難病と小児慢性特定疾病にかかる 医療費助成のご案内(政府広報オンライン)

政府広報オンラインは、「難病と小児慢性特定疾病にかかる医療費助成のご案内」を発表しました。

難病や子供の慢性疾患に対する医療費助成の制度改正により、平成27年1月から医療費の助成を受けられる「難病」「小児慢性特定疾病」の対象が拡大され、これまで医療費助成を受けられなかった病気の方も、医療費助成を受けられるようになっています。難病と小児慢性特定疾病にかかわる医療費助成の制度について説明します。

1.なぜ新たな制度に変わったの?

より公平で安定的な制度とするためです

病気には様々なものがあります。原因がおおよそ分かっており、いろいろな治療法や薬が開発されていて1~2週間で完治するという病気もあります。しかし一方では、原因が分からない、症例が少ないなどのために治療法が確立していない難病や、幼少期から長期にわたり治療が必要な慢性疾患があります。これらは、治療が長引き完治しにくいことから、肉体的、心理的負担に加えて、医療費や介護費などの大きな経済的負担を患者や家族が抱えることになります。
こうした難病や子供の慢性疾患について、新しい制度になる前も国が指定する病気を持つ患者に対して、国と地方公共団体によって、医療費の助成が行われてきましたが、難病については法律に基づく制度としては確立されておらず、子供の慢性疾患についても医療費助成について、安定的な財源の仕組みとなっていませんでした。
そこで、難病や小児慢性特定疾病に関する調査研究の推進や療養環境の整備、患児の自立支援などの推進とともに、医療費助成制度の整備を図るため、「難病の患者に対する医療等に関する法律」と「児童福祉法の一部を改正する法律」が平成27年1月1日から施行され、難病と小児慢性特定疾病の医療費助成が新たな制度に変わりました。
新たな医療費助成制度では、安定的な制度とするために、「指定難病」(2章を参照)や「小児慢性特定疾病」(4章を参照)の患者さんへの医療費助成に要する費用の2分の1を国が負担する(消費税から充当)ことが法律で定められました。また、医療費助成の対象となる病気が、指定難病は330疾病、小児慢性特定疾病は722疾病に拡大されています。
なお、今後も指定されるための要件を満たしたことが明らかとなれば、審議会等での議論を経た上で、対象の疾病が拡大される可能性があります。
さらに、患者さんの自己負担の割合や負担の上限額についても変わっています。
「指定難病」の場合、医療費の自己負担割合は従来の3割から2割に引き下げられました。自己負担額の上限は、従来は外来と入院の違いや重症度、患者さんの所得などによって分けられていましたが、新たな制度では外来と入院の区別をなくし、世帯の所得に応じて自己負担額の上限額が決定されます。
「小児慢性特定疾病」についても、医療費の自己負担割合が従来の3割から2割に引き下げられ、自己負担額の上限額を定めた分類が整理されました。
指定難病の新たな自己負担上限額は、他の制度との公平性の観点から、障害者の自立支援医療を参考にして定められており、小児慢性特定疾病については、指定難病で定められた額の2分の1としています。これにより、従来の難病・小児慢性特定疾患の医療費助成を受けていた方の中には負担が増す場合もありますが、助成対象の疾病を広げるなど、助成制度が患者さんやご家族のニーズにより合ったものになりました。

2.「難病」の新たな医療費助成とは?

医療費の自己負担割合が2割に引き下げられ、所得に応じて負担上限額を設定

難病に関する現在の医療費助成制度のポイントは下記のとおりです。

(1)医療費助成の対象疾病の拡大

医療費助成の対象となる「指定難病」(囲み欄参照)は、平成29年4月現在、330疾病にまで拡大されています。

指定難病とは(平成27年1月1日以降)

指定難病は、難病のうち以下のような要件を満たすものについて厚生科学審議会(指定難病検討委員会)が審議を行い、厚生労働大臣が指定します。

  • 発病の機構が明らかでないこと
    原因が不明、病態の解明が不十分である など
  • 治療方法が確立していないこと
    治療方法が全くない、対症療法はあるが根治のための治療方法がない など
  • 長期の療養を必要とすること
    疾病に起因する症状が長期にわたって継続する場合(基本的には発症してから治癒することなく、生涯にわたって症状が継続あるいは潜在する場合)
  • 患者数が日本国内で一定の人数に達しないこと
    「人口の0.1%程度」に達しない場合
  • 診断に関し、客観的な指標による一定の基準が定まっていること
    血液などの抗体検査、画像検査、遺伝子解析検査、生理学的検査、病理検査などの結果や、理学的所見を含めた客観的な指標がある
    関連学会などによる承認を受けた基準などがある

・新制度における「指定難病」の詳細はこちらをご覧ください。
難病情報センター「指定難病一覧」
※なお、「がん」(がん対策基本法など)のように別個の対策の体系があるものは、難病対策には含まれません。

法施行前の平成26年12月までの医療費助成の対象となる疾病は、ベーチェット病、重症筋無力症、もやもや病など56疾患となっていましたが、平成27年1月1日からは、これに自己免疫性溶血性貧血、IgA腎症、甲状腺ホルモン不応症などが加わって110疾病となり、平成27年7月1日にはさらに196疾病を加えて合計306疾病、平成29年4月には24疾病が追加され、合計330疾病が指定難病となっています。
なお、スモンについては、特定の薬剤により発症することが明確であり指定難病の要件を満たさないことから新たな医療費助成制度の対象とはなりませんが、これまでの制度で助成が続けられています。

(2)所得に応じた医療費に係る自己負担の見直し

指定難病の医療費の自己負担割合が、従来の3割から2割に引き下げられています。
また、症状が変動し、入退院を繰り返すなどの指定難病の特性に配慮し、外来・入院の区別を設定しないで、世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されています。
自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算した上で適用されます。

平成27年1月からの新たな自己負担(月額・円)

(3)指定医・指定医療機関の制度を導入

現在の制度では、指定難病の診断を行う「難病指定医」や治療を行う「指定医療機関」を、都道府県知事が指定する制度が導入されています。
医療費助成を受けるためには、指定医による診断書が必要になります。
難病に係る医療費助成の対象となるのは、指定医療機関で受診した際の医療費です(複数の場合は合算)。
続きは、こちらをご覧ください。
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