連合は、年金部会「3号被保険者制度、マクロ経済スライド」を議論について下記内容を発表しました。
社会保障審議会年金部会(第23回)が12月10日(火)に開催され、「第3号被保険者制度」「マクロ経済スライド」などについて議論が行われました。連合委員からは以下の通り発言を行いました。
記
1.被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる『年収の壁』への対応について
〇賃金要件の撤廃、企業規模要件の撤廃、非適用業種の解消に賛同する。一方で、雇用形態、企業規模や業種によって社会保険の適用の有無が変わることは不合理であり、5人未満の個人事業所への適用拡大も進めるべき。
〇労働時間要件について、現行の20時間という要件を維持する方向性が示されたが、雇用保険の適用拡大を踏まえ、今後、労働時間要件の引き下げに向けて議論を進めていくべき。なお、制度の誤解による就業調整を防ぐため、制度内容の周知や、社会保険の加入による給付の充実など、理解促進に向けた取り組みを強化すべきである。
〇第3号被保険者制度については、「議論の整理」において「将来的な廃止」の方向性を明記すべきである。働き方やライフスタイルが多様化する中で、配偶者の働き方などで該当するかが決まる第3号被保険者制度は中立的な制度とはいえず、また、女性のキャリア形成を阻害し、男女間賃金格差を生む原因の一つとも指摘されている。なお、適用拡大をすすめたとしても第3号被保険者が一定数いることを踏まえ、段階的・経過的な措置が必要と考える。
〇UAゼンセンでは、被用者保険の適用拡大について、すべての働く者に社会保険を適用させる制度の実現に向けて、被用者には被用者保険が適用されることを前提とし、政府においては将来ビジョンを示すべきとして取り組んでいる。
〇「賃金要件」の撤廃について方向性は理解するが、「労働時間要件」が残ることで、これまでの調査傾向から19時間近傍で調整する人が増え、現場ではこれ以上のシフト調整は困難であると企業側も懸念しているのではないか。十分な周知期間をとり、導入後も検証を進めること、雇用保険が20時間から10時間となることの影響も検証することなどを進めるとともに、労働時間要件の撤廃を含め引き続き議論すべき。
〇第3号被保険者制度については多様な意見がある。今回の見直しの議論において「将来的・段階的な廃止」を打ち出すべきである。廃止には相当の時間を要することが想定されるからこそ、現時点でその方向性を示し、今後の具体的な議論につなげていくことが重要。
〇仕事と治療の両立支援や子ども・子育て支援の充実、在宅介護サービスの充実といった支援策も必要と考える。第3号被保険者制度の将来的な廃止を打ち出す際には、当事者の声を踏まえたうえで、社会的な合意形成をはかり、その必要性や重要性など、国民への丁寧な説明・周知が必要。
〇具体的な検討をするにあたり、第3号被保険者やその世帯の生活実態、高齢単身女性に多い貧困の状況を分析する必要もあるため、検討会の設置なども必要ではないか。少なくとも、5年後の次の財政検証を待つことなく、将来的な廃止を含め引き続き検討を進めることを求める。
2.基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(マクロ経済スライドの調整期間の一致)について
〇基礎年金の給付水準の底上げをすること自体は必要と感がえるが、マクロ経済スライドの調整期間の一致は選択肢の一つに過ぎない。国民年金における改革なども検討すべきであり、この提案では不十分ではないか。また、一定数の方は本来の水準より年金額が目減りすることが事実として起きるため、納得性としても不十分ではないか。
〇適用拡大に優先的に取り組み、その上で試算結果に基づいて慎重に検討するとともに、拠出者の納得性と合理性を追求すべき。現時点では、取りまとめを行うには議論が不十分である。今回の改正で早急に結論を得るべきではない。
Ⅱ.連合「働き方などに中立的な社会保険制度に対する考え方」について
連合は、年金部会での議論が本格化する中で、2024年9月に、2つの論点「全被用者への被用者保険の完全適用」と「第3号被保険者制度廃止」について、組織討議を実施。その結果を踏まえて、10月18日の第13回中央執行委員会において「働き方などに中立的な社会保険制度(全被用者への被用者保険の完全適用、第3号被保険者制度廃止)に対する連合の考え方」を確認しました。それに伴い、6月に確認した「年金部会の検討事項に対する連合の考え方」も修正しております。
詳細は、連合|くらし・生活 2025年年金制度改革に向けてをご覧ください。
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