これだけは知っておきたい 消費者契約のABC(政府広報オンライン)

政府広報オンラインは、これだけは知っておきたい消費者契約のABCについて、下記内容を発表しました。

スマホを新たに購入したり、賃貸住宅を借りたり、英会話教室やスポーツジムに通ったり……。成人になると、様々な契約を自分で行うようになります。しかし時には、事業者にしつこく勧誘されて契約内容をよく理解せずに契約して、「こんなはずではなかった」と後悔するケースも。不当な勧誘や契約からあなたを守るために、「消費者契約法」について知っておきましょう。

ここがポイント!

消費者契約とは?

スマホの購入、電子書籍や音楽配信の利用、賃貸住宅の契約も、みんな消費者契約です

私たちがお店やネットショップでモノを買ったり有料サービスを受けたりする場合など、消費者(※)と事業者との間で締結される契約を「消費者契約」といいます。
※事業として、または事業のために契約の当事者となる場合を除く個人をいいます。

 

例えばスマホを新規に契約する場合、スマホ本体を購入する契約や通信サービスを利用する契約を結びます。電子書籍や音楽配信、交通案内、ゲームなどのアプリをインストールして有料のサービスを受ける場合も、契約を結ぶのが普通です。高額な商品の購入や長期間に渡る有料サービスにも契約を伴います。
日ごろあまり意識することはないかもしれませんが、私たちは暮らしの中で様々な消費者契約を結んでいます。

成人になると、様々な契約を自分で行うようになります。しかし、中には、契約後に「聞いていた話と違う」「こんなはずではなかった」といったトラブルが起きることがあります。
契約とは当事者同士の合意によって成り立つものです。消費者は一方の当事者なので、自分がかかわる契約をよく理解することが大切です。
ただし、対象となる商品やサービス、取引についての知識や情報は、事業者の方が質・量ともに消費者を大きく上回っているのが普通です。また、消費者と事業者との間には交渉力の格差もあります。このような情報や交渉力の格差のため、消費者が不利な契約を結んでしまう可能性があります。
こうした状況に対処し消費者を守るため、「消費者契約法」という法律があります。これは、消費者と事業者の間の情報や交渉力の格差を考慮し、消費者を不当な勧誘や契約条項から守るために、消費者契約に関する包括的な民事ルールとして、平成12年(2000年)5月に制定された法律です。
同法では、「消費者契約」について、次のルールを定めています(なお、消費者契約法は労働契約には適用されません。)。

消費者と事業者の間のすべての消費者契約に適用

○事業者の不当な勧誘によって契約をしたときは、消費者はその契約の「取消し」が可能
○消費者の権利を不当に害する契約条項は「無効」

消費者契約法は平成13年(2001年)4月から施行されていますが、その後、平成28年(2016年)と平成30年(2018年)には「取消しできる契約の範囲の拡大」や「無効となる不当な契約条項の追加」などの改正が行われました(平成29年(2017年)6月、令和元年(2019年)6月にそれぞれ施行)。
自分にとって不利な契約を結ばないために、どのようなときに契約の取消しができるのか、どのような契約条項が無効になるのかを知っておきましょう。

契約の取消しができるのはどんなとき?

消費者を誤認・困惑させる勧誘があった場合

「販売員の勧誘がしつこくて断り切れず、必要ないのに契約してしまった」「営業マンの言葉を信じて契約したが、後でよく確認したら言われた話と違っていた」という経験はありませんか。事業者が消費者を困惑させたり、誤認させたりするような不当な「勧誘」をした場合、消費者はそれによって結んだ契約を取り消すことができます(「取消権」といいます)。
具体的には、以下のような行為が「不当な勧誘」にあたります。

「取消し」ができる「不当な勧誘」とは

(1)重要事項について事実と異なる説明があった場合(不実告知)
契約の対象となる物やサービスの内容・品質・効果などの説明、価格や支払方法、その他重要な事項(契約内容)について、事実と違う説明をした場合。また、契約の対象となる物やサービスに関連しない事項について、生命、身体、財産その他重要な利益についての損害または危険を回避するための必要性について、事実ではないことを言った場合。
(例)
・「この機械を付ければ電気代が安くなる」と勧誘し、販売。(実際は、そのような効果はなかった)
・自動車の給油のためにガソリンスタンドに寄った消費者に対し、店員が「タイヤを見たら溝が大きくすり減っていてこのまま走ると危険、タイヤ交換が必要」と言って、消費者の不安をあおり、新しいタイヤを販売した。(実際は、危険なほどすり減ってはいなかった)

(2)分量や回数などが多過ぎる場合(過量契約)
消費者にとって通常必要とされる商品の分量やサービスの回数等を著しく超えることを事業者が知っていながら契約させた場合
(例)
・一人暮らしであまり外出せず、着物をふだん着る習慣もない高齢の消費者に対して、事業者がそのことを知りながら、その消費者が店舗に訪れた際に勧誘して着物を何十着も販売した。

(3)不確かなことを「確実だ」と説明された場合(断定的判断の提供)
将来における変動が不確実な事項について、確実であると告げた場合
(例)
・将来、確実に値上がりするとは限らない金融商品について、「確実に値上がりする」「必ずもうかる」などと説明して販売した。

(4)消費者に不利な情報を故意又は重大な過失により告げなかった場合(不利益事実の不告知)
消費者の利益となる旨を告げながら、重要事項について不利益となる事実を故意又は重大な過失により告げなかった場合
(例)
・すぐ隣の土地に、眺めや陽当たりを阻害するマンションの建設計画があることを知りながら、それを説明せずに、「眺望・日照良好」と説明して住宅を販売した。

(5)営業マンなどが強引に居座った場合(不退去)
事業者が消費者の自宅や勤務先などで勧誘しているとき、消費者が事業者に対し、帰ってほしいなど退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、事業者が退去しなかった場合
(例)
・消費者の自宅を訪れた事業者に、消費者が「もうお引き取りください」と言っても、「契約してくれるまで帰らない」などと居座り、契約させた。

(6)販売店などで強引に引き留められた場合(退去妨害
事業者が勧誘している場所から、消費者が帰りたいなど退去する意思を示したにもかかわらず、消費者を退去させなかった場合
(例)
・事業者の販売店や事務所などで勧誘された消費者が、「契約はしませんのでもう帰ります」と言っても、「まだ説明が終わらないから」などと強く引き留め、契約させた。

(7)就職セミナー等(不安をあおる告知)
事業者が、消費者が社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、契約が必要と告げた場合
(例)
・就活中の学生の不安を知りつつ、「このままでは一生成功しない、この就職セミナーが必要」という勧誘を事業者から受けた。

(8)デート商法等(好意の感情の不当な利用)
事業者が、消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから勧誘者に好意の感情を抱き、かつ、勧誘者も同様の感情を抱いていると誤信していることを知りながら、契約しなければ関係が破綻すると告げた場合
(例)
・SNSで知り合った男性と何度か連絡をして好きになった。宝石展示場に誘われて行ったところ、「買ってくれないと関係を続けられない」と男性から言われ契約した。

(9)高齢者等が不安をあおられる(判断力の低下の不当な利用)
事業者が、消費者が加齢や心身の故障により判断力が著しく低下していることから、現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、契約が必要と告げた場合
(例)
・加齢により判断力が低下した消費者に対し、「投資用マンションを買わなければ、定期収入がなく今のような生活を送ることは困難である」と告げる勧誘を受けた。

(10)霊感商法等(霊感等による知見を用いた告知)
事業者が、霊感等の特別な能力により、消費者にそのままでは重大な不利益が生じることを示して不安をあおり、契約が必要と告げた場合
(例)
・「私は霊が見える。あなたには悪霊がついておりそのままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」と告げる勧誘を受けた。

(11)契約前なのに強引に代金を請求される等(契約締結前に債務の内容を実施等)
(ア)事業者が、契約締結前に、契約による義務の全部又は一部を実施し、実施前の原状の回復を著しく困難にした場合
(例)
・事業者が、注文を受ける前に、自宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求された。

(イ)事業者が、契約締結前に、契約締結を目指した事業活動を実施し、これにより生じた損失の補償を請求する旨等を告げた場合
(例)
・別の町の事業者から、マンション投資の勧誘で会ってほしいと言われ会ったが、「あなたのためにここまで来た、断るなら交通費を支払え」と告げ勧誘された。

「取消し」ができる期間

取消しができる期間は以下のように期限があります。

○追認(※)ができるときから1年間
○契約の締結のときから5年間

「追認ができるとき」とは、消費者が誤認をしたことに気付いたときや困惑を脱したとき等、取消しの原因となっていた状況が消滅したときです。なお、契約を締結した日から5年が過ぎると、時効により取消権が消滅するため、取消しができなくなります。

契約書に書かれていても無効な条項とは?

消費者の利益を不当に害する条項は、契約書に書かれていても無効です

契約は、いわば消費者と事業者の間の約束ごとであるため、いったん結んだ内容はおろそかにできません。ただし、消費者の利益を不当に害する内容については、契約書に示されていても効力を持ちません。例えば、以下のような契約条項は無効になります。

(1)事業者に責任がある場合でも、「損害賠償責任はない」とする条項
(事業者の損害賠償責任を免除する条項)
損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項は無効
(例)
・「当ジムは、会員の施設利用に際し生じた傷害、盗難等の人的・物的ないかなる事故についても一切責任を負いません」とする条項

(2)「一切のキャンセルや返品・交換などを認めない」とする条項
(消費者の解除権を放棄させる条項)
事業者の債務不履行等の場合でも、消費者の解除権を放棄させる条項は無効
(例)
・「販売した商品については、いかなる理由があっても、ご契約後のキャンセル・返品、返金、交換は一切できません」とする条項

(3)成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項
事業者に対し、消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項は無効
(例)
アパート等の賃貸借契約における「賃借人(消費者)が後見開始の審判を受けた時は、賃貸に(事業者)は直ちに本契約を解除できる。」とする条項

(4)消費者が負う損害金やキャンセル料が高過ぎる場合
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等)
契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項は無効
(例)
・結婚式場等の契約において「契約後にキャンセルする場合には、以下の金額を解約料として申し受けます。実際に使用される日から1年以上前の場合:契約金額の80%」とする条項
・「毎月の家賃は当月20日までに支払うものとする。前記期限を過ぎた場合には1か月の料金に対し年30%の遅延損害金を支払うものとする」といった条項

キャンセル料が高すぎたり、解約時に支払い済みの金銭を返してもらえなかったりした場合、不当な契約条項にあたります。

(5)消費者が一方的に不利になる条項
(消費者の利益を一方的に害する条項)
任意規定の適用による場合に比べ、消費者の権利を制限しまたは義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効
(例)
・注文した掃除機が配達されたところ、掃除機のほかに注文していない健康食品が同封されていた。後日、疑問に思って掃除機を注文した際の契約をよく見ると、消費者から事業者に「健康食品は不要である」と電話をしない限り、健康食品を継続的に購入する旨の条項が含まれていた。

契約について困ったときは

最寄りの消費生活相談窓口に相談を

消費者契約法は、労働契約を除くすべての消費者契約に適用されます。日常生活の中で、「不当な勧誘を受けて契約してしまった」「契約を取り消したい」「この契約条項は不当なのではないか」など、契約に関して困ったこと、分からないことがあるときは、身近な消費生活相談窓口にご相談ください。

相談窓口はこちら

◆消費者ホットライン 188(いやや)
全国どこからでも、3桁の電話番号「188」でご連絡ください。お近くの地方自治体の消費生活相談窓口をご案内します。

◆全国の消費生活相談窓口
一覧はこちら

また、不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルの未然防止・拡大防止や被害回復を図る、「消費者団体訴訟制度」があります。これは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が消費者に代わって、事業者に対して訴訟などをすることができる制度です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
暮らしに役立つ情報「不当な勧誘や契約条項などによる消費者トラブルに遭ったら「消費者団体訴訟制度」の活用を!」

<取材協力:消費者庁 文責:政府広報オンライン>

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