14次公募以降の概要はこれまでの”ものづくり補助金”とどこが変わったのか?主な変更点について担当者に聞いてみました(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、14次公募以降の概要はこれまでの”ものづくり補助金”とどこが変わったのか?主な変更点について担当者に聞いてみましたとして、下記内容を発表しました。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、新製品・サービスの開発や生産プロセス改善等を支援するものです。

令和4年12月2日、令和4年度第2次補正予算が成立し、今後のものづくり補助金(14次公募以降)の概要が決まりました。

いままでのものづくり補助金(13次公募以前まで)とどこが変わったのか、主な変更点について、中小企業庁技術・経営革新課に話を聞きました。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の基本要件について

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)の、新製品・サービスの開発や生産プロセス改善に必要な「設備投資」等を支援するものです。

申請にあたっては、事業計画(3~5年)の提出が求められますが、その計画は以下の基本要件を満たしていなくてはなりません。

ものづくり補助金の基本要件について
  • ①「付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)」が、年率平均3%以上増加すること
  • ②「給与支給総額」が、年率平均1.5%以上増加すること
  • ③「事業場内最低賃金」を、地域別最低賃金の30円以上の水準にすること

その他、申請類型等によって要件が加わる場合がありますが、「付加価値額・給与支給総額・事業場内最低賃金」の3つが基本要件です。

なお、ものづくり補助金は要件を満たしているからといって、「申請したら必ずもらえる」というものではありません。「採択されるための審査」、「採択決定後の交付を受けるための審査」、「事業完了後の検査」によって、補助の有無や金額が決定します。

また、ものづくり補助金の要件等は変更されることがあります。申請にあたっては、必ず「ものづくり補助金総合サイト」で最新の公募要領を確認してください。

令和4年度第2次補正の概要

ものづくり補助金(14次公募以降)の申請と補助上限額・補助率は以下の通りです(令和5年1月現在)。

申請枠 補助上限額 (※従業員規模により異なる) 補助率
通常枠 750万円~1,250万円 1/2 2/3(小規模・再生事業者)
回復型賃上げ雇用拡大枠 750万円~1,250万円 2/3
デジタル枠 750万円~1,250万円 2/3
グリーン枠 エントリー 750万円~1,250万円 2/3
スタンダード 1,000~2,000万円
アドバンス 2,000~4,000万円
グローバル市場開拓枠 3,000万円(補助下限額100万円) 1/2 2/3(小規模事業者)

上記のうち「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」については、大きな変更はありません。

主な変更点は、以下の4点です。

  • ・大幅な賃上げに取り組む事業者の補助上限を上乗せ(従業員規模により異なるが100万円~1,000万円。回復型賃上げ・雇用拡大枠などは除く。)
  • ・グリーン枠が「エントリー・スタンダード・アドバンス」の3類型に拡充
  • ・グローバル市場開拓枠の補助下限額を1,000万円から100万円にするとともに、海外市場開拓(JAPANブランド)類型の補助対象経費にブランディング・プロモーション等の経費(広告宣伝費・販売促進費)が追加
  • ・認定機器・システム導入型の支援を新設し、業種・業態で共通して抱えている生産性向上の課題を認定し、当該課題解決に資する機械装置・システムを認定する仕組みを創設。

「大幅賃上げ」への上乗せ支援

令和4年度補正では、大幅な賃上げに取り組む事業者については、従業員数に応じて補助上限を引き上げます(ただし、回復型賃上げ・雇用拡大枠、各申請枠の補助金額の上限額に達しない場合、再生事業者、常勤従業員がいない場合を除く)。

大幅な賃上げの要件は、①基本要件である給与支給総額を年率平均1.5%以上増加に加え、更に年率平均4.5%以上(合計で年率平均6%以上)増加と②事業場内最低賃金を年額+45円以上増額の2つです。これにより、補助上限額は各申請枠の上限に以下の額が追加して引き上げられます。

従業員数 上乗せ補助額 補助率
5人以下 100万円 各申請枠の補助率とする
6~20人 250万円
21人以上 1,000万円

ものづくり補助金の基本要件(給与支給総額が年率平均1.5%以上・事業場内最低賃金が上地域別最低賃金+30円以上の水準)が未達の場合には、上乗せした補助金額を含めた補助金の全額に対して相応額の返還を求めますが、上乗せ分の追加要件のみが未達となった場合は、補助金全額ではなく「上乗せした補助金額のみの返還」となります。「従業員のモチベーション向上のために、大幅な賃上げに挑戦しよう」と考えている事業者には、ぜひ上乗せ支援をご利用ください。

温室効果ガス削減の取り組み段階にあわせて、グリーン枠の活用が可能に

グリーン枠は、温室効果ガスの排出削減等を目的とした設備・システムの投資等を支援するものです。ものづくり補助金の基本要件に加えて、①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発、または②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善のどちらかに該当する事業でなくてはなりません。

具体例としては、①は「エコマテリアル素材を導入した、環境負荷が少ないクリーンな製品の試作開発」、②は「炭素生産性向上を図ることができる製造装置を導入しつつ、従来から製造していた部品の高品質化」などが考えられます。

温室効果ガス削減の取り組み段階にあわせて、グリーン枠の活用が可能に

炭素生産性は「付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)/エネルギー起源二酸化炭素排出量」という数式で表されます。算出方法は公募要領で確認してください。

令和4年度補正では、グリーン枠が「エントリー・スタンダード・アドバンス」の3つの類型に分けられました。それぞれの類型によって、「温室効果ガス排出削減の取組」のレベル(段階)が異なります。

スタンダードは、従来のグリーン枠に相当します。新設されたアドバンスは、スタンダードよりも高いレベルの取組、温室効果ガス排出削減の「客観的な評価(認証・診断等)」が求められますが、補助上限額が引き上げられました。

もう一つの新設された類型であるエントリーでは、「排出削減の取組が未実施又は初歩的な取組を実施」の事業者が対象となります。整理すると以下になります。

共通要件 事業計画期間(3~5年)内に事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上向上
エントリー 温室効果ガス排出削減の取組未実施又は初歩的な取組でも可
スタンダード 温室効果ガス排出削減に係る高度な取組を実施していること

(例:再生可能エネルギーの導入、バイオマス素材への変更等)

アドバンス 温室効果ガス排出削減に係る高度な取組を実施していること

(例:省エネ法の定期報告で「S評価」、過去3年以内に省エネ診断等を受診していること等)

※取引先の事業者がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者には審査の際に加点。

海外市場開拓の支援を強化拡充

令和4年度補正予算から、いままでのグローバル展開型が「グローバル市場開拓枠」という名称に変更し、海外市場開拓の支援が強化・拡充されました。

大きな変更点は、補助金上限額は3,000万円のままですが、下限額が1,000万円から100万円に引き下げられたことです。これにより、幅広い事業に活用できるようになり、使い勝手が良くなりました。

もう一つの変更点が、グローバル市場開拓枠の類型の1つである「海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型」で、ブランディング・プロモーション等の経費(広告宣伝費・販売促進費)が補助対象経費になったことです。例えば、(海外市場開拓のための)展示会出展費用やホームページ制作費用も対象となります。

認定機器・システム導入型の新設

今後は、新たに認定機器・システム導入型の創設に向けて取り組んでいきます。

まず、令和4年度補正予算事業では、業界団体・川下企業等から、業種・業態で共通する生産性向上を阻む課題を聴取し、専門家からなる委員会において、提案された課題について、広く中小企業に共通するもの、現場に即したもの、その解決が既存のツールでは解決困難なものであることを認定します。

生産性向上を阻む課題を認定した後は、当該課題の解決に資する機械装置・システムを、メーカー等で自主的に開発していただき、開発に成功した暁には、開発成果である機械装置・システムを再度委員会において審議します。それらが課題の解決に認められるものであれば、その機械装置・システムを認定する流れを考えています。

認定を受けた機械装置・システムについては、中小企業による導入をものづくり補助金の特別型により重点的に支援(補助上限額の引上げ及び優先採択を実施)していきたいと考えています。

以上、「ものづくり補助金(令和4年度第2次補正)」について、主な変更点についてご説明しました。

なお、公募要領等はしばしば変更されます。最新情報については、「ものづくり補助金総合サイト」でご確認ください。

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