厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(部会長 岩村 正彦 東京大学大学院教授)は、雇用保険制度の見直しの方向性について、労働政策審議会職業安定分科会(分科会長 阿部 正浩 中央大学教授)に報告し、了承を得て、公表しました。これは、平成28年9月5日から議論を重ね「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書」としてとりまとめたものです。
なお、報告書の概要は以下のとおりです。
厚生労働省としては、この報告書の内容を踏まえ、平成29年通常国会への法案提出に向け、法案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定です。
【報告の概要】
1.基本手当の充実
(1) 倒産 ・ 解雇等により離職し 、 被保険者であった期間が1年以上5年未満である 「 30 歳~ 35 歳未満 」、「 35 歳~ 45 歳未満 」 の者の所定給付日数を引き上げる 。
〔 現行制度 :「 30 歳~ 35 歳未満 」 90 日→ 120 日 「 35 歳~ 45 歳未満 」 90 日→ 150 日 〕
(2) 賃金日額について 、 直近の賃金分布をもとに上 ・ 下限の引上げを行う 。
(3) 雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を 60 日延長する暫定措置を5年間実施する 。
また震災により離職した者の給付日数を原則 60 日(最大 120 日)延長できることとする 。
(4) 雇止めにより離職した有期雇用労働者の所定給付日数を拡充する暫定措置を5年間実施する 。
2.教育訓練給付の充実
(1) 専門実践教育訓練給付の給付率を 、 受講費用の最大 70 %に引き上げる 。〔 現行 : 最大 60 % 〕
(2) 専門実践教育訓練期間中の生活費を賄う教育訓練支援給付金の額を基本手当日額の 80 %に引き上げる 。 〔 現行 : 50 % 〕
3.育児休業給付の見直し
育児休業制度の改正議論(※)を踏まえ 、育児休業給付の支給期間を延長する 。
※原則1歳である育児休業を、6ヵ月延長しても保育所に入れない場合等に限り、さらに6ヵ月(2歳まで)の再延長を可能にする 。
4.失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率の時限的引下げ
失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率について、3年間(平成 29 年度から平成 31 年度まで)、時限的に引き下げる 。〔 失業等給付に係る原則の保険料率 1.2 %→ 1.0 %(※弾力条項により 、 平成 29 年度は 0.6 %) 国庫負担率 本来負担すべき額の 55 %→同 10 %(※基本手当の場合 、 13.75 %→ 2.5 %) 〕
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