配偶者居住権の消滅事由

配偶者居住権の特徴の一つが、消滅事由であり、この点が税務上大きな影響がある点です。
まず最初に消滅事由を見てみましょう。
1.配偶者居住権の消滅事由としては、
①存続期間の終了(民法597条①準用)
②配偶者の死亡(民法597条③準用)
③所有者による消滅請求(用法遵守義務違反<注>)
④居住建物の全部滅失(民法616の2準用)
⑤合意解除・放棄
<注>用法遵守義務違反とは、配偶者に課される義務を守らない場合をいい、この場合土地建物の所有者は、配偶者に対して配偶者居住権の消滅を請求することができます。具体的には、所有者の許可なく第三者に当該自宅建物を賃貸する場合や、固定資産税を負担しない場合や通常必要な家屋の修繕を行わない等が考えられます。
2.配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。
但し、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
税務上の影響がある理由は、制約があるにせよ配偶者居住権という財産的価値が、消滅することにより、配偶者居住権を有していた配偶者から、当該土地・建物の所有者に価値の移転があるという点です。
上記1の①②④は、価値の移転に対する課税が無いのに対し、③と⑤の場合は、価値の移転に対し適正な対価を支払わないと贈与税が課税される点を注意する必要があります。

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