団体客向けのバイキング形式から個人客向け個室焼肉専門店へ転換。【支援機関とともに「金融機関編」】

経済産業省・中小企業庁は、団体客向けのバイキング形式から個人客向け個室焼肉専門店へ転換。【支援機関とともに「金融機関編」】と題して、下記内容を発表しました。

「認定支援機関(経営革新等支援機関)」とは、国が経営の専門知識のある個人や団体を認定する制度であり、商工会・商工会議所、金融機関、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家が認定支援機関として登録されています。

今回の「支援機関とともに」では、新型コロナの感染拡大により売上が激減した団体客向けのバイキング形式店が、金融機関の支援を受けながら、生き残りをかけて地場のブランド牛、地酒を提供する個人客向け個室焼肉専門店に転換した事例をご紹介します。

株式会社ルーキーファーム
認定支援機関 商工組合中央金庫帯広支店(北海道帯広市西3条南9丁目23番地)
支援企業 株式会社ルーキーファーム
企業概要 飲食店・小売店の経営(フランチャイズ・自社ブランド)、農産物・乳製品の卸販売
所在地 北海道帯広市西5条南34丁目12番地
ホームページ https://www.rookyfarm.com/外部リンクはこちら

新型コロナを境に、バイキング形式の「強み」が「弱み」に変わった。

株式会社ルーキーファームは、北海道十勝地方で、ファミリーレストラン・カフェ・宅配寿司などの飲食事業を中心に、音楽・ファッション・生活雑貨等の様々な業種・業態の事業を展開している。

飲食事業については、フランチャイズから自社ブランドまで幅広く手がけてきたが、2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けた。

加藤部長

「なかでも壊滅的な影響を受けたのが、当社の事業の中核だったバイキング形式店です。2020年度は前年比売上9割減の月もあり、年間でも4割減という有様でした(加藤部長)」

そう語るのは、業務推進部の加藤崇祐部長である。業務推進部は新型コロナの感染拡大で経営環境が厳しさを増すなか、同社が生き残りをかけて今後の戦略を立案するために新設された部署だ。その最大の課題が「バイキング形式店の立て直し」だった。

同社は、約180席規模のバイキング形式店を2店舗を運営していた。十勝地方で圧倒的な収容力と集客力を誇り、地域の人々から高い支持を集めていた。

谷調査役

「大型店舗にも関わらず連日満員で、休日は一時間以上待つことも珍しくありませんでした(谷調査役)」

商工組合中央金庫帯広支店営業課の谷一将調査役は、その盛況ぶりを語る。しかし、新型コロナにより状況は一変した。

旅行・イベント・会合の中止が相次ぐなかで、バイキング形式の主要な顧客だった団体客・グループ客は激減。オープンスペースで料理を選ぶバイキングの楽しさは、感染リスクを高めるものとして忌避された。圧倒的な収容力を誇った大型の店舗は、固定費の負担だけが重くのしかかっていった。

加藤部長

「新型コロナを境にして、いままでの強みが一気に弱みに変わってしまいました。事業の先行きが全く見えない、本当に厳しい状態でした(加藤部長)」

事業の生き残りをかけて、加藤部長はバイキング形式店の転換を決意した。

店舗

地元産品を活かした個人客向け「個室焼肉専門店」に転換

業績が大きく落ち込むなかで、バイキング形式店の転換プロジェクトがスタートした。だが、当初は思うように進まなかった。障害になったのは、過去の成功体験である。

加藤部長

「バイキング形式事業の責任者には、30年前にオープンさせて十勝屈指の人気店に成長させてきた自負がありました。もう少し我慢すれば、新型コロナが収束して元に戻るかもしれない、そんな思いが決断を鈍らせていたのです(加藤部長)」

プロジェクトチームでは、膝を突き合わせて議論を重ねた。会議のなかで、加藤部長はこのままでは危機を乗り越えることはできないと訴え、「個人客向け焼肉専門店」への挑戦を決めた。挑戦にあたっては、補助金の活用を検討した。

加藤部長

「補助金が活用できることが分かり、思い切って舵を切ることができました(加藤部長)」

補助金の申請では、商工中金帯広支店が、認定支援機関として計画策定をサポートした。

谷調査役

「加藤部長から相談を受けた段階で、すでに計画のアウトラインは出来上がっていました。あとは、数値目標などの細部を詰め、金融機関の視点からブラッシュアップしていくだけでした(谷調査役)」

個人客向け焼肉専門店への転換のために、オープンスペースから1~8名の少人数の個室に改装することにした。席数は180席から150席に減少するが、客単価を上げることで売上は確保できる。コアターゲットは、ファミリー・カップルなど個人客に設定。感染対策のために、強力な換気システムとタブレット型セルフオーダーシステム、順番待ち・予約システムを導入することにした。

また提供メニューにも、徹底的にこだわった。希少性の高い「十勝池田牛」を看板メニューとし、十勝産の地酒・ワイン、グループ企業の乳製品デザート等、他の焼肉店との差別化を図り、いままで十勝にはなかった新しいコンセプトの「個室焼肉専門店」をめざした。

席内装等

メニュー

新型コロナ以前を上回る、売上を達成

プロジェクトチームでは、個室焼肉専門店の事業計画書をまとめていった。

加藤部長

「金融機関向けの事業計画書は作成していましたが、補助金の申請書は初めてで、戸惑うこともありました(加藤部長)」

日頃からつきあいのある金融機関ならば、事業内容を理解していることを前提に事業計画を作成すれば良い。しかし、補助金申請では審査員に客観的に分かるように書く必要がある。そのために、現状分析から課題を抽出し、将来の展望まで、根拠となる数字を示しながら整理する必要がある。

加藤部長

「商工中金の谷さんにも計画書をチェックしていただき、第三者にも分かりやすいものにすることを心がけました(加藤部長)」

また計画策定は、創業の精神、企業の理念やビジョンについて考える絶好の機会でもあった。チームで計画を作成していくなかで、理念やビジョンを共有することができ、プロジェクトへの思いを一つにすることができたと言う。

谷調査役

「新規事業を始める上でお手本になるような事業計画でした。私たちも大変に参考になりました(谷調査役)」

2021年、バイキング形式店2店舗は個室焼肉専門店に転換することができた。

加藤部長

「新型コロナは完全に収束していませんが、2店舗の売上はコロナ以前よりも増えています。(加藤部長)」

この3年間は、いままで経験したことがないほど、厳しい経営環境だった。このようななかで、プロジェクトチームのメンバーと徹底した議論を重ね、転換を果たした経験を、これからの経営に活かしていきたいと加藤部長は言う。

相談の様子

店舗スタッフ

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