調達先や販売ルートの複数化でリスクを回避 新たな成長の原動力に【日本食品製造合資会社】(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、調達先や販売ルートの複数化でリスクを回避 新たな成長の原動力に【日本食品製造合資会社】(札幌市西区)について、下記内容を発表しました。

1.コロナでどのような影響を受けましたか

日本食品製造合資会社が販売するオートミールの商品シリーズ。国内工場で特殊焙煎し、日本人の嗜好に合った味に仕上げている
日本食品製造合資会社が販売するオートミールの商品シリーズ。国内工場で特殊焙煎し、日本人の嗜好に合った味に仕上げている

1918年に創業した当社はシリアルやオートミール、スイートコーン缶詰を日本で初めて製造販売した歴史を持っている。原材料のトウモロコシやオーツ麦は北海道を代表する農産物。北海道の農業や食品産業の発展を目指した創業者が欧米で製造技術を学び、最新鋭の製造工場をこの地で稼働させたことが原点となっている。そのベンチャー・スピリッツを今も受け継ぎ、独自性を持った穀類・野菜類加工品の開発や北海道の立地を生かした商品の開発・製造に取り組んでいる。

オーツ麦を素材としたオートミールの製造では長く国内シェアトップを誇る。戦前から日本で製造を続けてきた経験と実績が大きな強みだ。オートミールは日本人に敬遠されがちな青臭さやえぐみを取り除いて製造している。日本人の嗜好をよく知り、日本人の口にあったオートミールやシリアルを最終工程まで日本の工場で製造している。シリアル工場は日本で唯一の有機JASの認定を取得。国産や北海道産の原材料を積極的に使用し、低農薬・低化学肥料で栽培されたオーガニックの原材料を仕入れて製造した商品を提案するなどチャレンジをしている。

とうもろこしをコーンフレークに加工しているようす。厳選された素材の味を感じるシンプルな味付けに仕上げている
とうもろこしをコーンフレークに加工しているようす。厳選された素材の味を感じるシンプルな味付けに仕上げている

そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大は経営にさまざまな影響を与えた。2020年4月には、業務用製品の売り上げが7割も落ち込んだ。

オートミールやシリアルは、ホテルの朝食やスイーツの材料として利用されているが、不要不急な外出の自粛が呼びかけられ、宿泊施設や飲食店などは営業を自粛。業務用の需要がピタリと止まってしまった。業務用は会社全体の売り上げの20~30%ほどだが、業績への影響は少なからず大きかった。国内の物流にも大きな影響を与え、コロナの感染が広がった地域への出荷ができない事態も起きた。

原材料であるオーツ麦の調達も今までのようにはいかなくなった。世界的なサプライチェーンの混乱が直撃した。コロナの影響を受けた欧米からの船便に大幅な遅れが出たのだ。船便が中国で足止めされるケースもあり、通常であれば海外から1カ月半ほどのリードタイムで届く荷物が、6~7カ月も遅延する事態になった。放っておけば、生産自体をストップせざるを得ない可能性も出てきた。

2.どのような対策を講じましたか

旧工場は札幌景観資産第1号の建築物として保存され、コミュニティースペースとして利用されている
旧工場は札幌景観資産第1号の建築物として保存され、コミュニティースペースとして利用されている

コロナ感染拡大のリスクを最小限に抑えるのに効果を上げたのは、十年以上前から取り組んでいた原材料の調達先や販路の複数化だった。

オーツ麦などの原材料の調達については、北欧や北米、オーストラリアの3つの拠点を設けていた。もともとの狙いは、地球温暖化を背景にした気候変動に対応するためだった。北欧が不作の時には、南半球のオーストラリアや北米から原材料を確保する。そういったリスクヘッジが目的だったが、コロナのリスクにも対応できた。欧米からの調達に遅れが出たことを受けて、急きょ、感染が広がっていないオーストラリアから調達し、欠品の危機を免れることができた。

販路の多角化もリスク回避に大きな効果を発揮した。

札幌市西区にある本社のエントランス
札幌市西区にある本社のエントランス

シリアル食品は時代の流れや流行によって売れ行きが大きく左右されるため、安定的な売り上げを確保しようと、一般小売店で販売している自社製品に加え、小売店や卸売店から委託を受けるプライベートブランド製品や食品工場や外食産業用の業務用製品などへの販路を広げ、さらに2019年からはEC(電子商取引)市場への参入に取り組んでいた。

そんな中、大きな追い風になる出来事が起きた。

リモートワークなどで在宅時間が長くなる中、主力のオートミールの健康・美容効果が注目されるようになった。さまざまなメディアで紹介され、在宅による「コロナ太り」を解消するダイエット食として爆発的に人気が広がった。その結果、小売店や通販サイトでの売り上げが伸び、業務用の落ち込み分を十分にカバーすることができた。

もし、調達先が欧米だけだったら今のオートミールの需要を取り込むことができなかっただろう。また、販売先も業務用だけだったら、大きな苦境に陥るところだった。その意味で偶然とはいえ、事前の措置をいち早く講じてきたことが大きな成果となった。また、多面的な事業展開の大切さを再認識させられている。

3.今後はどのように展開していく予定ですか

商品展開を強化する「ミューズリー」。蜜を使わずオーツ麦と他の穀類をそのまま合わせドライフルーツの甘みとナッツの深みを楽しむシリアルだ
商品展開を強化する「ミューズリー」。蜜を使わずオーツ麦と他の穀類をそのまま合わせドライフルーツの甘みとナッツの深みを楽しむシリアルだ

オートミールの需要が増加し、ライバル企業が市場に参入し、きわめて競争が厳しい状況になってきた。原材料費や物流費の高騰でコストが上昇し、値上げを検討しなくてはならない状況なのだが、競争が激しくなり、値上げどころか値下げを考えなくてはならないほどになっている。コロナ禍にあっては、経営判断のスピードが最も重要だ。パッケージの見直しなどコスト削減や、中身の改善などの対策を今まで以上にスピード感を持って対応している。

人気が高まってはいるものの、オートミールの喫食率は15%ほど。まだ、85%の人は食べたことがない。こうした人たちへの訴求をもっと進めていきたい。オートミールはスポーツ選手も美容に気に掛ける人気モデルもよく食べている。スポーツ選手向けの商品やアクティブシニア層向けに健康に特化した商品などいろいろな入口を提案しながら需要の拡大を進めていきたい。

また、2022年秋からは、ミューズリーというシリアルを重点投入する。オーツ麦にドライフルーツやナッツなどを加えたものだ。簡単に言えば、砂糖を足さないグラノーラのような食材だ。日本人の口にあった食材で、新しい生活様式の中で受け入れられる商品だと思っている。当社は100年ほど前に、誰も食べたことのない、コーンフレークやオートミールを日本で初めて製造・販売したベンチャー企業。常に大手企業が当社の真似をするような立ち位置で、老舗企業ではなく、ベンチャー企業として市場をリードしていきたい。

企業データ

企業名
日本食品製造合資会社
Webサイト
設立
1918年
代表者
戸部謙ルイス 氏
所在地
北海道札幌市西区八軒1条西1-2-10

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