昨日は、ホワイト企業を目指す本当の理由として、企業を取り巻く外部環境として生産人口の減少が大きな問題である事をご説明致しました。
本日は、その問題に対する政府の取組みからご説明しましょう。
日本がバブル崩壊以降、「失われた20年」と言われて久しいですが、日本のGDPは、約500兆円と先進国30か国で唯一成長していない国と言っても過言ではありません。
2012年以降、アベノミクスは、下記の「三本の矢」(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)を、経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げているが、結果が伴わず、その反省から安倍晋三首相は2016年9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し、働き方改革の取り組みを提唱しました。
具体的には、働き方改革を「 一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ 」と位置付け、多様な働き方を可能とする社会を目指し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現など、生産人口減少に対する抜本的な労働制度改革を進めることとしたわけです。
1.働き方改革は、何を目指しているのか
「働き方改革」のポイントをここで整理しましょう。
生産人口の減少は、所与とした場合、労働力不足解消の3つの対応策は、下記の3つです。
①働き手を増やす(労働市場に参加していない女性や高齢者)
②出生率を上げて将来の働き手を増やす
③労働生産性の向上
上記①②を対応策を実現する3つの政策が「働き方改革」のポイントです。
①長時間労働の是正
②非正規と正社員の格差(「同一労働同一賃金」)
③労働人口不足を補うための女性及び高齢者の就労促進
2.長時間労働の是正
それでは、なぜ長時間労働を是正しなければならないのでしょうか。
それは、日本の労働時間は欧州諸国と比較して長く、仕事と子育てや介護を無理なく両立させるためには、長時間労働を是正しなければならないからです。
3.非正規と正社員の格差の是正
それでは、なぜ非正規と正社員の格差の是正しなければならないのでしょうか。
現在の日本では、同じような仕事をしているにも関わらず、正規労働者と非正規労働者との間で、賃金格差が発生しています。非正規労働者の賃金は、正規労働者の6割程度と、欧州主要国の8~9割に比べると大きな差があります。この格差を何とかしようと考えられたのが、「同一労働同一賃金ガイドライン」です。
同一労働同一賃金は、2018年(平成30)年6月の働き方改革関連法の成立により、2020年4月以降に導入されることが決定しています。
4.労働人口不足を補うための女性及び高齢者の就労促進
労働人口の減少が避けられない現状では、外国人労働者以外の労働者を増やす施策としては、働いていない女性と高齢者の就労を増やすしか手段がありません。また、社会保険の観点でも、日本の年金制度は亡くなるまでの10年間を社会保険でカバーするとの発想に立ち制度が構築された経緯があります。
一方で寿命が年々伸び、「人生100年時代」と言われる今日においては、なるべく長期間働いてもらうことこそが、国家存続の基本政策といっても過言ではありません。
5.本日のまとめ
①「働き方改革」は、生産人口減少に対する抜本的な労働制度改革です。
②「ホワイト企業」「ブラック企業」という言葉がイメージ先行してい語られることが多いですが、日本の成長戦略の根幹です。
③「ホワイト企業」を目指すのは、国策に沿ったもので、「ホワイト企業」に与えられる特典を活用しないのは、大変もったいない。
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