東京都は、令和5年東京都基準地価格の概要【調査基準日:令和5年7月1日】について、下記内容を発表しました。
国土利用計画法に基づく令和5年7月1日時点の東京都の基準地価格については、都内1,288地点の選定基準地の調査を行い、各地点の価格を令和5年9月20日付で公表する。
用途区分ごとの地点数は、住宅地773地点、商業地479地点、工業地19地点、宅地見込地6地点、林地11地点である。
地区の分類及び地点数の配分は、次の内訳のとおりである。
[区部]
- 都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区(5区:170地点)
- その他区:文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区(18区:559地点)
[多摩地区]
- 北多摩地区:立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、西東京市(17市:249地点)
- 南多摩地区:八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市(5市:205地点)
- 西多摩地区:青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町(4市3町1村:77地点)
[島部]
- 大島町、新島村、神津島村、三宅村、八丈町、小笠原村(2町4村:28地点)
1 令和5年基準地価格の動向
(1)全域的な動向
東京都全域でみた場合、住宅地、商業地、工業地及び宅地見込地の計(以下「全用途」という。)における対前年平均変動率(以下地点ごとの対前年変動率を「変動率」といい、地区・用途等の区分ごとに算出した対前年平均変動率を「平均変動率」という。)は、11年連続でプラスを維持した。用途別では、住宅地の平均変動率は11年連続でプラスとなった。一昨年9年ぶりにマイナスとなった商業地は昨年プラスに転じ、今年は更に上昇した。
また、令和4年調査では、区部671地点、多摩地区370地点の計1,041地点で価格が上昇したが、令和5年調査では1,185地点で価格が上昇した。地区別の内訳は、区部が721地点中719地点、多摩地区が525地点中466地点で、用途別の内訳は、住宅地が768地点中706地点、商業地が469地点中459地点、工業地が19地点中19地点である(本年新規設定及び選定替した地点を各母数から除く)。
前年から価格が下落した地点は、令和4年は57地点(区部9地点、多摩地区44地点、島部4地点)だったが、令和5年は23地点(区部0地点、多摩地区22地点、島部1地点)となった。
前年から価格変動がない(0.0%)の地点は、令和4年は167地点(区部34地点、多摩地区109地点、島部24地点)だったが、令和5年は64地点(区部2地点、多摩地区37地点、島部25地点)となった。
〔地区別・用途別対前年平均変動率〕 |
(単位:%)
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(2)住宅地の動向
区部では、令和4年調査は全348地点で価格上昇したが、令和5年においても全351地点で価格が上昇した。
多摩地区でも令和4年は280地点で価格上昇したが、令和5年においても355地点で価格が上昇した。価格下落地点は令和4年に大幅に減少し、令和5年においても更に減少したが、丘陵地や駅からの距離が遠い地域を中心に下落した地点が見られた。
区部
- 区部全域の平均変動率は4.2%となった。令和4年調査の2.2%から上昇幅が拡大した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは豊島区の6.2%(前年3.3%)で、文京区の6.1%、品川区及び荒川区の5.5%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区4.5%、その他区4.1%で、ともに令和4年調査と比較して上昇幅が拡大した。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は2.1%となった。26市2町で平均変動率がプラスとなり、1町1村が0.0%だった。
- 平均変動率が最も高かったのは国立市の4.4%(前年2.7%)で、狛江市の4.1%、国分寺市の3.9%がこれに続いている。
- 平均変動率が0.0%となったのは、檜原村、奥多摩町だった。
(3)商業地の動向
区部では、令和4年は下落となった地点が中央区及び千代田区の繁華街やオフィスの集積する高度商業地域で9地点あり、うち千代田区の2地点について令和5年は価格変動がなかったが、それ以外の地点では全て価格が上昇した。
多摩地区においても価格変動がなかった奥多摩町の2地点を除き、全て価格が上昇した。
区部
- 区部全域の平均変動率は5.1%となった。令和4年調査の2.2%から上昇幅が拡大した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは北区の7.3%(前年3.7%)で、台東区の7.0%、文京区の6.8%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区4.3%、その他区5.5%で、ともに令和4年調査と比較して上昇幅が拡大した。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は2.9%となった。26市1町で平均変動率がプラスとなり、0.0%となったのは奥多摩町1町のみである。
- 平均変動率が最も高かったのは国分寺市の6.2%(前年2.0%)で、国立市の4.8%、武蔵野市の4.7%がこれに続いている。
(4)工業地の動向
平均変動率は地点の置かれた全区市で上昇となった。
- 区部全域の平均変動率は3.6%となり、令和4年調査の3.3%から上昇幅がわずかに拡大した。
- 多摩地区全域の平均変動率は6.6%となり、令和4年調査の3.1%から上昇幅が拡大した。
(5)地価の半年単位の動向
- 地価公示の標準地と同一地点である基準地(以下「共通地点」という)のうち、前半期(令和4年7月1日~令和5年1月1日)・後半期(令和5年1月1日~同年7月1日)で比較可能な住宅地及び商業地207地点の変動率をみた場合、変動なしの1地点を除く206地点において年間変動率で地価が上昇しており、このうち122地点は前半期の変動率より後半期の変動率が高かった。
- なお、住宅地及び商業地の共通地点を区部・多摩地区に分け、前半期・後半期・年間の変動率を令和4年と令和5年で比較すると、下表のとおりである。
〔地価公示の標準地と同一地点である基準地の動向〕 |
(単位:%)
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2 地価動向の背景
(1)経済の動向(全国)
令和4年8月から令和5年7月までの「月例経済報告」基調判断をみると、令和4年8月から12月までは「穏やかに持ち直している」とされていたが、令和5年1月から4月までは「一部に弱さがみられるものの、穏やかに持ち直している。」といった表現となっていた。しかし、同年5月から7月にかけては、「穏やかに回復している」と回復基調にあると判断されている。(出典:内閣府「月例経済報告」)
(2)土地所有権移転の動向(東京都)
令和4年6月から令和5年5月までの東京都における売買による土地所有権移転登記件数は122,089件、同登記個数は315,277個で、前年同期の127,305件及び327,464個と比較して-5,216件(-4.1%)及び-12,187個(-3.7%)となっている。(出典:法務省「登記統計」)
(3)住宅市場の動向(東京都)
- 令和4年4月から令和5年3月までの東京都における新設住宅着工戸数は135,382戸で、前年度の134,313戸と比較して+1,069戸(+0.8%)となっている。主な内訳をみると、持家は-12.5%、貸家が+0.6%、分譲住宅が+6.2%となっている。地域別でみると、都心3区(千代田区、中央区、港区)が+20.4%、区部全域が+1.1%、多摩地区市部が-0.4%となっている。(出典:東京都住宅政策本部「住宅着工統計」)
- 平成22年を100とした令和5年4月の東京都の不動産価格指数(住宅)は、住宅総合157.2(前年同月比+10.9)、住宅地132.7(同+8.1)、戸建住宅125.6(同+4.5)、マンション190.1(同+13.2)となっている。(出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」)
- 令和5年1月から6月までの東京都区部の新築マンションの供給戸数は4,902戸で、前年同期の5,386戸と比較して-484戸(-9.0%)となっている。令和5年6月の平方メートル当たり単価は130.1万円/平方メートルで、前年同月期の130.5万円/平方メートルと比較して-4千円(-0.3%)となっている。(出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」)
- 令和4年7月から令和5年6月までの東京都における中古マンションの新規登録件数は110,525件で、前年同期の96,437件と比較して+14,088件(+14.6%)となっている。同期間の中古マンションの成約件数は18,856件で、前年同期の19,151件と比較して-295件(-1.5%)となっている。同期間の中古マンションの在庫状況の月平均(小数点以下四捨五入)は25,270件で、前年同期間の月平均21,870件と比較して+3,400件(+15.5%)となっている。(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch」)
(4)オフィス市場の動向(東京都・都心5区)
令和4年7月から令和5年6月までの都心5区のオフィスビル(基準階面積100坪以上)空室率は、6%台で推移している。令和5年6月の空室率は6.5%で、令和3年6月から25か月連続で6%台となった。令和5年6月の坪当たりの平均募集賃料は19,838円/坪(前年同月比-2.1%)で、31か月連続で前年同月を下回っている。(出典:三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」)
(5)不動産投資市場の動向
令和5年6月末のJ-REIT保有不動産額(取得価額ベース)は、22兆3,148億円で、前年同期の21兆5,849億円と比較して、7,299億円(+3.4%)となっている。物件総数は4,628件で、前年同期から+138件(+3.1%)だった。(出典:一般社団法人不動産証券化協会「ARESマンスリーレポート」)
(6)国内銀行の貸出動向(全国)
令和5年3月期の不動産業向け貸出金残高(国内銀行三勘定合計)は、98兆2,521億円で、前年同期の92兆4,286億円と比較して+5兆8,235億円(+6.3%)となり、45四半期連続して前年同期を上回っている。前年同期比は平成27年9月期から平成30年12月期までは5%台から8%台で推移していたところ、その後は2%台から4%台前半で推移してきたが、令和5年3月期に6%台となった。(出典:日本銀行「貸出先別貸出金」)
(7)人口の動向(東京都)
- 令和5年1月1日現在の東京都の総人口は1,384万1,665人で、令和4年1月1日と比較して+46,732人となっている。区部、多摩地区市部、多摩地区町村部及び島部の地区別でみると、増減率は、区部+0.49%、多摩地区市部+0.03%、多摩地区町村部-0.88%、島部-1.56%となっている。(出典:東京都総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
- 令和5年1月1日現在の生産年齢人口(15~64歳)は914万2,443人で、令和4年1月1日と比較して72,270人の増となっている。うち日本人は14,833人の増で7年ぶりの減となった令和4年から増に転じた。地区別では、区部+1.05%、多摩地区市部+0.21%、多摩地区町村部-0.80%、島部-1.32%となっている。令和5年1月1日現在の人口総計に占める生産年齢人口の割合は、東京都全体でみた場合66.05%、地区別にみた場合は、区部67.59%、多摩地区市部62.76%、多摩地区町村部54.66%、島部52.85%で、令和4年1月1日の割合と比較していずれの地区も微増となっている。(出典:東京都総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
発表した基準地価格はインターネットでご覧いただけます。
問い合わせ先 財務局財産運用部管理課 電話 03-5388-2736 |
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