経済産業省・中小企業庁は、担当者に聞く「金融機関とのつきあい方」 ~アフターコロナに向けて、金融機関との良い関係づくりを~と題して、下記内容を発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大は、中小企業・小規模事業者に深刻な影響を与えました。このようななかで、「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」や「補助金・助成金」などの新型コロナ支援策に関連して、金融機関のサポートを受けた経営者の方も多いと思います。
一昔前の金融機関と言えば、「預金・融資・為替(振込等)」が業務の中心でした。しかし近年は、このような基本業務に加えてお客様の「本業支援」に力を入れる金融機関が増えています。そのための専門部署を設置している銀行・信用金庫も少なくありません。
コロナ禍をきっかけに、「金融機関とのつきあい方が変わった」「金融機関との関係が密になった」という経営者の声もよく聞きます。アフターコロナに向けて、金融機関と良い関係を築いていくためには、どうしたら良いのか。そのポイントついて、東京東信用金庫 与信管理部の三國屋部長にうかがいました。
東京東信用金庫 三國屋部長
業績が悪化しそうになったら、早め早めの相談を
2020年5月から2021年3月にかけて、当金庫を含めた金融機関は、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した中小企業・小規模事業者に対して「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を中心とした資金繰り支援を実施しました。そして、これからゼロゼロ融資の返済が本格化します。新型コロナウイルスの影響が想像以上に長期化したため対応に苦慮している経営者の方も多いと思います。
このゼロゼロ融資に限らず、融資案件のすべてに関わることですが、万一業況が悪化しそうになったら、できるだけ早く金融機関に相談するようにしてください。可能であれば、業況の良し悪しに関わらず金融機関に様々な情報を定期的に報告されるとよろしいかと思います。病気と同じで早期なら色々な治療法を試すことができますが、業況の悪化が進んでしまうと対応が限られてしまうこともあります。
当金庫には「お客様サポート部」内に中小企業応援センター担当という経営支援のための専門チームがあります。
中小企業応援センターでは、大学との連携や公的支援機関の専門家派遣制度等も活用しながら、販路拡大、事業承継、IT活用などの経営・技術相談、国・自治体の補助金や助成金等の相談をワンストップでお受けしています。経営課題についてご相談いただければ、いろいろな提案やアドバイスができます。
当金庫だけでなく、このような経営支援の取り組みをしている金融機関は多いと思います。
返済条件の見直し、リスケの目的は「経営改善」
さて、私が所属する与信管理部では、お客様サポート部の案件よりも、さらに業況の悪化が進んだお客様の経営支援が多くなります。その一つに、資金繰りが悪化したお客様に対して、月々の返済額を減額したり、返済期間を延長したりする「リスケ(リスケジュール)」があります。
返済方法の変更をともなうリスケは「経営を立て直していただく」ことが目的であり、「経営改善」が前提です。ですから、これからの事業計画に関するお話をうかがい、経営を改善するためにどうしたら良いのかを、お客様と一緒に考えていきます。
また状況に応じて、外部支援機関等と連携しながら、税理士や中小企業診断士などの専門家とともに、「経営改善計画」等の策定も支援します。「経営改善計画」と聞くと、経営者の方には少しハードルが高い印象があるかもしれません。しかし最近は、「早期経営改善計画」のように、早期からの経営改善を目的とした計画の策定も増えてきました。これらの計画は、収益力改善のためのアクションプランや資金繰り計画等を中心としたもので、事業再生等を目的とした「事業再生計画」よりも簡易で作成しやすい計画になっています。
さて話は少しずれますが、事業計画は「経営を見える化」 するためのものであり、経営者はもちろん、従業員、金融機関、支援機関等と経営に関する情報を共有するためのツールです。
家族経営の中小企業・小規模事業者のなかには、事業計画はもちろん資金繰り表もない状態で、いままでの経験則で経営をしている事業者も少なくありません。経営が順調な時はそれほど気にされていない経営者もいらっしゃいますが、今回のコロナ禍のように外部環境が大きく変化すると、経営が行き詰まるリスクが高くなります。その時に事業計画がないと、経営に関する情報を「見える化」できずに金融機関や専門家から的確なアドバイスや支援を受けることが難しくなります。
当金庫を含め、多くの金融機関では、リスケや融資に関わらず、事業計画策定のアドバイスやサポートを行っています。ぜひ相談ください。
お客様と対話を通じて、経営課題の発見につなげていきたい
近年、金融機関では融資にあたり、「事業性評価」を重視するようになってきました。事業性評価とは、お客様の現在の財務内容や担保のみにとらわれることなく、企業訪問や経営相談等を通じて事業に関する情報を収集して、事業内容や将来性などを評価することです。
いままで金融機関の融資は「担保至上主義」と言われてきた部分もありました。しかし最近は、担保等のみに囚われない事業性評価に基づいた融資が増えつつあります。
この事業性評価については、私たち金融機関の「対話力」も試されます。お客様との対話を重ねるなかで、会社の強み・弱み、市場環境、事業の将来性、経営改善への意欲などをヒアリングし、事業の実現性や成長性を精査しなくてはなりません。
コロナ禍をきっかけに、私自身、お客様との対話、コミュニケーションの大切さを強く感じるようになりました。対話を通じて、お客様の事業の状況や経営課題を把握することで、適切なアドバイスができます。対話を重ねるなかで、お客様も気づいていない経営課題を発見することもできます。
当金庫では、一人ひとりがこのような「対話力」を磨き、お客様の本質的な課題につながる伴走支援に取り組んでいきたいと考えています。
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