空き巣や強盗から命と財産を守る 「住まいの防犯対策」(政府広報オンライン)

政府広報オンラインは、空き巣や強盗から命と財産を守る「住まいの防犯対策」と題して、下記内容を発表しました。

凶悪な侵入強盗犯のイメージ

Point
ニュースなどでも報じられているとおり、近頃、手口が巧妙かつ凶悪化した侵入犯罪が相次いで発生しています。店舗だけではなく一般住宅も被害に遭っており、金品のみならず、ときには人命が奪われる事態にまで発展しています。犯罪の手口が凶悪化の傾向にあることから、防犯意識を高め、住まいの防犯対策を更に強化していくことが求められています。侵入犯罪の手口を理解し、警察が勧める効果的な防犯対策を知り、自分や家族の命と財産を守りましょう。

目次

  • 1 侵入強盗などの手口が凶悪化。近年の侵入犯罪の状況
  • 2 知っておこう。侵入犯罪の手口
  • 3 効果的な住まいの防犯対策と防犯行動
  • 4 侵入者が侵入を諦める物理的な防犯対策

コラム

  • 1 防犯住宅になっているかチェックしましょう!

1侵入強盗などの手口が凶悪化。近年の侵入犯罪の状況

ニュースなどでも報じられていますが、一般住宅を狙った「侵入犯罪」は、近年荒々しい手口が目に付きます。周囲に気付かれないようひっそりと行うものではなく、住人の在宅の有無にかかわらず複数人で窓などを破壊して住宅に押し入る、宅配業者や点検業者を装うなどの方法で住宅に押し入り、現金や貴金属を奪い取るなどといった、巧妙かつ凶悪な手口のものが増えています。

実は、空き巣などの「住宅を対象とした侵入窃盗」は平成16年(2004年)以降連続して減少しています。しかし、凶器などで住人を脅して金品を強奪する「住宅を対象とした侵入強盗」に関しては、平成17年(2005年)以降、おおむね減少傾向が続いていたものの、令和4年(2022年)には増加に転じました。さらに、手口の巧妙化・凶悪化が進んでいることから、これまでの防犯対策をより一層強化していくことが求められています。

2知っておこう。侵入犯罪の手口

侵入犯罪の手口に対して効果的な対策を講じるためには、まずはどのような犯罪の手口があるかを知る必要があります。ここでは「侵入窃盗」を例として、侵入者の具体的な手口を知り、防犯対策に役立てていきましょう。

侵入窃盗は無施錠の窓や玄関からの侵入がトップ!

それでは侵入者はどのような場所から、どのような手口で侵入しているのでしょうか。
警察庁が公表している「侵入窃盗の侵入口」(令和4年(2022年))のデータを見ると、一戸建て住宅やマンションなどの共同住宅では、いずれの形態の住宅でも、「窓」と「表出入口」からの侵入が全体の7割以上を占めています。(グラフ)

グラフ 侵入窃盗における侵入口の構成比(令和4年)

一戸建て住宅、共同住宅(3階建以下)及び共同住宅(4階建以上)における、侵入窃盗の侵入口の構成比。一戸建て住宅は窓(53.5%)、表出入口(21.3%)、その他出入口(15.4%)、その他・不明(9.9%)となっている。
共同住宅(3階建以下)は窓(40.7%)、表出入口(47.3%)、その他出入口(2.3%)、その他・不明(9.7%)となっている。
共同住宅(4階建以上)は窓(24.5%)、表出入口(60.7%)、その他出入口(1.9%)、その他・不明(12.9%)となっている。

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

資料:警察庁「住まいる防犯110番」から政府広報室作成

また、警察庁が公表している「侵入窃盗の侵入手口」(令和4年(2022年))のデータを見ると、いずれの形態の住宅でも、空き巣を始めとした侵入窃盗の多くは、鍵の掛かっていない箇所から侵入していることが分かります(表の無締り(むじまり))。どんなに強固な建物部品を設置しても、鍵を掛けなくては全く意味がありません。「少しの間だから大丈夫」と玄関などの鍵を掛けないままゴミ出しに行ったり、洗濯物を干したりすることがないよう、日頃から少しの外出などの場合でも必ず施錠をする習慣を身に付けましょう。

無締りの次に多いのが「ガラス破り」による被害です。家を不在にする際には雨戸などを閉める、窓に補助錠を取り付ける、窓ガラスの全面に防犯フィルムを貼るといった対策も有効です。

4階建て以上の共同住宅になると「合い鍵」による侵入も多くなります。合い鍵を玄関の周囲や郵便受けなどに隠したつもりでいても侵入者は見抜いています。合い鍵を家の外には絶対に置かないようにしましょう。

表 侵入窃盗における侵入手口(令和4年)

1位 2位 3位
一戸建て住宅 無締り
(6,187件)
ガラス破り
(3,710件)
合い鍵
(370件)
共同住宅(3階建て以下) 無締り
(1,475件)
ガラス破り
(515件)
合い鍵
(338件)
共同住宅(4階建て以上) 無締り
(644件)
ガラス破り
(373件)
合い鍵
(179件)

資料:警察庁「住まいる防犯110番」から政府広報室作成

具体的な侵入手口を知って、防犯対策の参考に

侵入の手口にはどのようなものがあるのでしょうか。侵入手口のうち、代表的なものを紹介します。

ガラス破り

ベランダなどの窓ガラスを破壊し、割れた箇所から手を入れて解錠します。通常のガラスであれば数秒で解錠されるほか、防犯対策に有効と思われがちな網入りガラスは、防火用として開発されたガラスのため、侵入防止には効果はありません。また、クレセント錠(室内側に取り付けられる締め金具)や補助錠の付近の窓ガラスにだけ部分的にフィルムを貼っても、更に大きな範囲で割ることができるため、防犯対策には不十分です。防犯フィルムを貼るときには窓ガラスの全面に貼りましょう。

ドア錠こじ破り

バールなどの工具をドアと壁の隙間に入れ、てこの原理で強引にドア錠を壊して開ける手口です。強引ですが、通常のドアや錠は短時間で破られてしまいます。

ピッキング

ピックと呼ばれる金属製の特殊工具を鍵穴に入れ、ドア錠を短時間で開ける手口です。ピッキング手口に対応した錠でなければ、1分も掛からず開錠されて屋内に侵入されてしまいます。

サムターン回し

ドアにドリルを使って穴を開けるなどして、サムターン(ドアの鍵を室内側から施錠・解錠するためにつけられたつまみ)を外から操作して侵入する手口です。

3効果的な住まいの防犯対策と防犯行動

住宅への侵入犯罪は、いつ、どんなときに被害に遭うかは分かりません。自分や家族の命と財産を守るためには、一人ひとりが高い防犯意識と正しい防犯知識を持つことが大切です。そして、視点を身近なところから地域全体へと広げながら、具体的な防犯行動を起こす必要があります。まずは、防犯対策の見直しから始めてみませんか。

ここで紹介する対策はあくまでも一部です。警察庁の防犯サイト『住まいる防犯110番』別ウインドウで開きますなどを確認し、地域や自分の生活スタイル、住まいの状況に合った対策をしていきましょう。

まずは自分の行動から。自主防犯行動

警察庁が推奨する侵入犯罪に対する自主防犯行動は、以下のとおりです。1番目から4番目の行動は日頃から意識し、習慣化していきましょう。そして、10番目の110番通報は、不審な人がいた、何かがおかしいという異変や危険を感じたら、ためらうことなく通報をすることが大切です。

自主防犯行動

<在宅・帰宅時の行動>
1.在宅時でも、出入口や無人の部屋の窓に鍵を掛ける習慣をつけること。
2.訪問者に対しては、不用意にドアを開ける前に、まずドアスコープやインターホン越しなどで確認すること。
※宅配業者の訪問を偽装した手口には、荷物の受取りに宅配ボックスを活用するなど、宅配の荷物を直接受け取らない方法をとることが大切です。

ドアスコープを確認する男性

3.外出先から帰宅した際は、背後や周囲に人がいないか、よく確認すること。

<住宅の防犯対策>
4.日頃から建物周囲を整理整頓し、侵入されにくい環境を整えておくこと。
5.玄関をツーロックに、窓に補助錠を取り付けるなど、防犯設備を充実させること。建物部品を選ぶときは、防犯性能の高いものを選ぶこと。
6.設置した防犯設備機器を有効に役立てること。
7.旅行など長期不在にするときは、隣近所へ声を掛け合ったり、郵便物・新聞などの配達を止めるなどの対応も必要。

<日常での心構え>
8.合鍵の不正作製を防止するため、鍵を家族以外の人には「見せない」「渡さない」、写真や動画で「写さない」。
9.自宅に必要以上の現金を置かないこと。電話などで在宅状況、家族の状況、資産状況を聞かれても答えないこと。

電話で何者かに資産状況や家族の状況を聞かれ、「お答えできません」と答える女性

10.不審を感じた場合には、ためらうことなく110番通報すること。

侵入犯罪は個人の不注意を無くして地域力で防止

空き巣や強盗などの侵入者は、目星をつけた地域や家の下見を行うことが多いといわれています。住人の在宅時間のほか、侵入のしやすさ、逃げやすさなどを事前にチェックし、犯行に及んでいるのです。
侵入者は「近所付き合いが良く、連帯感のある住宅街」を嫌うといわれており、下見の際にチェックする項目には、人通りの少なさや、地域住民が挨拶などを交わしているかなどの「地域環境」も含まれています。また、ゴミの指定日や指定時間以外にゴミが出ている地域は、住民の地域への関心が低いと思われるのか、侵入者にとっては安心感を与えるといった傾向もあります。

日頃から、ゴミの収集日など地域のルールを守り、近所付き合いを大切にすることが、犯罪に強いまちづくりにつながります。

地域で意識したい防犯対策

  • ゴミの収集日など地域のルールを守る
  • 近隣住民との挨拶や声がけの励行
  • ウォーキング、花の水やりなどの日常活動を行うときにも防犯意識を持つ

4侵入者が侵入を諦める物理的な防犯対策

鍵の掛け忘れといった不注意を減らすなど、ちょっとしたことで侵入犯罪の防止を図ることが可能ですが、それだけでは不十分な場合もあります。ピッキングやサムターン回しはもちろんのこと、ドア本体をこじ開ける手口の侵入犯罪も発生しています。このような荒々しい手口に対応するため、CP部品(防犯性能の高い建物部品)を導入して、侵入口となる窓や玄関口を物理的に強化するほか、防犯カメラやセンサーライトを設置するなど、物理的な防犯対策を施すことも効果的です。

侵入口を物理的に強化するCP部品

建物に侵入する際、「5分以内」に侵入することができなければ、約7割の侵入者は侵入を諦めると言われています。
そのため、建物部品の防犯性能の目安の一つに「5分間、侵入のための人為的破壊行為に耐えられるかどうか」という評価基準があります。この人為的破壊行為に耐えられる時間を「抵抗時間」と呼び、ドアや錠など商品ごとに定められた試験を行い、抵抗時間が5分間以上であることを確認されたものなどが「防犯性能の高い建物部品(CP部品)」として認定され、「防犯性能の高い建物部品目録」に公表されています。

CP部品には、ドア、錠、サッシ、ガラス、ウィンドフィルム、雨戸、面格子、窓シャッターなどの17種類3,461品目(令和5年(2023年)9月末現在)が認定されています。なお、CP部品は、試験によって5分間以上の抵抗が確認されたものですが、侵入を完全に防ぐものではありません。

なお、これらのCP部品には、共通標章である「CPマーク」を貼ることが認められています。防犯性能試験に合格し、「防犯性能の高い建物部品」として認定された商品のみに使用が認められるマークです。建物部品の購入を検討する際の目印とすると良いでしょう。

共通標章 CPマーク
「防犯性能の高い建物部品」として認定された商品のみに使用が認められる共通標章「CPマーク」。アルファベットのCとPの文字でデザインされている。

CP部品の詳細については、以下のウェブサイトで詳しく紹介されています。

センサーライトや防犯カメラなども有効な対策

防犯対策がされている家であることを分かりやすくし、「この家は侵入しにくいな」と思わせることも防犯のための一つの方法です。

センサーライトや防犯カメラを外部から見える位置に設置し、侵入しにくい家であることをアピールします。このとき、防犯カメラはダミーのものではなく、実際に録画機能があるものを選びましょう。さらに、死角が発生しないよう、複数のカメラを取り付けるとなお良いでしょう。

コラム

防犯住宅になっているかチェックしましょう!

侵入者は犯行前に下見を行うことが多いので、狙われにくく、侵入されにくい住まいになっていることが防犯につながります。

一戸建て住宅

門扉がない一戸建て住宅のイメージ

例えば、上のイラストのような家だと、門扉などがなく、誰でも自由に出入りできるようになっています。門扉やインターホンなどをつけて、敷地内へ簡単に出入りできないようにしましょう。
また、庭木が窓の前にあり、家の周囲からの見通しが悪い状態になっています。見通しが悪いと、周囲からの死角になりやすく、侵入の目隠しや侵入者が身を隠す場所となる場合があります。周囲からの見通しを良くして、侵入者が身を隠せないように、庭木の手入れはこまめに行いましょう。
そのほか、物置やエアコンの室外機などは、2階への足場にならないように留意しましょう。庭や敷地内の空地には、足音が立つ砂利などを敷くと良いでしょう。

共同住宅

敷地を区画する塀、柵、垣などがない共同住宅のイメージ

上のイラストのような共同住宅には、敷地を区画する塀、柵、垣などがありません。共同住宅を選ぶ際は、塀、柵、垣などに注目しましょう。塀、柵、垣などがあっても、見通しを妨げるものや、簡単に乗り越えられるようなものであったり、窓やバルコニーなどへの足場となるようなものであったりしてはいけません。侵入の足場とならないように配置や高さに工夫されているか、縦格子フェンスなど簡単に乗り越えられないつくりになっていることが望ましいです。

なお、防犯に配慮した構造や設備を有するマンションや戸建て住宅などを防犯優良住宅として登録や認定をする制度があります。
防犯優良住宅認定制度については、以下のウェブサイトで詳しく紹介されています。

まとめ

侵入犯罪は、巧妙かつ凶悪な手口が増えています。最新の防犯知識を得て対策を立てるとともに、不審な人がいた、何かがおかしいという異変を感じたら、ためらうことなく110番をすることが大切です。

(取材協力:警察庁 文責:政府広報オンライン)

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