労働安全衛生法に基づく新規化学物質届出手続きQ&A(厚生労働省)

厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく新規化学物質届出手続きQ&Aについて、下記内容を発表しました。

1 届出対象について

(1)どのようなものが届出の対象になりますか?

→ 届出の対象には、原料や最終生成物だけでなく、以下の物も含まれます。
(参考:昭和54年3月23日付け基発第132号)
(1) 製造中間体(製品の製造工程中において生成し、同一事業場内で他の化学物質に変化する化学物質)
(2) 副生物
(3) 廃棄物

(2)連続したプロセスで反応させ外部に取り出すことのない製造中間体でも届出の対象になりますか?

→ 定常作業中ばかりではなく、清掃時、改修等の非定常作業中に労働者が当該新規化学物質にさらされる可能性がある場合には届出対象となります。

(3)どのような場合に届出が不要ですか?

→ 労働安全衛生法では、以下の物(組成中に新規化学物質が含まれる場合を含む。)は「化学物質」とみなされないため、届出の対象には該当しません。(参考:昭和53年2月10日付け基発第77号)
(1) 合金
(2) 固有の使用形状を有するもの(合成樹脂製の什器、板、管、棒、フィルム等)
(3) 混合物のうち、混合することによってのみ製品となるものであって、当該製品が原則として最終の用途に供される物(顔料入り合成樹脂塗料、印刷用インキ、写真感光用乳剤)

(4)既存化学物質(名称未公表であるが、届出済みの物質を含む。)を混合、精製、小分け等する場合にも届出が必要ですか?

→ 単なる混合、精製、小分け等で化学反応を伴わない場合には届出が不要です。 例外として、天然に産出される化学物質を精製する場合には、届出が必要となりますが、精製される対象が既存化学物質に該当する場合には届出が不要です。
既存化学物質の定義は下記リンク先をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/anzeneisei06/01c.html

(5)モノマーA、モノマーB及びA-B共重合物が既存化学物質で、これにモノマーCを組み込んだA-B-C共重合物が既存化学物質になっていない場合、A-B-C共重合物の届出は必要ですか?

→ このような場合、従来はモノマーCが既存化学物質であるか新規化学物質であるかにかかわりなく届出を必要としていました。 しかしながら、平成24年11月12日以降、一定の条件を満たす場合には、既存化学物質とみなされ、届出は不要となりました。
詳細は、既存化学物質の定義に関するページの4(2)を参照してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/anzeneisei06/01c.html

(6)既存化学物質に含まれる不純物が新規化学物質である場合、この不純物の有害性調査を行う必要はありますか?

→ 不純物や副生成物等であっても新規化学物質に該当すれば、原則、有害性調査が必要ですが、既存化学物質を製造する際、その製造工程(分離精製工程を含む。)中で生成される新規化学物質である不純物等の含有率(生成する新規化学物質が複数の場合は、それらの含有率の合計)が少ない場合(重量パーセント10%未満)であって、当該物質を製造工程中から分離することが通常の物理化学的方法で不可能である場合には、既存化学物質中に含まれるこの不純物等の有害性調査は不要です。
また、輸入される既存化学物質には主成分以外の少量の新規化学物質である副生物や不純物等が混在している場合がありますが、当該物質の届出要否についても製造の場合と同様です。

(7)新規化学物質届出に添付する有害性調査における不純物の取扱いはどのようになりますか?

→ 被験物質はできるだけ不純物を分離したものを用いることが原則ですが、不純物が分離できない場合には、次のように取り扱います。
なお、不純物が新規化学物質であって、分離が可能な場合は、独立した有害性調査が必要です。

(1)  不純物が分離できない場合(反応副生成物、原料等)
ア  純度(※)95%以上   主成分の単一物質として扱います。純度換算は不要。
イ  純度(※)90%超95%未満 主成分の単一物質として扱います。純度換算は必要。
ウ  純度(※)90%以下 主成分と不純物の混合物として扱います。純度換算は主成分と不純物の純度の和によります。
※被験物質が混合物の場合、不純物等を除いた残りの物質の混合物を「主成分」とし、計算する。

(2)  被験物質が溶液状の場合
溶液中の溶媒の割合が10%未満の場合は純度換算を行うだけでよいですが、10%以上の場合には、以下のように取り扱います。
ア  溶媒が水、DMSO、アセトン等の場合
溶質成分を単一物質又は混合物として純度換算を行います。
イ  溶媒が特殊なものの場合
(ア) 溶液中の溶媒を除去します。
(イ) (ア)が不可能であれば、水、DMSO、アセトン等、試験系に与える影響がないことが判明している溶媒に置換します。溶質成分を単一物質又は混合物として純度換算を行います。
(ウ) (イ)が不可能であれば、溶媒が試験系に与える影響を調査します。例えば、微生物を用いる変異原性試験による有害性調査を実施する場合は次の事項を調査します。
・菌に対する影響(生育阻害)
・S9に対する影響
(エ) (ウ)の結果、
溶媒が試験系に与える影響がない場合には、主成分(溶質)の単一物質として扱い、純度換算を行います。
溶媒が試験系に与える影響がある場合には、主成分(溶質)と溶媒の混合物として扱います。

(8)既存化学物質A50%と新規化学物質B50%を含有する混合物を年間150kg輸入する場合、新規化学物質に関する手続きはどのようになりますか?

→ 新規化学物質Bを年間75kg輸入することから、年間輸入量が100kg以下であるため、新規化学物質Bについて新規化学物質輸入届ではなく少量新規化学物質輸入に係る確認申請を行ってください。

(9)同一事業者が複数の事業所で製造する場合、どのような手続きが必要ですか?

→ 同一事業者であっても、それぞれの事業所ごとに手続きの必要があります。

(10)少量新規化学物質の製造(輸入)確認申請の確認通知書を事業者が受領する前、新規化学物質の製造(輸入)届(通常新規)を国が受理する前に予め製造(輸入)を開始し、受領・受理後に出荷することは可能ですか?

→ これらの受領前や受理前に製造(輸入)を開始することはできません。必ず受領後、受理後に製造(輸入)を開始する必要があります。少量新規では確認期間の開始日から製造(輸入)可能となり、通常新規では、必要書類に不備が無ければ届出当日に受理され、その日以降製造(輸入)可能となります。

2 有害性の調査について

(1)容易に加水分解する被験物質の場合には、分解物(分解後の物質)を試験すればよいでしょうか?

→ 分解物ではなく、分解前の物質を脱水した溶媒を用いて、プレインキュベーション法ですばやく試験を行ってください。

3 届出者について

(1)新規化学物質の届出は誰が行うことになりますか?

→  原則、製造、輸入を行う事業者が手続きを行うことになります。

(2)事業者Aが事業者Bに新規化学物質の製造を委託した場合にはどちらが新規化学物質届出を行うのでしょうか?

→  製造元である事業者Bが届出を行います。

(3)輸入の場合、海外の輸出業者が新規化学物質届出を行えますか?

→  新規化学物質届出は輸出業者ではなく、輸入業者が行うこととなっています。

(4)事業者Aが事業者Bに新規化学物質の輸入に係る事務を委託した場合にはどちらが新規化学物質届出を行うのでしょうか?

→  委託元である事業者Aが手続きを行います。

(5)変異原性試験において陽性となりましたが、製造(輸入)できますか?

→  新規化学物質の届出が受理されれば、有害性調査の結果いかんにかかわらず製造(輸入)できます。なお、強い変異原性が認められた化学物質(※)については、厚生労働省労働基準局長通達で行政指導の対象とされ、指針(「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」(平成5年5月17日付け))に基づいた措置を講じることが求められています。
※ 変異原性試験において比活性値が概ね1,000(revertants/mg)以上の物質をいう。

4 GLP関係

(1)過去に実施した試験で、試験実施当時の試験責任者、運営管理者、信頼性保証責任者が退職した等の理由で、当時の関係者による届出様式の試験結果報告書、陳述書、信頼性保証書が作成できない場合には、どうすればよいですか?


(1) 試験結果報告書
最終報告書を基に新たに届出様式の試験結果報告書を作成し、「試験責任者」欄には、当時の試験責任者の記名のみ行ってください。また、欄外には、試験結果報告書作成者の職氏名を署名又は記名捺印してください。

(2) 運営管理者の陳述書
「安衛法GLP及び安衛法テストガイドラインに準拠して試験が実施されたこと」について記入し、現在の運営管理者が署名又は記名捺印します。
ただし、当時の陳述書があるが、原本が1部しかない等の理由により届出に添付できない場合には、その陳述書のコピーに現在の運営管理者の原本証明をつけたものを提出してください。

(3) 信頼性保証書
「当時の監査・査察記録から、安衛法GLP及び安衛法テストガイドラインに準拠して試験が実施されたこと」について記入し、現在の信頼性保証責任者が署名又は記名捺印してください。
ただし、当時の信頼性保証書があるが、原本が1部しかない等の理由により届出に添付できない場合には、その信頼性保証書のコピーに現在の信頼性保証責任者の原本証明をつけたものを提出してください。

(2)医薬品GLPの適合確認を受けた試験施設において有害性の調査のための試験を実施した場合、安衛法GLP適合確認通知書の代わりに医薬品GLP適合確認書を添付しても受理されるのでしょうか?

→ 安衛法届出様式の試験結果報告書に医薬品GLPの適合確認書を添付して届出することは可能です。ただし、運営管理者が作成する陳述書と信頼性保証書に安衛法GLP適合基準に基づいて試験が実施された旨を記載してください。

5 その他

(1)官報による届出物質の名称公表の際に掲載される番号は、通し番号と整理番号の2つがありますが、それぞれどのような意味がありますか?

→ 通し番号は、昭和54年から施行された新規化学物質の有害性調査制度の導入時から届出物質に公表順に付けられている番号です。

 整理番号は、一般的に「1-(1)-111」や「5-55」のように標記されています。赤字の部分は、化学物質の構造式の特徴を区分する番号で、具体的な構造の特徴は以下の表のとおりです。また、黒字の部分は、公表順に付けられている番号です。
官報に名称公表がなされた後は、全ての事業者が、届出を行わずに製造・輸入することが可能ですが、最近名称公表物質と誤認して新規化学物質を無届で製造・輸入する事例が散見されます。事業者におかれては、製造・輸入を開始する場合には、以下の表を参考に名称公表がなされている物質であるかを十分確認し、製造・輸入を開始されるようお願いします。
なお、官報に公表された届出物質については、次のサイトで検索することができます。

厚生労働省ホームページの内の「職場のあんぜんサイト」
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/

1-
無機化合物
(1)- 錯化合物
(2)- 有機金属化合物
(3)- その他の無機化合物
2-
有機鎖式低分子化合物
(1)- 炭化水素
(2)- オニウム塩
(3)- リン、ヒ素、ケイ素又はホウ素と炭素との結合を有する化合物等
(4)- カルボン酸、スルホン酸若しくはスルフィン酸又はその塩
(5)- 有機酸(カルボン酸、スルホン酸及びスルフィン酸を除く。)又はその塩若しくは誘導体
(6)- カルボン酸、スルホン酸又はスルフィン酸の誘導体
(7)- 無機酸エステル
(8)- アルデヒド(アセタールを含む。)、ケトン、ケテン、アルコール(アルコラートを含む。)、チオアルデヒド、チオケトン、チオケテン又はチオール(チオラートを含む。)
(9)- 過酸化物
(10)- アミン、イミン、シッフ塩基、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、ヒドロキシルアミン又はオキシム
(11)- ヒドラジン誘導体、ヒドラゾ化合物、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ジアゾ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、尿素誘導体、チオ尿素誘導体、グアニジン誘導体又はイソシアニド
(12)- エーテル、スルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホキシド又はスルホン
(13)- その他の有機鎖式低分子化合物
3-
炭素単環低分子化合物
(1)- 三員環炭化水素又はその誘導体
(2)- 四員環炭化水素又はその誘導体
(3)- 五員環炭化水素又はその誘導体
(4)- 六員環炭化水素又はその誘導体
(5)- 環を構成する炭素原子の数が7以上の炭化水素又はその誘導体
4-
ベンゼン誘導体である低分子化合物
(1)- 炭化水素
(2)- オニウム塩
(3)- リン、ヒ素、ケイ素又はホウ素と炭素との結合を有する化合物
(4)- カルボン酸又はその塩
(5)- スルホン酸、スルフィン酸又はその塩
(6)- 有機酸(カルボン酸、スルホン酸及びスルフィン酸を除く。)又はその塩若しくは誘導体
(7)- カルボン酸の誘導体
(8)- スルホン酸又はスルフィン酸の誘導体
(9)- 無機酸エステル
(10)- アルデヒド(アセタールを含む。)、ケトン、ケテン、アルコール(アルコラートを含む。)フェノール(フェノラートを含む。)チオアルデヒド、チオケトン、チオケテン又はチオール(チオラートを含む。)
(11)- 過酸化物
(12)- アミン、イミン、シッフ塩基、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、ヒドロキシルアミン又はオキシム
(13)- ヒドラジン誘導体、ヒドラゾ化合物、アゾ化合物、アゾキシ化合物、ジアゾ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、尿素誘導体、チオ尿素誘導体、グアニジン誘導体又はイソシアニド
(14)- エーテル、スルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド、スルホキシド又はスルホン
(15)- その他ベンゼン誘導体である低分子化合物
5- ナフタレン及びその誘導体
6- アントラキノン及びその誘導体
7-
炭素多環低分子化合物
(1)- 縮合環を有する化合物
(2)- 架橋環又はスピロ結合を有する化合物
(3)- 2以上の環が炭素鎖を介さずに直接結合している化合物
(4)- 2以上の環が炭素鎖により結合している化合物
8-
複素環式低分子化合物
(1)- 主複素環のヘテロ原子として、窒素原子のみ1個含む化合物
(2)- 主複素環のヘテロ原子として、窒素原子のみ2個含む化合物
(3)- 主複素環のヘテロ原子として、窒素原子のみ3個以上含む化合物
(4)- 主複素環のヘテロ原子として、酸素原子のみ1個含む化合物
(5)- 主複素環のヘテロ原子として、酸素原子のみ2個以上含む化合物
(6)- 主複素環のヘテロ原子として、イオウ原子のみを含む化合物
(7)- 主複素環のヘテロ原子として、窒素原子並びに酸素原子、イオウ原子又は酸素原子及びイオウ原子を含む化合物
(8)- 主複素環のヘテロ原子として、酸素原子及びイオウ原子のみを含む化合物
(9)- その他の複素環低分子化合物
9- 有機重合系高分子化合物
10- 有機縮合系高分子化合物
11- 化工デンプン、加工油脂又は生物体成分抽出物
12- その他の化合物

※ 例外的に一部の物質についてはこの表にある番号の付け方と異なる場合がありますのでご了承ください。

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