厚生労働省は1日、平成28年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を取りまとめ、公表しました。
昨日に続き、概要の続きをご案内します。
この調査は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、毎年8月(平成20年以前は9月)に調査を行っているもので、今回の調査結果は、常用労働者100人以上を雇用する企業1,709社について集計したものです。
【調査のポイント】
4 賃金カットの実施状況
(1) 賃金カットの対象者 賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業のうち、平成28年中に賃金カット を実施し又は予定している企業は10.7%(前年9.5%)となっている。これらについて、その対 象者別にみると、「管理職のみ」は40.3%(同28.1%)、「一般職のみ」は17.4%(同11.7%)、 「一般職一部」と「管理職一部」は35.8%(同39.8%)、「一般職全員」と「管理職全員」は2.4% (同12.2%)となっている。
(2) 賃金カットの内容 賃金カットを実施し又は予定している企業について、対象者別に賃金カットの内容をみると、 管理職では、「基本給のみ減額」が、管理職の「一部」で34.5%(前年35.8%)、管理職の「全 員」で9.5%(同27.5%)と最も多くなっている。 また、一般職については、「基本給のみ減額」が、一般職の「一部」で37.5%(同38.8%)と 最も多くなっているが、一般職の「全員」では「諸手当のみ減額」が1.3%(同1.7%)と最も多 くなっている。
5 賃金の改定事情 平成28年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定 の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」が51.4%(前年52.6%)と最も多く、 「重視した要素はない」を除くと、「労働力の確保・定着」が11.0%(同6.8%)、次いで、「親 会社又は関連(グループ)会社の改定の動向」が5.9%(同5.4%)となっている。 企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多くなっている。
6 労働組合からの賃上げ要求状況 (1) 賃上げ要求交渉 労働組合のある企業について、平成28年の労働組合からの賃上げ要求交渉の有無をみると、 「賃 上げ要求交渉があった企業」が79.8%(前年79.8%)、 「賃上げ要求交渉がなかった企業」が20.1% (同19.6%)となっている。
7 労働組合からの賞与の要求状況 (1) 年間臨給状況 労働組合のある企業のうち、昨年の冬と今年の夏の「賞与の要求交渉を行った企業」は80.2% (前年 76.4%)である。これらの企業について、年間臨給状況をみると、「夏冬型」が47.3% (同 41.1%)と最も多く、次いで「各期型」が43.1%(同48.9%)となっている。
(2) 年間臨給状況が「各期型」又は「その他」の企業における賞与要求交渉の状況 労働組合のある企業で、昨年の冬と今年の夏の「賞与の要求交渉を行った企業」のうち、『年 間臨給状況が「各期型」又は「その他」の企業』についてみると、「昨年の冬の賞与要求交渉を 行った企業」は46.1%(前年 52.3%)、「今年の夏の賞与要求交渉を行った企業」は41.8%(同 47.8%)となっている。また、「1人平均賞与要求額」及び「1人平均賞与要求月数」は、昨年 の冬の賞与で、それぞれ706,723円(同 605,008円)、2.52か月(同2.42か月)となっており、 今年の夏の賞与では、それぞれ673,650円(同599,819円)、2.42か月(同2.36か月)となってい る。
(3) 年間臨給状況が「夏冬型」又は「冬夏型」の企業における賞与要求交渉及び妥結状況 労働組合のある企業で、昨年の冬と今年の夏の「賞与の要求交渉を行った企業」のうち、『年 間臨給状況が「夏冬型」又は「冬夏型」の企業』についてみると、「年間要求交渉を行った企業」 は49.9%(前年41.5%)で、「1人平均年間賞与要求額」及び「1人平均年間賞与要求月数」は、 それぞれ1,516,084円(同 1,486,334円)、5.24か月(同5.24か月)となっている。 また、「妥結した企業」は42.6%(同 39.2%)、「1人平均年間賞与妥結額」及び「1人平 均年間賞与妥結月数」は、それぞれ1,616,270円(同1,573,846円)、4.89か月(同4.86か月)となっている。
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