中小企業庁担当者に聞く「事業承継・引継ぎ補助金」(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、中小企業庁担当者に聞く「事業承継・引継ぎ補助金」について、下記内容を発表しました。

中小企業は、雇用や技術の担い手として、日本の経済・社会を支えてきました。しかし今、中小企業の経営者の高齢化が進む中で、後継者不足が深刻になっています。このまま中小企業の廃業が増えていけば、雇用環境や技能承継等への影響は避けられません。

このような中で、国では事業承継やM&Aに取り組む中小企業への支援に力を入れています。その一つが、「事業承継・引継ぎ補助金」です。今回は、「事業承継・引継ぎ補助金(令和4年度第2次補正予算事業)」について中小企業庁財務課の担当者にお話をうかがいました。

事業承継 イメージ

事業承継・引継ぎ補助金とは

事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&A等を支援する補助金です。支援の対象によって、「①経営革新事業」、「②専門家活用事業」、「③廃業・再チャレンジ事業」という3つの事業に分かれています。

この補助金を講じる背景には、経営者の高齢化が進んでいること、後継者不在率が高い水準で推移していることなどがあります。近年、休廃業が増加傾向にありますが、このうち黒字の廃業が約6割を占める状態が続いており、後継者がいない中小企業では「黒字経営でも廃業を選択しなくてはならない」状況にあると言えます。

事業承継・引継ぎ補助金は、このような中小企業・小規模事業者の事業承継・引継ぎを支援します。詳細については、「事業承継・引継ぎ補助金事務局ウェブサイト」をご確認ください。

事業承継・引継ぎ補助金の概要

申請類型 補助対象 補助率※1 補助上限
①経営革新 経営資源引継ぎ型創業や事業承継(親族内承継実施予定者を含む)、M&Aを過去数年以内に行った者、又は補助事業期間中に行う予定の者 1/2・2/3 ~600万円
1/2 600万~800万円※2
②専門家活用 補助事業期間に経営資源を譲り渡す、又は譲り受ける者 1/2・2/3 ~600万円
※M&A未成約の場合は~300 万円
③廃業・再チャレンジ 事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う者 1/2・2/3 ~150万円

※1補助率は、補助対象の要件により異なる。

※2一定の賃上げを実施する場合、補助上限を600万円から800万円に引き上げ。

事業承継を契機とした「経営革新」を支援

経営革新事業は、「承継後の取り組み」にかかる費用を補助するものです。補助対象経費は、店舗等借入費・設備費などの経営革新に係る費用であり、ものづくり補助金等と比べて幅広い経費が対象になっています。この経営革新事業には、創業支援型・経営者交代型・M&A型の3つのタイプがあります。

なお令和4年度第2次補正予算では、「一定の賃上げ」を実施する場合、経営革新事業の補助上限を600万円から800万円に引き上げる優遇装置が設けられました。

事業承継を契機とした「経営革新」を支援
創業支援型
「創業支援型」は、他の事業者の経営資源(設備・従業員・顧客等)を引き継いで、創業した場合が対象です。たとえば、事業承継・引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」や、民間の「M&Aマッチングサービス」等を通じて、経営資源を引き継いで、法人を設立するケースや、個人事業主として開業するケースが考えられます。
経営者交代型
「経営者交代型」は、親族や従業員が経営資源を引き継ぐ(経営者が交代する)場合です。経営革新事業は「承継後の取り組み」にかかる費用が補助対象となりますが、令和4年度第2次補正予算において、この経営者交代型については「後継者候補」の承継前の取り組みも支援の対象となり、使いやすくなりました。
M&A型
「M&A型」は、M&A(株式譲渡、事業譲渡等)により、経営資源を引き継ぐ場合です。たとえば、企業が同業他社や取引先の経営資源を引継ぎ、事業再編・事業統合をするようなケースが考えられます。

M&A時の「専門家活用」の費用を補助

専門家活用事業は、「M&A(事業引継ぎ)時」等にかかわる費用を補助するものです。経営革新事業のM&A型は「承継後の取り組み」を支援しますが、専門家派遣事業は、承継前の引継ぎに係る費用を支援するところが違います。

近年、中小企業のM&Aが右肩上がりで増加し、現在は年間3~4千件ほど実施されているとの推計もあります。一昔前は、ネガティブなイメージがあったM&Aですが、いまや後継者不在の中小企業にとって、有力な事業承継の手法になりつつあります。

M&A時の「専門家活用」の費用を補助

しかしながら、M&Aには仲介業者の手数料やFA(ファイナンシャルアドバイザー)の費用、企業価値を算定するための費用、デュー・ディリジェンスの費用などがかかり、これが中小企業・小規模事業者にとって重い負担になっていました。

専門家活用事業は、このようなM&Aの時にかかる費用を支援するもので、「売り手支援型」「買い手支援型」の二つのタイプがあります。つまり会社の売り手・買い手どちらの中小企業も対象です。

ただしFA・仲介業者の費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者による支援費用だけが補助対象になりますので、ご注意ください。

「廃業・再チャレンジ」まで、事業承継の様々な局面を支援

廃業・再チャレンジ事業は、「承継時にともなう廃業」にかかる費用を補助するものです。

たとえば、M&Aが成約せずに廃業になってしまったり、承継時に事業の一部を廃業したりする場合に、廃業登記費・在庫処分費・解体費・現状回復費等を補助します。

まとめると、事業承継・引継ぎ補助金は、事業引継ぎ(M&A)時から、承継後の取組、承継時に伴う廃業まで、事業の承継にかかわる様々な局面で利用することができる補助金です。

「廃業・再チャレンジ」まで、事業承継の様々な局面を支援

事業承継には後継者の育成や組織整備、M&Aの交渉調整など、準備に時間がかかります。事業承継・引継ぎ補助金は「通年で公募し、3~4か月おきに複数の締切を設定」しているため、十分に準備をしてから申請・事業実施ができます。この点でも使いやすい補助金ではないでしょうか。

事業承継により経営者が若返ったこと、M&Aで経営資源が集約されたことで、中小企業の生産性や売上高の向上につながった事例も数多く報告されています。現在の事業を継続発展させ、雇用責任・供給責任など企業の社会的な責任を果たしていくためにも、ぜひ事業承継・引継ぎ補助金をご活用ください。

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