなったから補助金を使って新しくしたい』と経営者から言われることがあります。しかしそれは、補助金の趣旨と異なります。設備投資では自社の独自性・革新性をどうやって高めていくのか、どうやって他社と差別化していくのか、そのストーリーを描かなくてはなりません。申請書の表面的な形式を整えただけでは、採択はされません。ですから私たちは、まずその企業の強みは何かを一緒に考えていきます。技術・立地・経験・設備・人脈など企業によって強みは様々ですが、それを明確にすることが第一歩だと考えています(須藤所長)」
同社の強みは、産業用ヒーター、シリコンラバーヒーターに関する独自技術である。これから市場の拡大が期待される、半導体の製造工程で使用されるラバーヒーターの生産性向上のために、ものづくり補助金を活用したいと考えた。そのために、自社の強みを整理し、他社と差別化を意識しながら、事業計画を作成していった。
「須藤さんも金澤さんも、研究者なので探求心が旺盛で、事業・技術の本質に迫るような問いかけをどんどんぶつけてきます。おかげで、思ってもいない視点から当社の強みを見つけることができました。普段から見慣れている製品、当たり前だと思っている技術だと、なかなか強みに気づきません。ものづくり補助金の事業計画書の作成を通じて、改めて自社の強みを再認識することができました(男澤社長)」
また、補助金申請の事業計画を作成するために、何度も打合せを重ねていくうちに、頭のなかが整理され、経営課題も明確になった。
「補助金を活用して、こんな事業を進めていきたいとの思いはあっても、それが頭のなかで散らかっている状態でした。しかし、3年・4年・5年というスパンで計画を立て、文章を組み立てることで、めざす会社の姿や従業員の将来など、会社を取り巻く様々なことを整理することができました。もやが晴れて頭の中がスッキリしたような感じです(男澤社長)」
事業計画書の作成支援にあたって、心がけていることを須藤所長はこう語る。
「ものづくり補助金の申請にあたっては、3年から5年の事業計画書の作成が求められます。私は経営者に、その先の10年後、20年後のイメージを見せて欲しい、かなえたい夢や情熱を教えて欲しいと思っています。そしてそれを絵にかいた餅にしないために、補助金をきっかけとして、長期にわたって伴走型支援をしていければと考えています(須藤所長)」
企業と企業、企業と研究機関をつなぎ、ビジネスの可能性を広げたい。
現在、同社は日本語版・英語版のECサイトを開設し、国内はもちろん海外への販路開拓を進めている。ECサイトでは、同社の強みであるカスタマイズ力を、「オーダーメイド注文」に対応した。新型コロナウイルスの感染拡大からインターネットを利用したB to B取引が活発化するなかで、国内・海外からの受注が堅調に増えていると言う。
「このECサイトの開発も、表面研の支援を受け『ものづくり補助金平成30年度補正2次公募』を活用しています。インターネットとカスタマイズ対応は相性が良いと感じています。多様なカスタマイズニーズに応えることで、ニッチな市場を開拓していきたいと考えています(男澤社長)」
その他、同社は、新たなヒーター「布ヒーター」の開発も進めている。布ヒーターは糸自体が発熱するヒーターで、シリコンラバーヒーターと比べて発熱コストが低く、長寿命という特徴がある。様々な用途への応用が期待でき、省電力に貢献する製品として注目が高い。
「国はグリーン成長戦略に基づいて、環境負荷軽減につながる研究開発に力を入れています。ものづくり補助金にも『グリーン枠』が設けられました。環境商品としても、布ヒーターには期待しています。スリーハイさんの技術や製品は、シリコンラバーヒーターにしても布ヒーターにしても応用範囲が広いので、楽しみです(須藤所長)」
今後も、SIC・表面研のネットワークを活かして、同社といろいろな企業、研究機関をつなげることで、製品・技術の可能性を広げ、ビジネスチャンスを広げるサポートをしていきたいと須藤所長は語る。
布ヒーター
布製調理器具
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