本日は、配偶者が配偶者居住権を活用した場合の留意すべき事項について時系列にまとめてご説明致します。
(1)第三者対抗要件
配偶者が配偶者居住権を第三者に対抗するためには、配偶者居住権の設定登記をしなければなりません。
配偶者居住権の設定登記の登録免許税は、固定資産税評価額×1000分の2です。
(建物の賃借権と異なり、居住建物の引渡を対抗要件とはしておりません。)
(2)費用負担
配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担すると規定されていますが、通常の必要とする必要費とは、使用貸借に関する概念と同一で、保存に必要な修繕費のほか、土地建物に係る固定資産税なども含まれます。
配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができます。
(3)譲渡禁止
配偶者居住権は、譲渡することができません。
譲渡したい場合については、配偶者居住権活用のデメリット①をご覧ください。
(4)建物の増改築や第三者に対する賃貸
配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築又は増築をし、又は第3者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができません。承諾を得ないで増改築しますと、所有者から消滅請求を受ける可能性がありますので注意が必要です。
(5)配偶者居住権の設定期間の延長について
配偶者居住権の設定期間の更新はできないため、終了時に、更に居住したい場合には、当事者間で使用貸借または賃貸借契約を締結する必要があります。
(6)返還
配偶者居住権が消滅した場合には、物権所有者へ返還する必要があります。その際、配偶者には原状復帰義務があります。
なお、居住建物が配偶者と所有者の共有の場合には、物権所有者は返還請求ができません。
配偶者居住権を活用する場合、配偶者に上記善管注意義務があり、義務違反に問われると配偶者居住権の消滅事由となるため注意が必要です。
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