経済産業省・中小企業庁は、支援機関とともに「商工会議所編③」 ~商工会議所と専門家が力をあわせて、経営の課題解決~について、下記内容を発表しました。
商工会議所などの認定支援機関では、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家と連携しながら、幅広い分野の経営相談を行っています。
今回の「支援機関とともに」では、専門家が資金調達・労務管理の相談、事業計画の策定などについてのアドバイスを行い、「持続化補助金」を活用しつつ、店舗移転(新規出店)を行った事例を紹介します。
認定支援機関 | 札幌商工会議所(北海道札幌市中央区北1条西2丁目2-1) |
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支援企業 | 犬の幼稚園ハッピードッグ |
企業概要 | 犬の幼稚園、ドッグホテル、シャンプー&トリミング等 |
所在地 | 札幌市清田区平岡二条三丁目6-14 |
ホームページ | http://kitanodog.com/ |
経営で分からないことを、商工会議所に相談
犬の幼稚園ハッピードッグの主な事業は、犬の幼稚園、ドッグホテル、シャンプー&トリミングなど。「犬の幼稚園」というその名の通り、「朝に飼い主から犬を預かり、昼間に集団生活や訓練をして過ごし、夕方に迎えに来る飼い主へ返す」という人間の幼稚園のようなものである。
近年、犬を飼う人は増加傾向にあるが、一方でペットの吠え、噛み、飛びつき等に悩む飼い主も増えている。このような問題行動の主な原因の一つが、一日の大半の時間を家の中と家族だけという閉じられた環境で飼う人が増えてきたことにあるのではないかと、米田史代表は話す。
「もともと、犬は集団生活をしてきた動物です。群れのなかで、他の犬との関係を学び、成長していきます。しかし最近は、幼犬のうちに親から離されてペットショップで販売され、家の中で飼い主以外とのふれあいも少なくなってきました。うまく他者との関係性が築けないことが、問題行動につながっているのではないかと思います。犬の幼稚園は、そうした犬のための教育施設です(米田代表)」
犬の幼稚園の副代表である米田代表の妻はドッグトレーナーとして、1000頭以上の問題行動犬の矯正訓練に携わり、自宅で「北野ドックスクール」を経営していた。
2019年、このドックスクールから事業を引継ぎ、「犬の幼稚園ハッピードッグ」を設立。米田氏が代表に就任し、現在の店舗に移転し、事業の規模拡大を図ることになった。
「私の前職は、畑違いのプログラマーで、経営については素人も同然です。分からないことばかりでした」
そこで、経営全般について札幌商工会議所に相談。最初の相談相手が、河村安希子経営指導員だった。
「米田さんにお話をうかがうと、資金調達、新規雇用、補助金活用、法人化など、様々なことについてアドバイスして欲しいとのことでした。職員だけでは対応が難しいので、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家に会ってみたらどうでしょうと提案しました。(河村経営指導員)」
そして、専門家の派遣については、商工会議所の専門家派遣制度を活用した。
専門家を派遣し、労務・経営についてアドバイス。
米田代表の労務・経営のアドバイスを担当したのが、社会保険労務士・中小企業診断士である千葉俊幸氏である。
「店舗移転にあたって、新規雇用を考えているとのことでした。雇用にあたっては、適正なルールづくりが大切です。就業規則・雇用契約等について見直すとともに、労務管理の具体的な方法について、私の経験も交えながらアドバイスしました(千葉氏)」
また、資金調達と売上確保も重要な課題だった。まずは 店舗移転(新規出店)のための資金調達を行い、事業規模を拡大しながら、売上・収益を確保して、人件費を払っていかなくてならない。
「まずは、しっかりと事業計画を立てましょうという話をしました。今回は、資金調達の一つとして補助金を活用し、店舗移転にあたっての設備改修やホームページ制作を行いましたが、持続化補助金の申請には事業計画(経営計画)が必須です。事業計画を立てる良いきっかけになりました(千葉氏)」
持続化補助金の経営計画書には、補助事業の必要性や事業効果について、説得力をもって記載しなくてはならない。
「経営者として、自分なりに強み・弱み、市場動向、経営ビジョンなど書いていきました。しかし、独りよがりの部分も出てきますし、説得力にも欠けてしまいます。千葉先生と河村さんに計画書を見てもらい、アドバイスをいただくことで、客観的な視点から自社の経営を見つめ直すことができました。このことはきっと、これからの経営に役立つと思います(米田代表)」
「補助金の申請書は、第三者の審査員が読むものです。米田さんの事業への想い、将来のビジョンが審査員に伝わるように、事業計画の表現方法やストーリーについてアドバイスさせていただきました(河村経営指導員)」
経営者の一番身近な相談相手になりたい。
コロナ禍での店舗移転・規模拡大となったため、将来の見通しは不透明であり、売上減の不安は大きかった。なかでも、飼い主の旅行機会が激減したことにより、犬の幼稚園と並ぶ事業の柱であるドッグホテルは大幅な売上減となってしまった。しかし、犬の幼稚園事業の規模拡大により、その減少分をカバーすることができた。
「持続化補助金でホームページを改修し、トップページに犬の幼稚園のムービーを入れました。犬たちが楽しそうに散歩したり、犬同士で遊んだりしている姿が好評で、新規の入園希望者が増えました(米田代表)」
また新規事業として、吠え・噛み・飛びつきといった犬の問題行動に悩む飼い主のための「オンラインカウンセリング」もスタートした。これは、副代表のドッグトレーナーとして豊富な経験とノウハウを活かした事業である。
「現在、犬の幼稚園は入園条件を1歳未満の幼犬にしていますが、今後は成犬にも門戸を広げていきたいと思っています。また将来的な話になりますが、老犬の最期を看取るターミナルケアのような施設も運営できたらと考えています(米田代表)」
「犬は家族一員」という意識が強くなり、飼い主が一頭当たりにかける費用は増加傾向にある。市場としては非常に有望であるが、将来ビジョンを実現するためには、雇用・組織体制・財務など、いくつかの課題を解決しなくてはならないと言う。
「経営者の方の一番身近な相談相手に、商工会議所がなれたらいいなと思います。もちろん職員で対応できる範囲には限界がありますが、いろいろな情報を紹介しながら、さまざまな専門家とつなぎながら、課題解決の、ビジョン実現のお手伝いをしていきたいですね(河村経営指導員)」
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