時間制約を持つ社員にも活躍してほしいのですが(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、時間制約を持つ社員にも活躍してほしいのですがと題して、下記内容を発表しました。

正社員を募集したら、経験や能力面でまさにわが社が求めている人材が応募してきました。ただし、本人から、実はフルタイムで働くのは難しいと相談されました。できれば採用したいのですが、どのような点に注意したらよいでしょうか。

回答

その人材に期待する役割は何かを再確認し、今回の応募者がそれに合致するなら、多様な働き方を積極的に認めていきましょう。その場合、フルタイム社員との処遇の均衡を図ることと、職場全体の働き方を見直すことが重要となってきます。

1.「働き方改革」の目指すもの

日本では現在、少子高齢化に伴う労働力人口の減少が懸念されています。一方で、働く人が職場に求めるものや価値観も多様化してきています。

これに対応するのが働き方改革です。投資やイノベーションによる生産性向上とともに、育児や介護、自身の病気治療など何らかの制約があっても働ける・活躍できる環境づくりが望まれています。

2.多様な人材を受け入れる意味

日本ではこれまで、時間や場所の制約なく、仕事の内容も限定せずに、企業の都合に合わせて働ける人を高く評価してきました。確かに企業にとってそのような働き方ができる人は重宝されたでしょう。

しかし、先に述べたように、そのような働き方のできる人材はどんどん減ってきています。そしてもっと重要なのは、制約なく働ける人だけの集まりは属性も均一化しがちで、新たな発想が出てきづらくなり、企業にとって必ずしも良い結果をもたらさないということです。逆に、幅広い属性・価値観の人が集まることでさまざまなニーズが察知でき、チェック機能も働きます。そこから新たな発想やイノベーションが生まれ、ビジネスチャンスの拡大が期待できます。

3.「短時間正社員」という選択肢

質問のようなケースでは、正社員に期待する役割を明確にしたうえで、それを果たせそうな人材なら短時間正社員として採用することが検討できそうです。このときに考えるべきは、短時間正社員の職務内容や待遇です。正社員として業務を任せ、責任を負ってもらうなら、恐らくパートタイマーや契約社員とは待遇も異なってくるでしょう。一方、フルタイムすなわち従来型の正社員とのバランスも考慮する必要があります。実際は、基本給は労働時間に応じて減額、手当等はその趣旨に沿って支給することが多いと思われます。業務量は所定労働時間に応じて調整することになりますが、評価に当たっては、労働時間が短いことのみを理由に不当に低くならないよう、仕組みを構築することが重要です。

そして、このようないわゆる「多様な正社員」制度を設けるなら、その目的や処遇に関する社内周知も大切です。併せて、従来型の正社員の働き方も見直す必要があります。長時間労働が当然になっている職場ならば、「あの人はなぜ特別なのか」という不公平感を持たれてしまう恐れがあるからです。

4.マネジメントも工夫を

さて、ここまでは「新規に採用する人材が短時間正社員」という前提で述べましたが、これはパートタイマーを正社員登用する場合や、育児や介護等の事情で一時的に短時間勤務をする場合にも当てはまるでしょう。さらに言えば、勤務地や職種を限定した正社員の雇用にも応用できます。

企業や現場管理職にしてみれば、個別対応が求められるわけですから、業務分担や労働時間の管理などは煩雑になるかもしれません。しかし、「フルタイム働けない=非正規雇用しか選択肢がない」というのでは、これから優秀な人材は確保しづらくなるでしょう。ほんの少しの工夫でその人に任せられる業務が増えたり、モチベーションが上がったりするなら、企業にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。

回答者
中小企業診断士・社会保険労務士 高橋 美紀

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