国税庁は、平成 27 年以前の公社債の譲渡による譲渡所得に係る取扱いについて下記内容を発表しました。
1 従来の取扱い
平成 27 年以前に行われた公社債の譲渡による譲渡所得については、一定の公社債の譲渡に限って課税対象とされていたところ(平成 25 年法律第5号による改正前の租税特別措置法第 37 条の 16 及び平成 25 年政令第 169 号による改正前の租税特別措置法施行令第 25 条の 15)、「その利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が百分の百五十以上である公社債(利子を付さない期間があるものを含む。)」(同条第2項第4号)はこの課税対象となる公社債とされて
いました(したがって、この課税対象となる公社債を譲渡したことにより譲渡損失が生じた場合は、当該譲渡損失は他の所得と損益通算をすることができました(所
得税法第 69 条)。)。
この「利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が百分の百五十以上」(以下「150%基準」といいます。)となる公社債に該当するものは、これまで、「発行時点において、発行条件に定められた各利払期間の利子の利率により、その公社債の各利払期間の利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除して計算した割合が百分の百五十以上になることが必然であるもの」として取り扱っていました。
2 変更後の取扱い
今般、債券の利子の利率が、一定の時期における一定の基準(為替レートなど)により変動する債券について、この 150%基準に該当するか否かが争われた裁判において、東京地裁は、「150%基準にいう利率の『最も高いもの』及び『最も低いもの』に当たるのは、債券の発行条件に照らし、その発行期間においてとり得るものとされている上限利率及び下限利率であり、このような上限利率を下限利率で除して計算した割合が 150%以上となる場合(下限利率が0%である場合を含む。)には、その債券は、その発行時の現況に照らして 150%基準を満たす現実的可能性がおよそないと認められるような特段の事情がない限り、150%基準を充足する」旨判示しました(令和3年5月 20 日判決)。 つきましては、上記1の従来の取扱いを変更し、150%基準に該当するか否かに
ついては、「債券の発行条件に照らし、その発行期間においてとり得るものとされている上限利率及び下限利率を基に、その発行時の現況に照らして 150%基準を満たす現実的可能性がおよそないと認められるような特段の事情がない限り、150%基準を充足するか否か」により判断することとします。
3 所得税の還付手続
上記2の取扱いの変更は、過去に遡って適用されますので、これにより、平成 27年分以前の所得税の申告書の内容に異動が生じ所得税が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、その申告書の提出日から5年以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている所得税の還付を受けることができます。
更正の請求をする場合は、譲渡した公社債の利子の利率の内容を確認することができる書類等を併せてご提出ください。
なお、所得税の申告書の提出の日等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされていますのでご注意ください。
(注) 平成 28 年以後の公社債の譲渡による所得については、一定の公社債の譲渡を除き、株式等に係る譲渡所得等の対象とされています(租税特別措置法第 37 条の 10 等)
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