経済産業省・中小企業庁は、RPAツールを導入するとして、下記内容を発表しました。
「効率化と品質向上を実現するRPAツールの導入」企業競争力向上の鍵はここにあり
労働人口の減少や働き方改革が推進される中、企業は日々の業務を効率化する手段を探し続けている。その中でも注目を浴びているのがRPAツールの導入だ。本記事では、RPAツールを導入する企業が増えている社会的背景や、導入メリットについて解説する。さらに、RPAとAIやDXの関係、導入時の注意点やポイントについても説明する。RPAツール導入を検討中の中小企業経営者や担当者は、是非ご一読いただきたい。
RPAツールを導入するポイント
- RPAとは
- RPAツールの導入企業が増加している背景
- RPAと「AI」「DX」の違いや関係
- RPAツール導入のメリット
- 中小企業のRPAツール導入時の注意点とポイント
1.RPAとは
RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)」の略語で、パソコン上で行う作業を自動化する仕組みのことだ。システムを作ってしまえば、パソコン上の定型業務をソフトウェアロボット(仮想知的労働者)に自動で処理させることができる。
(1)RPAツールの業務プロセス
RPAツールは、データ入力やコピー&ペーストのような繰り返し作業をロボットによって自動的に行える。RPAの仕組みは、主に「記録」と「実行」の2つのステップで構成される。まず、RPAツールを使用して作業手順(プロセス)を記録する。この際、プログラムを入力せずに、ドラッグ&ドロップなど簡単な作業で登録することも可能だ。その後、ロボットによって自動的に業務が実行される。
(2)RPAツールの得意分野
RPAツールは、単純な繰り返し作業やルーチンワークに最適だ。請求書作成や経費処理、発注・納品業務、定型的なメール対応、データの収集・分析などの業務を自動化する。プログラミングの知識が必要なく、手順を指示するだけでロボットが作業を進めるので、効率的な業務遂行を実現できる。企業はRPAツールを活用することで、生産性を向上させ、人的ミスを最小限に抑えることが可能となる。
2.RPAツールの導入企業が増加している背景
RPAの導入企業が増加している背景には、人手不足と働き方改革の2つの要因が挙げられる。さらに、費用の低価格化は、RPA導入を検討する企業の心理的ハードルを下げており、増加傾向を後押ししている。
(1)人手不足(労働人口の減少)
まず、日本では労働人口の減少が進んでおり、人手不足が深刻化している。このため、企業は労働生産性の向上を求めており、RPAツールの導入が注目されている。RPAは人の作業を自動化することで効率化を図るため、少ない人員でも生産性を維持できるという利点がある。人手不足が深刻な中小企業では、業務効率化は事業運営において特に重要な課題と言えるだろう。
(2)働き方改革
また、働き方改革の推進もRPA導入の背景として挙げられる。長時間労働の是正や柔軟な働き方への対応が求められており、RPAはその一環として注目されている。RPAによる自動化により、ルーチン業務が削減され、従業員はより価値のある業務に集中することが可能になる。
したがって、RPAツールの導入は、企業の労働力不足や労働環境改善のニーズに応える一つの解決策となっている。
(3)導入費用の低価格化
RPAツールの導入企業が増加している背景には、導入費用の低価格化と、納期短縮という要因も大きく影響している。従来の業務効率化システムの導入には高額な費用がかかることが多く、完成には数か月から数年かかることもある。しかし、RPAツールであれば導入費用を抑え、すぐに使用を開始することも可能だ。
例えば、ソフトウェアをパソコンにインストールして使用するタイプでは、初期費用が0円から数十万円程度、運用費用は月額数万円程度から使用が可能となる(ただし、サーバータイプやWEBブラウザを用いたクラウドタイプではもう少し高額になる)。
もちろん中小企業がRPAツールを自社だけで導入するには、専門的な知識の習得が必要である。自社だけでの導入が難しい場合には、外部コンサルタントなどの支援が必要になるが、それらを考えても導入のハードルは低くなったと言えるだろう。
3.RPAと「AI」「DX」の違いや関係
RPAツールの導入を検討する際には、AIやDXとの違いや関係性について正しく理解することが重要だ。RPAとAIは、いずれも業務自動化のための技術だが、異なるアプローチと目的が存在する。DXは組織全体のデジタル化を促進し、ビジネスモデルの変革を目指す取り組みだ。
(1)AIとの違いや関係
RPAは定型的なルーチン業務を自動化するためのツールだ。主に人間が行っていた反復作業やデータ処理などを、ソフトウェアロボットが代わりに行う。RPAツールはプロセスを設定すれば、具体的な作業手順に基づいて動作する。RPAは特定の業務プロセスを効率化し、ヒューマンエラーの軽減や作業時間の短縮などを目的とする。
一方、AIは機械学習*1や深層学習*2などの技術を使って、コンピューターに人間のような知能や学習能力を持たせることを目指している。AIはデータ分析やパターン抽出、自然言語処理*3などを行い、複雑なタスクにも対応できる。AIは主に未知の情報や予測、意思決定などに活用され、人間の知識や経験をベースに進化・学習していく特徴がある。
RPAとAIは異なる目的とアプローチを持ちながらも、相互に補完しあう関係にある。例えば、RPAとAIを組み合わせることで、RPAが自動的に処理したデータをAIが解析し、より高度な意思決定や予測を行うことが可能だ。つまり、RPAは単純な作業の自動化に特化し、AIは知的なタスクに特化することで、より高い業務効率化を実現できるのだ。
*1 コンピューターが自律的に学習する仕組みで、データを解析しパターンや規則性などを学習する仕組み
*2 ディープラーニングとも呼ばれる機械学習の一種であり、大量のデータから事柄の特徴などを学習する仕組み
*3 人間が日常的に使用する言語をコンピューターに理解・処理させる仕組み
(2)DXとの違いや関係
RPAは、DXの一部として推進されることがある。DXでは、IT技術を活用した業務の効率化に留まらず、既存の物理的な手法や手続きからの変革全体を目指す。この変革は、製品やサービス、ビジネスモデルをデータやデジタル技術を活用して再構築することも含む。RPAツールは、定型的な反復作業を自動化することで、この目標を達成するための一助となる。
ただし、RPAとDXは異なる概念であり、DXは単純にRPAツールの導入だけで完結するわけではない。DXは組織文化の変革やビジネスモデルの見直し、デジタル技術の活用などを含む総合的な取り組みだ。RPAは、その一部として利用されるにすぎない。RPAの導入を検討する際には、DXとの関係を理解し、組織のDX戦略との整合性を図ることが重要だ。
4.RPAツール導入のメリット
RPAツール導入には、業務効率化、人的ミス削減、コスト削減などのメリットがある。まずは、メリットと導入時の注意点・ポイントを正しく把握することが、RPAツール導入のスタートになるだろう。メリットを最大限に活用するためには、注意点とポイントを押さえて計画的に導入することが欠かせない。
(1)業務効率化
まず、RPAツールの導入によって業務効率化が図られる。RPAツールは定型的な作業を自動化するため、時間のかかる反復タスクを効率的に処理できる。例えば、データの転記や集計といった作業はRPAツールによって自動化することができ、従業員はより重要な業務に集中できるだろう。
(2)人的ミスの削減
次に、人的ミスの削減も大きなメリットだ。人間が行う作業には、ミスやエラーがつきものだが、RPAツールを使用することで人的ミスを最小限に抑えることができる。RPAツールは正確性と一貫性を持って作業を行うため、ヒューマンエラーのリスクを低減させる。これらによって、誤ったデータの転記や入力ミスによる問題を回避できる。
(3)コスト削減
そして、RPAツールの導入によってコスト削減も実現する。RPAツールは、業務効率化によって人件費削減が可能となる。繰り返しの作業やルーチンタスクはRPAツールによって自動化されるため、労働力を削減できる。また、作業の自動化により、ヒューマンエラーによって発生する修正コストも軽減される。正確で効率的な作業をRPAツールに委ねることで、組織の運営コストも削減できるだろう。
5.中小企業のRPAツール導入時の注意点とポイント
中小企業がRPAツールを導入する際には、いくつかの注意点やポイントがある。これらをしっかりと把握しRPAツールを導入することで、効率的な運用が可能となる。
(1)明確な目標を設定する
まず、明確な目標を設定することが重要だ。RPAツールを導入する目的や期待する効果を明確にすることで、効果的な計画を立てることができる。曖昧な目標のままでは、導入すべきRPAツールも定まらず、計画自体が不完全なものとなってしまうだろう。
(2)RPAを導入する業務を決め、業務プロセスを見直す
次に、RPAを導入する業務を決め、その業務プロセスを見直す必要がある。RPAは特定の業務やプロセスを効率化するためのツールなので、どの業務に導入するかを慎重に決める必要がある。この際には、業務のボトルネックや効率化の余地があるかどうかを評価し、RPAツールの導入効果を最大化する業務を選ぶことが重要だ。
また、効率的にRPAツールを運用するには、業務プロセスを正しく定型化することも重要だ。業務プロセスが属人化していたり、効率的でなかったりすれば、RPAツールの運用効率が下がってしまう。業務プロセス自体が効率的であることが、RPAツール運用の肝とも言えるだろう。
(3)社内で設定変更できるRPAツールを導入する
また、社内で設定変更ができるRPAツールを導入することも重要だ。業務環境や要件は常に変化していくので、柔軟な対応ができるRPAツールを選ぶ必要がある。社内の担当者が容易に設定変更を行えるツールであれば、迅速かつ効果的な業務改善が可能となる。逆に、設定変更のたびに外部への依頼が必要なツールでは、中小企業での効率的な運用は難しいと言えるだろう。
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