経済産業省・中小企業庁は、「くるみん認定」を取得したいのですが、どのような取り組みをしたら良いですかと題して、下記内容を発表しました。
回答
「くるみん認定」は、行動計画を策定し、それを実施して目標を達成した場合に申請が可能です。また、他にも、働きやすい環境づくりに向けて取り組み、成果を上げることが要件となっています。
1.「くるみん認定」とは
くるみん認定とは、「子育てサポート企業」を厚生労働大臣が認定する制度です。次世代育成支援対策推進法に基づき行動計画を策定し、その行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした場合(以下2.参照)、申請により認定を受けることができます。
「くるみん」という愛称には、赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と「職場ぐるみ、会社ぐるみ」で仕事と子育ての両立支援に取り組もうという意味が込められています。認定企業になると、両立支援に積極的な企業というアピールが可能になるほか、公共調達において加点評価の対象となる場合もあります。
認定数は、2021年12年現在、3,755企業です。
2.「くるみん認定」の要件
(1)次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画を策定したこと
一般事業主行動計画とは、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、①計画期間、②目標、③目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。
計画は、企業の実情や従業員のニーズに即したもの、かつ(2)以降の認定基準を踏まえて策定します。
なお、行動計画そのものは、従業員101人以上の企業には策定・届出、公表・周知が義務づけられています。
(2)(1)の計画期間が2年以上5年以下であること
(3)(1)の計画を実施し、目標を達成したこと
(4)(1)の計画の外部への公表・従業員への周知を適切に行っていること
(5)計画期間において、男性従業員が育児休業等を一定割合以上取得していること、またそれを厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること
①育児休業等を取得した者の割合が10%以上
②育児休業等を取得した者および企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した者の割合が、合わせて20%以上、かつ、育児休業等を取得した者が1名以上いること
のいずれかを満たすことが必要です。
※以上は2022年4月からの要件ですが、2022年4月1日から2024年3月31日の間の認定申請は、①は7%、②は15%でも基準を満たします。
※従業員数が300人以下の場合、特例があります。
(6)計画期間において、女性従業員の育児休業等取得率が75%以上であり、またそれを厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」に公表していること
ただし(5)と同様、従業員数が300人以下の場合、特例があります。
(7)3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること
(8)計画期間の終了日の属する事業年度において次の①、②のいずれも満たしていること。
①フルタイムの従業員等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること
②月平均の法定時間外労働60時間以上の従業員がいないこと
(9)次の①~③のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること
①所定外労働の削減のための措置
②年次有給休暇の取得の促進のための措置
③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
(10)法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
なお、以上の基準は2022年4月からのものです。2022年3月までの基準と比較し、(5)、(6)が変更になっています。2022年3月までの基準における認定は、新たな認定制度「トライくるみん」に引き継がれます。
3.「くるみん」の次は「プラチナくるみん」を
くるみん認定企業が、より高い水準の取組を行い一定の要件を満たした場合、申請により、優良な「子育てサポート」企業として、厚生労働大臣より「プラチナくるみん認定」を受けることができます。
プラチナくるみんの認定受けている企業数は2021年12年現在、475企業です。くるみん認定より数が少ない分、評価は高まるでしょう。
まずは、仕事と子育ての両立に向けて、課題は何か、どのような取組が有効か、職場全体で話し合いながら進めていくとよいでしょう。取組を真摯に進めれば、認定は後からついてくるはずです。
申請要件の詳細や手続きについては、以下【参考】のパンフレットをご覧になり、また、都道府県労働局雇用環境均等部(室)にお問い合わせください。
【参考】
(注)以上は、2022年3月現在の情報に基づいて記載しています。
- 回答者
- 中小企業診断士・社会保険労務士 高橋 美紀
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