取引単価を引き上げる方法を教えてください(経済産業省・中小企業庁)

経済産業省・中小企業庁は、取引単価を引き上げる方法を教えてくださいとして、下記内容を発表しました。

関東近郊で、下請けとして金属部品の加工と組立を行っています。元請け企業の業績が回復基調で、注文は増えているのですが、相変わらず単価の引き下げ圧力があり、受注単価を引き上げることができません。どのようにすれば、単価を引き上げることができるでしょうか。

回答

価格交渉においては、自社の強みをどれだけ訴求できるかが大きな鍵となります。その強みがあることで、交渉相手との力関係が決まるからです。強みをきちんとアピールした上で、既存の取引先との価格交渉、あるいは高単価で発注してくれる新規の取引先の確保を目指してください。

【受注単価は力関係で決まる】

景気が回復基調に入り、仕事が増えている中小企業も多くなってきています。しかし、受注単価は上がらず、残業が増えた分、むしろ利益率が悪化しているという話も聞かれるようになってきました。
受注単価が決まる要因は、発注元と受注者の力関係で決まります。
たとえば、絶対に他社では作れない製品で、代替品もないというようなものを貴社が製造していたとします。発注元は貴社から買うしか選択肢がない訳ですから、当然、価格決定の主導権は貴社にあり、高い単価を設定することが可能になるでしょう。
逆に、どの会社でも作れる製品を作っており、会社による品質の違いがない(もしくは無視できる)ものだとしたら、発注元は最も経済的なところに発注するでしょう。よって、受注単価は低く抑えられることになります。
まずは、この力関係を考えてみてください。現在の仕事は、最も安いから貴社にきているのでしょうか。それとも何らかの理由があって、価格以外の面で貴社に発注しているのでしょうか。それを整理することで、価格交渉のやり方も変わってきます。

【既存の取引先に対する価格交渉】

既存の取引先が、何らかの理由で価格以外の面で貴社を選択しているのであれば、その要素を前面に出して交渉するべきでしょう。
何らかの理由としては、技術・品質・実績や信頼・納期などさまざまなものがあると思います。それは貴社の強みです。特に競合している企業がその強みを持っていないのであれば、それは大きな交渉の材料になるはずです。
たとえば、プレス加工を行っているある会社は、表面処理工程を自社内で行っていることを強みとし、情報漏洩のリスクが少ないこと、外注するのに比べ納期が短縮できることを訴え、価格交渉を行っています。
また、単に単価を上げてほしいではなく、値上げが必要な理由もきちんと説明しましょう。
材料費の高騰が理由であれば、この材料がこのくらい上がっているので、その分の値上げをお願いする。もし無理ならば、価格の安い他の材料を使用することもできる、というように、相手に選択肢を与え理路整然と説明するのがコツです。
力関係を意識して、どのくらい自分の主張が通せるのかを判断し、交渉してください。

【新規の取引先の確保】

とは言え、既存の取引先の単価を引き上げるのは困難が予想されます。
だとしたら、高い単価で取引をしてくれる新たな取引先を発掘するという方向性も考慮に入れた方がよいでしょう。
貴社が持っている強みに魅力を感じ、既存の取引先から乗り換える理由になると判断してくれる会社であれば、高い単価での取引が可能になるはずです。
ある金属部品加工メーカーでは、「組立できること」を強みにホームページで訴求したところ、自社での組立ラインを廃止し外注したいという会社からの引き合いをもらい、高い単価で受注することに成功しています。
発注元にとっては、部品加工工程と、組み立て工程を別の会社に出すよりも、一社で完結した方が、価格面、納期面、品質面でメリットが大きいと考えたそうです。
既存の取引先には組立工程を高く評価してもらえず、単価を上げることは難しかったそうですが、新たな取引先で高単価受注をすることで、平均受注単価を上げることに成功しています。

【強みの再認識を】

既存の取引先との価格交渉にせよ、新規の顧客の獲得にせよ、重要なことは貴社の強みに相手が魅力を感じ、その対価を支払ってもよいと考えることです。
単純に値上げをして欲しいと言っても、応じてくれるところは少ないでしょう。だからこそ、自社の強みを再認識し、その強みが他者にとって魅力的に見えるように訴求していく必要があります。
製品そのものの差別化が難しいようであれば、納品するまでのプロセスで強みを発揮できることはありませんか?ぜひ一度、じっくりと考えて見てください。

回答者
中小企業診断士
遠藤 康浩

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